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28、闇の力、魔導士バダンとの出逢い

※同性愛的な表現が含まれます。

 それは俺が19歳の頃だった。

 両親亡きあと放浪の旅で、生命の儚くも醜く死にさえ直面に至る様まで体験してきた俺は、自らの生命学理論に行き詰まりを感じていた。そこで生命学に精通することを掲げていた“株式会社ヒカリノキョウカイ”へ入社するも、俺の苦手とする“生物学の分野”で、その研究での“成果が表れてこない”事に焦りを隠せなくなる。

 ある日、親友の孝弘から帰宅の道を離れると、その目前に丁度後輩である彼と“新たな研究のテーマ”に遭遇する。


「先輩、あなたは闇雲に焦っているだけです。それならオレの開発したダーク・オブ・ホールでも覗きに来てくれませんか?まだ17歳と浅い小僧ですみません・・・」


 それは俺の見たライト・オブ・ホールと瓜二つだった。だが何かが違った。それは実験用の生命をも切り裂き分解させて神経、血管、肉、質量、皮、脂肪、液体、臓腑を更に微細細胞とさせたモノだった。それを以って生命学との融合を果たしてみたいというのだから驚いた。俺も当時は“いち研究者として”知っておきたい衝動へと駆られてしまう。


「オレの名前?えっとぉ、弥美乃罵暖やみの ばだんって名前なんですよ?」


 彼は恥ずかしそうに俺の前でライト・オブ・ホールとダーク・オブ・ホールの関係性を解いて見せる。だのになぜか説得力が無かった。

 そこには彌汲孝弘だった父ブレトルの教えが誤りだという意志を示してくれたのかも知れない。なのに俺は両親のいない寂しさから彼を頼っていた。早期に“生命学の謎を解きたい焦り”が募ったからだ。彼の部屋で・・・



「ねぇ、オレの事・・・好き?嫌い?」

「好きだよ・・・でも俺はその方向に入っては“―ガバッ”・・・ぐっぅッ!?」



 何という“怪力”だろう、逃げないと殺されると19歳の俺のカンが働いていたのだ。だが彼は離さなかった。

 弥美乃やみのにはダーク・オブ・ホールによる闇の地場で細胞の一部が変容を告げていたからだった。これを“偽りの愛”だと知っていれば俺の改修したリグやALIRアリアは何のために“宇宙移民計画の母体”となってきたのか当時は産まれもしない事に迷いが重なった。

 俺が闇になるのを後押ししたのは弥美乃自身に眠る“闇の集合体”だった――――。



「ねぇ、道彦ォ~死んだ?それとも意識は?記憶はどうなっているの?」

「ぐ・・・ぅ、――ィきて・・・る、ぐァ・・・た、孝・・・弘ぉ」



 親友の“彌汲孝弘の名を呼ぶと何故か闇は消えて”いた。だのに俺の魂にはその闇が沁みこんでいた。それが光の王インシュビ―の欲する“失われた力の代用品だった”のだ。俺はとにかく執拗に長く話さなければ動く方ではない。強さには無い“包容”が必要なのだから。


――――

「ねぇ、先輩・・・“ギュッ”・・・俺のダーク・オブ・ホール好き?アレは変換と違って体を分解させられ記憶をも書き換えられるんだよ?性別変更もできるんだよぉ?」

――――

「“バッ”もう十分だ。俺はライト・オブ・ホールを追っている。記憶を12%保ち肉体の変容を形成。つまり生命理論を書き換える魔道に染まる予定はもう無いんだ“―スク”」


 その後、なぜか俺はますます会社に貢献することになった。生命学理論の観点として不振だった研究成果が評価されることが起き、相木俊郎先輩から新会社設立のチームとして抜擢される。そこから“長い罪と赦しを求める”ような出来事にも遭遇し、更なる事態へ発展するとは思いもよらなかった。


「あなたは、魔法生命体。だけど、俺も魔法生命体・・・苦しくて、辛くて、でも止められなくて・・・そろそろ、来てよ・・・」

「だから、もう・・・。罵暖、俺達の苦しみをそのダーク・オブ・ホールの中へ消し去ろう・・・そして新たなるライト・オブ・ホールへと託そう・・・もう、気が済んだろう?」

「じゃァ、魔道壁を展開させるよ?もう、このダーク・オブ・ホールは気が済んだみたいだ・・・あ??」


 瞬時、彼の服が引っ掛かる様に体が引き摺られようとするのを、俺は垣間見た。その速さに瞬きすら出来なかった。例え、魔法生物で他の遺伝粒子を吸収した体でも、その様子を見守るしかなかった。



“ぎゅあああああああ―――まだだああああ―――”


“こっちへ来いィィ―――お前を―――食うゥゥゥッ――――”



 闇の門が開き、その中から腕や口の様な渦が幾多も現れた。まるでブラックホールと似通う現象のよう。只の吸引機の様にも感じられたし磁気嵐さえ現れなかった。だがその力は、一端の布から人体全てを抜き取る様に吸い込みだす!


「罵ァ暖ンンッ!!」

「みィぢぃぃびィィごぉォォおおおお――――ギュビンッ!!」


 門は閉じた。そしてダーク・オブ・ホール発生装置は一点に吸収される様に消滅した。以降、弥美乃罵暖やみの・ばだんが俺の前に現れる事はなくなり、誤った研究・実験へと手に染めると再び闇に侵されたが、その多くの記憶と意識は枝を剪定する形で失われてゆく。そこで自らの道を後世へと託すことを決意する。

 まるで何事も無かったかのようであった・・・。


「お前は独りじゃない、きっと神の意志に導かれていたのさ・・・」


 このように。


バダンとは一年間の付合いでした。

しかし、道彦は孝弘との友情と生命学理論に救われたのです。

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