24、生命の頂き・再構成
ジパンの発展途上国でも戦争が起きているという話です。
そこで、身売りも成されているという、残酷なストーリーとなります。
※グロ注意。
――夜23時10分、ブロン・マミー
「こっちへ来てご覧なさい。ボクがその秘密を教えてあげよう」
それは突然の事だった。テーブル向こうのママへ注文されたメニューを伝える時、チャグロ色の黒い髪がチラつくこの客から声を掛けられる。駐屯地によって勧誘は禁止条例とされていたし、この様な発言をする客は珍しいと感じた。どうも初めての客かと見られる。
「“チャリン”―これで、どうかな?何なら100 bir(ビラ―)追加しよう」
何を言っている?俺は酒場で働いている者だ。なぜ客である者から金を受け取ってまで秘密などを教えて貰わなければいけない?未成年でもない俺をそこまで欲するのか?異国とはいえ全く筋の通らない相談だ。人体とは如何なる道理を得て理論的に動いてゆくともいうが、自分は店員で彼はあくまで客であるしその注文は言葉だけに留めて置こう――――。
――――そして何か良からぬ事も起きぬよう、注意をしておこう・・・ッ!
◇
「兄さん、ボクは気分が悪いんだ。少し外に出て摩ってくれる?」
徐々に注文が増えるこの状況。嘔吐であれば自ら動くことは叶わないだろう。それは感情と酒の相反する言い分で仕方のない事だ。注意をせずとも俺は店のママに許可を得ることにした。そしてこの客が転げてしまわないよう、背中を支える様に大切に扱いなさい、と静かに伝えられる。だが嘔吐すらしない。全く異なる用件と姿、彼は何者だ―――?
「なぁ、兄ちゃん、悪いことは言わねぇからこの人形で試してくれないか?」
「うひひ、ジュニースぅ~彼は私をご指名?この体を弄りたくて?」
それはまだ15歳ほどの少女である。このようなレンガと空き箱にフェンスのある場所へ連絡し、彼女を待ち伏せさせていたのだろうか。まだその体は幼くも薄く肌が露出する。
「兄さん、このメイグを試すといい。だが試すのはメイグも同じだ」
“ジャ、シャリ・・・スゥ――ッ・・・ザリリィ―”
地に砂が擦れるような音が幾つか耳に障る。3つの足音、誰か居るのだろうか。それにこの男は何故、そのような少女を俺に紹介し弄ばせたいのだろう。辺りが静かすぎる――。
「お客さん、俺がもしこの子を試すと言ったら、幾らかお金を頂戴できる?」
「構わないよ。その代わりと言ってはなんだけど・・・コレくらいでどう?」
“ザッ、ジャリ、ジャ、ズリィ―、ズジャァ――”
その客が“コレ”と合図をすると隠れていた3人の男が俺の周りを取り囲んだ。メイグと呼ばれる少女は逃げる様にその場を去る。俺は路地裏に隠れようとして身軽く動いたつもりだった。だがそれよりも早く4人が俺の周囲を回りこむ―――。
体に冷ややかな隙間が出来る――――!?
(ゆらゆらと話しては、徐々に距離を詰めてくる。生命探知機が欲しいな)
生命学では“離隔”という行動だそうだ。離隔なんかに目を配ると俺自身に起きるその先の展開が見えて仕方がない。つまり予測的にそれは“恥”と呼ぶ。
それは例えば表が不正解で裏では正解とされる心理要素が関わる。だから彼等はこういう展開を表明するのだろう?
――――
「どうしたんだ?“ゴッ”もう終わりかぁ~俺達は終わっちゃいねぇんだッよ!“ドスッ”」
「う″ッ、ゲぼォッ、オ・・・ごホォ・・・ん゛ごぁ゛・・・」
「ささ、兄ちゃん?これからボク達がすること見えているね!?“ズパ、バリ、グイッ”」
「なんだ?抵抗しないのかァ~ほらほら、楽しむぞ“ビリィィ――ビッ、バッ、ズィィ――ッ”」
俺の身を割くように、自ら持つナイフでその肌へ傷をつけ、服をも引き裂いてゆく。まるで猛獣且つ、野性のもつ暴威そのものだ。俺は瞼を閉じず唯々、そうされるのを見越していたかのよう。誰も居ないからといって“そうする”のが得意なんだろう、どうせ・・・。
「コレも・・・スパッ、うっ、臭い・・・」
ソイツのナイフで切った袋から並々と飛び出す血液。俺の体へ液体が塗れてゆく。それは戦場でかき集め、廃棄するもので、それでも研究者にとっては宝物。
しかしとても粘りを持っていて匂いのするモノだ。それは“ラードウ”と言って“薬物”の混じった血液だ。まるで幼虫から蝶になるまでの胎液のようだと俺は知っている。
それは細胞レベルで1から20億へ分裂するのだろうに。生命学論でその液体を分解析するのもいいが、この者達はそんなに世の中が憎いのか、それほど飢えていたのか、ソレをも差し出すそこの彼の勇敢さは、心理的に飾りのない表れだ。
俺を可愛がる者など既に居ないというのに、彼等は自ら“汚態”となるのだ。ソイツは人体に寄生するのだろう?
“ギ、キイィ――ガタン――タッタッ、スタ”
「・・・この子が帰って来ないから、おかしいと思った。あんた等、うちの商品に何してくれんだよ~まったく!」
―ママ、俺があなたの商品・・・だと言ったの・・・?
「・・・いやぁ~玩具がだねぇ、余りにも嬉しそうにするから・・・ピュってね」
―嬉・・・し、い・・・?
「ああ、そうだ。この子が俺達を望んでくれたんで、相手してあげたの。なぁ?」
―愛が・・・のぞ・・・み・・・?
「へへ、気持ちよかったぁ~こう鞭のように腕が跳ねちゃってねぇ~、だよね?」
―な―・・・ん、だ―?
「撮影はバッチリしておいたからな?」
―お―、俺を―、売る・・・のかぁ―、な?
「いい加減にしたら、ど・う・だ・い?」
―な、ママも彼等と組んで――いたッ、か!
――――なぜ、そのように言い訳をする?どうして自らの汚れを美しいものだと表明したくない?
その輩は親に注目して貰いたい気持ちなのだ。18歳の俺でさえ母すら居ないのに何故その荒ぶる輩のほうが親を受け取れるのだろう?
既に枯れた涙はこの身の痛みと傷、血によって溢れてくる。その俺が嬉しくて望んで鞭のように跳ねて撮影されていたと言う。自らを守ってくれと訴える。
犯した罪を赦してくれとデシビルに問う。
“お父さん、お母さん”、俺は――。
◆
“コキッ、ペキン・・・”




