13、巫女の代行
59代目になるリグを前にして、巫女の修行は決して下り坂などではない。成績を獲るためには息を乱さず一定以上に保ち、風貌も静かで爽やかで在らねばならぬ。そこから息を放てば自然の流れに従って生命が宿るとされている。
“チャラン、ラン、ベンベン・・・ビイィン・・・♪”
「太古の時代に、那歴、阿歴が在りました。かつて衣服や文明が発展していた時に、様々な災厄に見舞われた時期に人類は遭遇したのです・・・」
観客の様に居座る親族たち・・・巫女たるリプラの演技によって成仏する魂が空を飛来するという言い伝えに従った伝統である。
≪お前は・・・宇宙から飛来した、一つの光―――!≫
「貧しさ故に、一流の水害が起きました。そこから得られたのは水牛なる遺伝生命だと・・・大蔵から千枚のRinが見つかりました・・・」
途中で話が途切れたとしても、それは失敗でなく一連の流れだと理解する、弥氏の寺独特の弁舌・説明書・・・遺族は親族と共に静かに見守る。
「黙るが先故か、覗くが高地か・・・一連の流れに従い、高嶺の花が“触るな祟りよ”と希望の先に先祖の屋形船を進めては、岸へと向かってくるのです・・・」
“ダンダンダンダン、ベンベンベンベン♪”
コン・・・
音は一層と激しさを増し、遺族らの前に踊りを灯した。それも神成家特有の踊りとして受け入れる事にしている・・・。
「やや、毎日と毎日と、揺れ動く太陽から眩き王と光の王が闇の女王を生け捕りにして笑っているではないか!争うなかれ、神の元へ捧げ給え・・・」
そのようにして、先祖供養と共に遺灰が前へと降ろされる。それはリプラの両親の役割だったが、唯々踊りを魅せる様に、足をダンダンと叩く音を立てると、村人の様に遺族たちは退け反るのだった。
“チャラン、ラン、ランランランラン・・・ダダン♪”
「太古よ、最古よ、我等、遺族たる延々とした古代の礎に掟在り!遺品を守り、そして遺族・親族を称え、遺灰を遥か遠き宇宙の海へと還し給え!カカンッタンタンッ」
両の足を交互に板間へ叩きつけるリプラのその様を見て、先祖供養されたという一つの形式を受入れた弥氏の寺伝統の踊りを、その小さな体で受け継ぐ事を地域一丸となって見守られる事が、伝統たる由縁なのだと神成一家は教えを受ける。それも58代続いた事で在るとして・・・。
「リプラ、巫女の修行は厳しいですか?」
「いえ、全く厳しいどころか、清々します・・・タタンッ」
「お母さん、手さばきが・・・」
「リグ、覚えておくのですよ?」
カツン・・・
巫女たるは家の祭りである。
重々たる中身に沿って、手本通りに受け入れるのではなく、その身を投じて理解するのが神成家の仕来たりであり、弥氏の寺の伝統であることを巫女として受け入れたリプラであった。
その、リプラがリグへ代行を任せようとしている。それで58代目から59代目へ引き継ぐことで、新たなる流儀を学ぶこととなるので、地域一巻となってその様子を窺いつつも付き合い方を変化させる。何事も時と秒針を刻むような状況に駆られる事は理解しつつも、言葉の議論は成されてしまうのだが、役割ごとの担当が異なるならそれはそれで共有できる可能性が高い事は、巫女にとってありがたい。
何故なら、巫女の役割に自由が与えられ、それもまた地域が縮小化しないよう、流行として取り入れてくれるからだった。それは土産物としても用いられるし、仕事も増えるし、何もない事よりも良い事だったりする。
そういう事情も在りながら、リプラが57代目に代わり、リグへと教える。
――人工生命体と成って尚――
――59代目となるか――
――巫女よ――
後に、我が子とするリグへと受け継がせ、その子に学ばせることで自然生命の由縁たる生き様を見せるリプラであったが、彌汲家なのに神成家の伝統を守るは、その敷居を跨いでいく事で保つことが出来ることを繋げて往くのであった・・・。
”いいですか?
神成家の巫女は、古き伝統を守るために日々の修行を行っています。
代替わり、伝統、地域との交流を大事に、穏やかに見守って往くのです。”
「これで、新たなる時代へと富を動かすことが出来るのです」
―――はァ、有難き御言葉で御座います!
神成家の巫女は、古き伝統を守るために日々の修行を行っています。
代替わり、伝統、地域との交流を大事に、穏やかに見守って往くのです。




