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15、孝弘とリプラ

“そういえば、俺は道彦によって“リプラ”と結ばれたんだっけな?“

「お前はそんな事を覚えていたのか。変わらず疎い奴だよ・・・」


 ――――大いなる意志の末尾と、大いなる意志の一片同士が導かれるように結ばれた。幼い頃に一度出逢い、ヒカリノキョウカイの社員の同僚として働き、そして繋がり婚約を果たした。それからというもの、決して真っすぐな道を連ねてきた訳じゃなく、間違いと正解と失敗と成功の道を辿り、そうして魂同志の共鳴が果たされてきた二人でもあった。


『あの頃のお前は冷たかったね?』

『ええ、あの頃のあなたは血気盛んだったの』


 大統領の秘書官だった父の息子である存在は、何時しか時の刻まれる秒針のごとく、神マーズに願いを告げた。すると神は眩き生命との結びつきを赦した。やがて生命の由縁たる、科学と自然に関して巫女との結びつきを諭した。

 宇宙の海峡から宇宙の大地へ降り立つ神の仕業によって、生命学理論と自然生命学理論との結合を暫く待ってみた。それはお互いの意志と魂がライト・オブ・ホールによって変容を迎えようとしたときに、人工生命なる時の悪戯によって救われた。

 只の生命同士として生まれ変わった子によって、別れと結びを狙われた時にはようやく、時の刻みを復活させたのだった。夢中になる生命科学によって救われないと感じていたのに、救われて再び、法則に輝く一筋の光となって神の頂きを制することが出来た気がした。



リプラ、俺とお前は婚約した。


だけどあなたは、私を残して逝ってしまった。


そう、費える願いを残して俺はお前のもとを去ってしまった。


駄目なのよ。だってあなたは私にとって掛け替えのない意志を持つの。


何故だ?俺はこの光から闇に消えてゆくというのに、お前は何故巫女を選んだ?


それは孝弘さん、あなたが私の子であり意志だから離れてしまっては・・・!



 矛盾なる生命、矛盾なる機械に挟まれた時に、それは全て生命融合としての関わりを示したのに、神はそう容易くは結び付ける事はしなかった。

 それとは別に“才”によって引き合わせられる様になり、神たる由縁の意志同士の結びつきにある程度の余興が理解された。宇宙は輝く星に向かって“フォライズ”と名付けていたが、それも時の一端として纏わられる危うくも理解を通り越した燃調だったに過ぎないのだった。

 一つはどこへ向かおうと自由だったのに、一つは怒りを鎮めてどこかへ向かってしまったのである。介して、海を踊るような宇宙の各生命が様々なる変容を迎える時に、別れを期する様に“じっくり”と努力を重ねていった様である。


『お母さん、お母さァ゛ん!』

『た――孝―弘さ―ん?ど、何処ぉッ!どこへ行ったのよォ゛オ゛―――ッ!!』

『父さんはァ、“ここ”に居るよォ―!母さァア゛――ん!!』


 祭られて、称えられて、通り越して、輝く星の中へと変容を遂げて往く。それですら時間の流れに従って移動ワープを繰返すのにリングは永き年月に従って現れる根の元に“シャン”と音を鳴らし、それを声として変換させる。

 直ちなる理解によって自らの変容にすら気付かぬ哀れな時人ときびとよ、ようやく新たなる道筋に彼方からの情報から朗報を戴くことになるのだ、と神はそう願う様に裁きを与えていった。



なぁ、リプラ。俺と来ないか?


では約束をして頂戴。きっと辿り着くと。


構わないよ。スタヴァ―・マーズ、俺の母で相棒パートナーよ。



 変革する宇宙によって、その形は変わる事を教えてくれた。しかしその有無なる産声によって、ライト・オブ・ホールを突き抜けての寿命を迎える時に、同じ世界で別の立ち位置で合流することに、神は何も得られ難い涙を流して往くと、全ての最後ゴールは「何だ?」と返事を待つのである。すると時代に則った変革の嵐に時をみちして、囁きながらも果実の皮を眺めるのである。


――――

『なァ、孝弘。お前のお母さん・・・弘美おばさんは、俺達の良き理解者として選んでくれたのに、どうしてリプラじゃなきゃ許してくれなかったんだろうな?』

『どうせ、罪なる宇宙に安らぎを欲していた様に、生命たる由来を厳格に見ていたように止めて居たいだけじゃないのか?まるで矢に当てた的のように狙いを付けていたんじゃないのかな・・・リプラ綺麗だしな・・・ポッ』


 現在と過去、過去と未来・・・頬が染まる頃にはもう、夕焼けがやって来ていた。晩酌を狙うのに持ってこいのさかなが在るように、孝弘はリプラの婚約者として若き世代の訪問者として招かれた様である。そこは道彦も理解していたが、寧ろ二人が何らかの悪戯によって離れ離れになる事を正直、慈悲相愛として感じていた様である。

 核融合生命体の理論さえ完成させなければ、彼は永く彼女と暮らせていたに違いない、と哀しむのである。


「昌弘は、お前と同じ性格を持っている。だが、俺からすると巫女の中身を切り取った様に時代の背景を感じ取っている様にも思えた」

「それで小父おじさんは、オレの親父と“迷惑仲間”になったというんだね?」

「そうだよ。列記とした迷惑仲間で、歴史に刻まれぬ理解を通り越した友人・親友・・・そして親子・兄弟だった・・・なァ、孝弘・・・」


 既に法則に並んだ宇宙の神・マーズによって一流の銀河が誕生した。それは一列に丸く収まり太陽の起源によって直立し出した。それは同じ生命たる由縁・由来から登壇するように、宇宙の頂きから成る生命理論を超越していた様でもある。『なるほど』と誰かが納得した様な、説得力の欠ける並びになって居た事に、宇宙はときめきを目指していた様である。


「リプラさん・・・もし、次代の宇宙世界が在ったとしたら・・・再び、ご主人の孝弘と結ばれる事を願いますかな?」

「さて・・・あの人がそう願っているなら、私は囁きたいと願いますし、訊ねます。本当に私自体を選んで下さるのなら、その審判は正しい方向へと並んでくれるでしょうね・・・」

「それも、自然の摂理から現れた生命理論だね・・・」

「ええ・・・」



なァ、リプラ・・・俺と結ばれて幸せかい?


ええ、あなたがそう臨んで居られるなら幸せです。


もしも、異なる宇宙の頂きに愛が成就したなら?


待ちます・・・あなたを再び、待ちます。


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