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12、巫女の役目

 弥氏の寺で産まれた神成かみなりリプラは幼いころから儀式を受けていた。霊起こしという儀式で亡くなった者を追悼する意味で文言を唱える。そこに光と闇の境目もなく皆がありのままで居られる事を祈る意味も込められていた。


―――現・家名は彌汲みくみリプラであるが・・・


「お母さんに神の意志が宿ったように、私にも巫女の魂が宿っているのですね」

―――

「今、あなたは彌汲家だけど、娘のリグは神成家58代の歴史が刻まれた純粋なる59代目となるの。それはお母さんの自然と生命の法則・根源と同じ事。意志の光があなたを守ったように、その体はあなた一つでは成り立たなかった。いずれ尽きるその魂に従う時が来るまでその巫女の歴史を大事にするのですよ」


“はい、57代目の巫女殿・・・私の光・・・”


 もはや、数え切れない歴史を踏み宇宙移民計画が訪れる頃、“巫女の儀式”は“スタヴァー・シャイン”という言葉でジパンの歴史に刻まれた。名前も変わり、中身の遺伝が引き継がれ、過去と現在の技術が未来によって様変わりするという、新たな体験を人類は行っていたのだ。それは建造物の形式を木材から鉄材へと変えて往く事と、そっくりだった。


それにしても神の頂きとは、巫女とは、光とは?

失われた軌道を修正する事で変化する宇宙。

そして、歴史・時代は異歴に遡る・・・。


 スタヴァ―・シャインは神の儀式として光の祭りと云われてきた。それが次代の変化と共に、祭り事とされてきて屋台や祈願成就の為の踊りとして有名になったのが弥氏の寺の儀式であった。

 唇と羽織は赤で統一されており、下着と帽子は白で統一されていた。その様にして、「絆を明るき時代へ通そう」という地元の意見を基に創られたのが、儀式の形式である。巫女は踊る事で現実と理解に変化を起こし、宇宙の軌道すら変えてしまうと話されている。

 宇宙の軌道は静かで静寂なる鐘を鳴らされ、煮油で出来た紙に口づけをし、酒と炎で災厄を薄めるという効果が認められた。何にせよ、何事もない日々よりも変化の在る時こそが、偉大だとされている。

 ――――例えば、“祭り事”の演劇がそうだ。


『神成家に災いを薄めることが出来ると、じいちゃんが言ってたぜ?』

『待ちなさい、小五郎太。お爺様は家来に処されると書に記されていたのですよ!』

『香奈、我々も厄払いをしなければ、随分と農地が荒らされとる・・・それを代家として村の皆から報が挙げられたように、儂に出来る事が在るなら、何だって出来よう・・・だから黙って小五郎太の言う事も聞いてやれ!』


 地域から集められた役者たち。それは、時代活劇に用いられた様相として伝来伝わっている。儀式の際に劇をするので、時代風景としては山村の農家の跡取りが科学によって処されるという、話として描かれている。そこで巫女の登場となる。


『それはそれは、家来の言うとおりなら貴方は認められぬでしょう。災厄を起こした罪人として赦されてしまうのです・・・シャンッ』

 錫杖を揺らした天乃照螺子あまのてらすが村民の代表たる父親に赦しを与えるという役割を、以前はリプラが行っていた。それも葬儀の時でも同じくであった。葬儀や婚礼は音を立てては成らないという言い伝えも在ったが、58代目ともなると、やや騒々しさのあるものの、静寂に満ちた祈願成就を選ぶのだった。それが元で、神成家は古来ゆかりのある時代の、人気を博していたのである。


「右足を跳ねて、右腕を下へ降り、左腕を上げるときに表情はまっすぐとするのですよ?」

「はい、お母さん―――ハッ、ヤァ、テイィィ―――」


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