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人魔闘諍  作者: ゆっけ
第参章
45/112

44話 混沌に溺れゆく

『あなたは、特別な存在』


『あなたは、特別な存在』

『あなたは、特別な存在』


『あなたは、特別な存在』

『あなたは、特別な存在』

『あなたは、特別な存在』


『橋となるべき、崇高な存在』

『橋となるべき、崇高な存在』

『橋となるべき、崇高な存在』

『橋となるべき、崇高な存在』


『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』

『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』

『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』

『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』

『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』


『神の子として果たすべき責務を。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『神の子として果たすべき責務を。』


『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』


『その終焉の瞬間までは。』

『その終焉の瞬間までは。』

『その終焉の瞬間までは。』

『その終焉の瞬間までは。』

『その終焉の瞬間までは。』

『その終焉の瞬間までは。』

『その終焉の瞬間までは。』

『その終焉の瞬間までは。』


『あなたは、特別な存在』

『その終焉の瞬間までは。』

『橋となるべき、崇高な存在』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『橋となるべき、崇高な存在』

『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『その終焉の瞬間までは。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『あなたは、特別な存在』

『神の子として果たすべき責務を。』

『橋となるべき、崇高な存在』

『その終焉の瞬間までは。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『あなたは、特別な存在』


『神の子として果たすべき責務を。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『その終焉の瞬間までは。』


 頭が、割れる。


 声が、頭蓋の奥から鳴っている。

 まるで脳を直接叩く鐘のように。

 絶え間なく、無遠慮に、言葉が降ってくる。


 あたまが、われる。


「あなたは、とくべつな、そんざい」

「はしとなるべき、すうこうな、そんざい」

「いきて、そのみをささげ」

「かみのことしての、せきむを」

「そのしゅうえんの、しゅんかんまで」

「すべては、いみを、もつ」


 うたごえだけが、

 あたまのなかで、むきしつに、ひびきわたる。


 それは、うつくしいしいこーらすのようでありながら、ちつじょをうしなっただんまつまのようでもあった。


 ひとりが、ふたりに。

 ふたりが、よにんに。

 よにんが、はちにんに。


 こえがふえていくたびに、せかいが、くだけてゆく。


 ──それでもなお、言葉は止まない。


『その終焉の瞬間までは。』


 発キょウしソうだ。――いや、とうにはッ狂しているのカもシレない。


 身体の感覚がアイマいになり、手アしの震エすラ他人事ノよウニ思える。心臓のコドうだけガ、やケニ大キく耳の奥デヒビイていタ。視界がぐニゃリと歪み、世界ガユっくリとカタむいテユく。


 意識とム意識の狭間スら、マルで夢ノよゥにトケていㇰ。記憶がチぎれ、現実と幻のサカい目モ崩れ始めル。


(だれか……たすけて)


 助ケヲモトめる声を出ソうトシたガ、ノどはひゅうヒュうと音を立てるバカりで、言葉になラない。肺の奥が灼ケルヨうにぃタく、息ガウマく吸えナい。


 あタまの中に、ノイズノよゥな音が鳴リ響いた。ぎチギちと、金属をコスリ合わセるようナ不快な音――それが、皮膚の内側から、脳髄へと浸食してクルヨうだった。


 熱イ。さムい。苦ㇱい。ぃたい。こワい。

 ――それナのに、ナゼカ懐かしい。


 どコかでミたような、ヮスれてシマった記憶の断片ガ、鮮レつな光の矢とナっテのゥを貫いた。


 そして――


「…………■■■■■■■ッッ!!」


 自分デモ理カいできナい叫び声ガ、喉の奥カらこぼれ出た。


 耳ナリ。サンソ。不足。ノド。いたい。


 視界が、青黒く染まり、ぉそろしくゆっくリと回転スる。まるで重力そのモノが狂ってしマったかのようダ。感覚の壊死。知覚の飽和。精神の溶解。


 ――もう、じぶんがダレだッたか、さえ。


 砂嵐ノような記憶の海ニ、足が呑まれる。助けを求メる意志さえ、どこかへ遠ノいていく。ワカらない。何もかもが遠い。冷たい。怖い。懐カしい。


 ――そのとき。


 ふ、と。どこカから、光が差した気がした。


 ほんの微カな。けれど、まちがいなく、「ぬくもり」と呼べるような、それは。


 ふれてはいけナい。けれど、ふれたい。

 ――それが、あの人ノ手、だった気がする。


『あなたは、特別な存在』

『その終焉の瞬間までは。』

「…ん…な…!な…」

『橋となるべき、崇高な存在』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『神の子として果たすべき責務を。』

「お…くん!お…て!な…」

『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

「な…やく………て!なおや……!」

『橋となるべき、崇高な存在』

『生きて、その身を捧げ、永久なる戦乱に終止符を。』

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『その終焉の瞬間までは。』

「なおやく…きて!なお…起きて!!」

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『あなたは、特別な存在』

『神の子として果たすべき責務を。』

『橋となるべき、崇高な存在』

『その終焉の瞬間までは。』

「なおや…起きて!直弥くん!」

『あなたの痛みも、涙も、命も、全ては意味を持つ。』

『神の子として果たすべき責務を。』

『あなたは、特別な存…』




「直弥くん!起きてよ!!!」




 ――びしゃっ。


 冷たい水音とともに、顔に何かがかかった感触。


 はっ、と息を呑んだ。意識が一気に水面に引き戻されるように、鮮明さを取り戻していく。


 全身がひどく重く、まるで鉛のように沈んでいた体が、わずかに反応した。喉の奥が焼けるように渇いている。寒い。けれど、肌に残るのは確かに冷たい水の感触。


 ゆっくりと、重たいまぶたを押し上げる。


 ……光。


 視界が滲んでいる。ぼやけて、色だけが混ざっていたその中に、ひときわ強く残る色があった。


 ――沙紀の、涙の跡を伝うその茶色い瞳。


 泣いていた。否、泣いている最中だった。


 唇を噛みしめながら、どうしようもない表情で、こちらを覗き込んでいた。


「……なお、や……くん……!」


 掠れた声が耳元で震える。


 自分が目を開けたことに気がついた彼女は、一瞬、息を詰めたように瞳を見開いたかと思うと――次の瞬間、顔を歪めて、泣きながら笑った。


「……よかった……!ほんとうに、よかった……!」


 安堵と、緊張と、恐怖と、全部が混ざり合ったような声音で。


 その言葉は、ひどく脆く、けれどまっすぐに胸へ届いた。


 ――よかった。


 その言葉が、今の自分をこの場所に繋ぎ止めてくれている気がした。


「……さ、き…さん…」


 喉の奥からようやく漏れ出た名を聞いて、沙紀が何度もうなずいた。


「うん……うん、大丈夫。もう、大丈夫だから……!」


 小さな声でそう言って、彼女は、冷たくなった直弥の手をぎゅっと握りしめた。



 ***



「待ってね、今すぐ医務室に……!」


 そう言って沙紀は慌てて立ち上がり、浴室の外へ駆け出そうとする。


 ――しかし、そのとき。


「……っ!」


 足首に、冷たい感触。


 直弥くんの手が、彼女の足をぎゅっと掴んでいた。


「えっ……?」


 思わず振り返る。


 その顔は、蒼白で、痛みと熱に歪んでいた。呼吸も浅く、今にも意識を手放しそうな状態。それでも――その手だけは、信じられないほど強く沙紀の足を握っていた。


「待っ……て……沙紀さん……」


 掠れた声。断ち切れるような息。


「……誰にも……言わないで……」


 言葉の一つひとつが、血を吐くように重く、苦しげに紡がれていく。


 けれどその目は、まっすぐだった。


 ――何かを、必死に訴えている。


「……え、でも……だって、直弥くん、どう見たって普通じゃ――」


 倒れる寸前だった。意識も混濁していた。体温も異常だった。絶対に放っておいてはいけない状態だ。医務室どころか、救急搬送すべきかもしれない。


 自身の中で、良識が警鐘を鳴らす。


 けれど、それを遮るように、直弥くんがまた唇を震わせた。


「だから、だよ……」


 かすれ声の中に、どこか絶望のような響きが混じっていた。


「お願い……だから……誰にも……言わないで……」


 その言葉に、沙紀は言葉を失う。


 なぜそこまで強く拒むのか。なぜ、こんなにも苦しそうなのに助けを拒むのか。


 その理由はわからない。


 けれど、彼の声の奥にあったもの――それが「恐怖」だったことだけは、沙紀にも感じ取れた。


 助けを呼ぶことが、「何か」を壊してしまうと、彼自身が強く信じているかのように。


「……っ……」


 沙紀は唇を噛んだ。


 目の前で、自分の足を掴むその手に、静かに手を添えた。


 彼の手は、震えていた。冷たくて、痛々しくて、でも、確かに「助けを拒む」意思を宿していた。


「……わかった」


 徐々に冷静さを取り戻していく。それと同時に、ある重大な事実が、頭の片隅を鋭く刺した。


 ――直弥くんは入浴中に倒れた。

 ――そこに、私が駆けつけて、抱き起こして、看病して…


 ということは、今の直弥くんは――


「きゃあっ!!」


 情けない声が漏れ、反射的に両手で顔を覆った。

 視界が真っ暗になった途端、心臓がバクバクと激しく跳ねる。耳まで熱くなっているのが自分でもわかる。


 そうだ、そうだった。

 私は、何のためらいもなく、彼の入浴中に、服も気にせず浴室に突撃して……!


(な、なんで冷静になってから気づくのよ私!!)


 羞恥心で顔が真っ赤になりながら、指の隙間からそっと様子を窺おうとしたそのとき――


「……もう…見た、あと、だから……今さら……」


 ぽつりと、直弥くんが力なく呟いた。


「~~~~っ!!」


 羞恥が絶頂に達した。


「ご、ごごごめんなさいいいいいっ!!」


 叫びながら、私はその場に正座し、深々と頭を下げる。もうそれしか思いつかなかった。視線をどこに置けばいいのかもわからない。記憶を消したい。今すぐ消したい。


 微かにくすりと笑う声がした。とても弱々しいけれど、確かに直弥くんの声だった。


「……でも、あり、がとう。助かっ、たよ……沙紀さん」


 その言葉に、顔を上げられないまま、私はただひたすら赤面し続けた。

 羞恥の渦に飲まれそうになりながらも、なんとか理性を振り絞って、言葉を返す。


「バ、バスローブ、あるから…それ、着て……!」


 声は裏返り、語尾もどこか不安定だった。

 私は視線を逸らしたまま、棚の上に置いてあった白いバスローブを掴むと、振り向かずに後ろ手で差し出す。


「ほ、ほら、ここ……受け取ってっ!」


 無言のまま、それを受け取る気配がした。

 数秒後、微かに布の擦れる音がして、空気が静かに動いた。


「……着た、よ」


 小さく返ってきたその声に、ようやく私は目を開ける決意を固める。

 恐る恐る振り返ると、直弥くんはバスローブを羽織り、浴室の壁にもたれていた。頬はまだ青白いけれど、さっきよりは少しだけ顔色が戻っている。


「よ、よかった……本当に、大丈夫……?」


「うん……もう、なんとか……でも、ちょっと……立てないかも」


 弱々しく笑うその顔を見て、再び胸がきゅっと締めつけられた。


「わかった、じゃあ……とにかく、リビング行こう。歩ける?」


「……んー、手、借りてもいい?」


 その問いかけに、私は小さく頷いた。


「もちろん。……立てるように、支えるから」


 そっと彼の腕を自分の肩に回し、慎重に浴室を出ていく。

 ほのかに残る湯気と湿った空気の中、彼の体温がじんわりと伝わってきて、心臓の鼓動がどんどん速くなっていく。


 こんな形で彼を支えることになるなんて、思ってもみなかった。

 だけど今は、そんなことを気にしている場合じゃない。と、自分に言い聞かせながら。


 リビングにたどり着き、直弥くんを傍にあった赤色のソファにそっと座らせる。

 ふぅ……と一息ついて、私もその隣に腰を下ろした。


「……ちょっと落ち着いた?」


「うん、ありがとう。沙紀さんのおかげ」


 にこっと笑いかけてくるその表情に、またしても心臓が跳ねる。

 いつもはどこか頼りなさげで放っておけない彼だけど、今は少し違って見えた。

 弱っているはずなのに、笑顔だけはちゃんと力があって――それが、やけに眩しく見えた。


「お茶……入れてこようか?」


 聞きたいことは山ほどある。

 どうして倒れたのか、身体の状態は大丈夫なのか、それとも――なぜ、あんなにも苦しそうだったのか。

 けれど、そのどれもをぶつけるには、まだ彼の顔色が悪すぎた。


 だから私は、一度深呼吸をして、文字通りお茶で濁すことにした。

 彼の安否を優先するべきだ、と自分に言い聞かせながら。


 直弥くんは、こくりと小さく頷いた。


「うん、ごめんね。」


「気にしないで」


 そう返して立ち上がり、キッチンへと向かう。

 ポットに水を入れてスイッチを押し、湯が沸くのを待ちながら引き出しを開ける。

 そこには緑茶と烏龍茶、ほかに紅茶のティーバッグも入っていた。――しまった、どれがいいか聞くのを忘れていた。


 振り返って「どれがいい?」と尋ねようとした、そのときだった。


 彼が、ぽつりと歌い始めていた。


 小さな声だった。寝息ともささやきともつかない、淡く、柔らかい旋律。

 耳を澄ませると、それは聞いたことのない不思議な歌だった。

 母国語でも英語でもない、けれどどこか懐かしく響く――まるで誰かの記憶の断片がそのまま形になったかのように。


 それは、祈りのようにも、別れのようにも、赦しのようにも聴こえた。

 音程は曖昧で、それでいて芯を持ち、聴く者の心の奥を優しくなぞる。


 思わず私は、その場に立ち尽くす。

 茶葉のことも、湯の音も、もう耳には入ってこなかった。


 目の前にいるのは、たしかに“直弥”くんだった。

 だけど、あの浴室で倒れた彼と、この不思議な旋律を紡ぐ彼と――その二人が、少しずつ違って見え始めていた。


 この歌は、いったい何なのだろう。

 彼は、いったい――。


 沸騰したお湯の音が、ポットの中で静かに唸りを上げる。

 その音に現実へ引き戻されながら、私はゆっくりと息を吸い込んだ。


 茶葉は烏龍茶にした。マグカップにティーバッグを入れ、そこへ熱湯をゆっくり注ぐ。ポットからこぼれる湯の音が、静かな部屋にやさしく響いた。じわじわと茶葉が広がり、湯の色がゆっくりと茶褐色に変わっていくのを見つめながら、私は心を落ち着けていった。


 ふたたびマグカップの持ち手を握り、そっとリビングへと戻る。ソファの上で、直弥くんはぼんやりと虚空を見つめていた。だが私の気配に気づくと、少しだけ目を細めて微笑む。


「ありがとう。」


「どういたしまして。」


 マグカップを渡してから、私も彼の隣に腰を下ろす。二人の間にあるのは、まだ少しぎこちない沈黙。けれどそれが嫌なものではなく、どこか安堵にも似た空気を伴っているのが不思議だった。


「あちっ……」


 小さな声がして、思わず私は吹き出した。


「もしかして直弥くん、猫舌なの?」


「んぇ? ……ああ、まあそうだけど。なんでそんなに笑ってるの?」


「分かんない!」


 笑いながら答えた私を見て、直弥くんも肩をすくめて苦笑いを浮かべる。その表情がどこか気の抜けたようで、また可笑しさが込み上げてくる。


 ――箸が転んでもおかしい年頃。

 そんな古い言い回しが、ふと頭をよぎる。


 でも、たぶん今の私は、ただ年相応なだけじゃない。

 今こうして、直弥くんが隣で生きていて、笑ってくれている。

 その事実が、こんなにも心をほぐしてくれるなんて。

 それだけで、涙が出るほど安心してしまう自分に、ようやく気づいた。


 ……けれど、それでも。

 安堵だけで済ませてはいけないのだ。


 ――聞かなきゃ。

 彼がなぜ突然倒れたのか。

 なぜ、魔族にしか流れないはずの青い血を流していたのか。

 さっき、あの優しい声で口ずさんでいたあの旋律はなんだったのか。

 直弥くんは一体、私たちに何を隠しているのか。


 それを知ることは、ただの好奇心なんかじゃない。

 私は彼のバディであり、そして、かけがえのない親友でもあるのだから。

 りょうちゃんと同じくらい大切な、戦場を共にする仲間として――

 知っておくべきだ。

 彼の過去を。

 彼の真実を。


 そして、私もまた。

 自分の過去を、ちゃんと彼に打ち明けなければならない。

 その覚悟を決めて、私は彼の目をまっすぐに見つめた。


「……ねぇ、直弥くん」


 笑いが静まり、空気がゆるやかに張り詰める。

 私の声も、それに合わせて、静かに落ち着いたものになる。


「君は……何を、隠してるの?」


 続く…

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