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、、、おや、珍しい。
ここに人が来るのは何年ぶりでしょうか。
10年、、、いえ100年は優に超えているでしょうね。
いらっしゃいませ、今日はどういったご要件で?
、、、ここはどこか?それ本気で仰ってます?
、、、はぁ、さすが気まぐれと言ったものですね、、、
、、、いえ、ただの独り言です。気にしないでください。
見ての通り、ここは図書館です。幾万、幾億もの様々な物語が本館に貯蔵されています。
、、、どんな本がおいてあるか?そうですね、説明するのは少々難しいですが、、、
強いて言うのであらば、あらゆる世界の記憶、でしょうかね。
おや、どうされました?
、、、ふむ、なるほど。
経緯はどうあれ、あなたはここに来られたのですから、ここは1冊、手にとってお読みになられてはどうです?
無理強いはしません。ここにはあなたと私しかいない。叫びたいなら叫ぶのもよし、疲れたなら横になるのもよし、何もせずにこのまま立ち去るのもまたよし、、、ルールや法律だなんて、ここにはありませんから。
、、、ふむ、その本を手に取られましたか。
「人魔闘諍」、私もずいぶん久々に見ました。
内容は、、、まあ見ればわかりますよ。
、、、私が何者か?ずいぶん聞くのが遅いですね。
変わりませんよ、私もあなたも。生きている時間が、あなたより少しだけ長いだけ。
、、、さて、雑談もこの辺にして、早速そちらの本をお読みになってはいかがですか?
時間なんて気にせず、ゆっくり読めばいい。途中で疲れたなら、一度閉じてもいい。わからなければ、ページを戻ったっていい。彼が生きた証を、その目で見届けていただけるなら、、、
さあ、彼が残した次のページへ、進みましょう、、、