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人気ジャンル:異世界[恋愛]

愛する人が1番大切なので、地の底でも王子を愛し続けます。

作者: 神離人

「『愛する者は1番を述べる』!!!!!!!!!!

 これは心理学者たちが提唱する

 愛の確認方法の1つです。


 今1番愛しているものは何か。

 今1番愛している部分は何か。

 これらを即答できなければ、

 愛には遠く及ばないという考え方です。


 愛にはあるのに、熱狂にはないもの。

 そう、理解こそが

 愛に欠かせない要素なのです。


 愛してからの理解は

 熱が冷めただけ。

 あるいは愛する人に

 駆け引きで負けたに過ぎません。 


 ……とは言ったものの。

 厳密過ぎると、

 愛に嫌気がさすかもしれませんね。


 心理学者の言葉を信じて、

 『1番を即答できれば愛している』の

 認識でも、まあ、いいと思います。


 令嬢。あなたが今

 1番愛しているものは?」


「人間の王子!」


「1番愛している部分は?」


「顔だ!一目惚れ!」


「いい返事です。

 行きなさい令嬢!


 あなたの女の魅力で

 人類をヒトデの

 友好種族とするのです!」


「任せな、ヒトデ貴族女王!

 令嬢の俺が

 あいつと婚約してみせる!」


 ある海岸の豪邸にて。

 ヒトデ<人型>の令嬢は、

 ヒトデ貴族女王に見送られながら

 人類の地へ旅立った。


 令嬢には愛する人間がいた。

 王宮に住む王子である。

 愛する理由は一目惚れ。

 海のパワーで地上を見渡していたら、

 タイプの王子を見つけたのだ。


 海のように爽やかな王子を想いながら、

 令嬢は王宮へと向かうのであった。



----------



 王宮の前までやってきた令嬢。

 王宮への扉は開かれている。

 中に入ろうとした令嬢の前に、

 1人の人物が立ちはだかった!


「王子への愛しい気配を感じる。

 ……そこの令嬢!貴様か!

 我が王子を狙っているのはっ!」


「へっ。お前のものだとしても

 俺が勝てば俺のものだろ!」


 令嬢の前に現れたのは

 祈祷師であった。

 令嬢が戦闘態勢を取ると、

 祈祷師は闘気を纏って襲い掛かった!


「我が体技を受けて見よ!

 でやあああああぁっ!」


 祈祷師は拳を構え、

 令嬢の足元に振り下ろした!

 奥義"ギガント祈祷界"により、

 祈祷師の筋力が圧縮増殖する! 


 祈祷師の拳が地を貫いた!

 闘気で強化された筋力が、

 地中を鳴動させていく!

 王宮の周囲全てが崩れていき、

 令嬢と祈祷師も巻き込まれる!


「な、なんだとぉーっ!?」


「くくくくく。

 我が力で地獄に送ってやる!

 落ちろ令嬢ぅーーーっ!」


 祈祷師は落下している鉱石を

 令嬢に向けて踏みつけた!

 人くらいのサイズがある鉱石は

 怪しく光りながら令嬢に飛んでいく!


「その石、王子に相応しいな!?

 ならば俺が制するまでだぁっ!

 うおおおおおおおおぉっ!」


 令嬢の拳に地熱がチャージされる!

 研ぎ澄まされた令嬢の手刀が

 巨大鉱石をカットしていく!

 妙技"大海原カッター"が決まった!


 令嬢はカットし終えた宝石を

 懐に入れて、

 余りを祈祷師に投げつけた!


「返すぜ!宇宙にな!」


 鉱石は熱の気砲となって、

 祈祷師に激突した!

 熱の空気砲を受けた祈祷師は

 絶壁の上へと飛んでいく!


「ぐああああああぁっ!」


 地上を越えても

 祈祷師の勢いは止まらない!

 あっという間に上空に達して、

 ついには宇宙まで吹っ飛ばされた!

 既に祈祷師は気絶している。

 

 一方、令嬢は地中に着水した。

 地下に溜まったマグマの海が

 令嬢の落下ダメージを打ち消したのだ!

 絶壁の上を見上げる令嬢。


「さてどうしたもんか。

 上るか、崩すか。

 まあ崩すけどなっ!」


 令嬢は拳で崖を砕き始める。

 王宮を支えている崖は

 パンチ一回ごとにかなりの範囲が

 消し飛んでいる!


「うおおおおおおおぉっ!」


 崖の下に入り込み、

 下側からの連打により

 王宮の地盤を粉砕していく。


 王宮が手元にやってくるまで

 令嬢は崖を殴り続けるのだった。



----------



 王宮の地盤を砕き続けた令嬢は、

 王子のいる王宮を

 ついに地中にまで移動させた。

 マグマの海だった場所は、

 崖の破片で埋め尽くされている。


「ようやく会えるぜ!

 どこだ王子ーーーっ!?」


 令嬢が城内を探していると、

 倒れている王子を発見する。

 王子の意識は朦朧としており、

 高熱を引き起こしていた!


「ぐううぅ。

 空気が熱い……」


「空気だと?はっ!」


 令嬢は高熱の原因に気が付く。

 王子が高熱なのは

 温度の高さが原因であった。

 少し下にあるマグマの地熱で、

 王宮全体が高温の建物となっていた。


「王子は熱に弱いのか……!

 な、なら話が早い!

 俺にはこれがある!」


 令嬢は、先ほど加工した宝石を

 懐から取り出した。


 宝石内部には、

 人類に高熱耐性をもたらす為の

 効能がたくさん詰まっている。


「これで蘇ってくれっ!

 うおおおおおおおぉっ!」


 令嬢は宝石を磨り潰すと、

 王子の腹部に粉を叩き込んだ!

 皮膚から浸透して、

 宝石は王子の体内に吸収されていく。


「……こ、これは。

 熱くないだと?」


「ああ。今のあんただったら

 マグマにも耐えられるぜ。

 それより王子、俺と婚約しろ!」


「よいのか私で?

 1人で留守番もできずに

 倒れるような男だぞ」


「あんたに罪はねーよ。

 全部祈祷師のせいなんだ。

 それにあんたとの婚約は

 俺の本心だ」


「とてもうれしいよ令嬢。

 最悪の環境下で

 最高のパートナーと出会えた。

 ここを我らのパラダイスにしていこう」


「おうっ!」


 こうして地中深くで出会った2人は

 婚約することとなった。

 人間とヒトデなので

 能力や価値観に差はあったものの

 もはや2人にとっては些細な問題であった。


 2人にとって大切なのは

 互いの存在そのものであった。

 他に誰も王宮にいないので、

 必然的に『互いが1番大切な人』となるのだ。


 令嬢は王子に尋ねる。


「1番好きなものと

 1番好きな部分は!?」


「令嬢!強さ!」


「王子!顔!」


 相手が1番愛しているものを

 2人は互いに知っていた。

 互いを理解して、愛し合っているのだ。

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