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(番外編)父よ、わたしにはあなたが必要だ
ほら、と賢人が一枚の肖像画をスクリーンに映し出した。
「これがピエール=アンリ・ド・ヴァランシエンヌの自画像(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/54/Pierre-Henri_de_Valenciennes_-_Autoportrait.jpg)です。彼はフランスのトゥールーズで生まれた主に風景画を描いた画家です。父親はかつらの製造業者で、母親は家具商人の娘だったそうです」
わかりました、と七海は頷いた。
「彼は父親と仲が悪く、些細なことから喧嘩をして家を飛び出し、その結果として画家の道を歩いたのですね?」
「さあ、それは知りませんが。しかし何故そう思ったのですか?」
だって、と七海はヴァランシエンヌの自画像を指差した。
「仲が良いんならとうちゃんにかつら作ってもらえよ、って思いませんかこの自画像?」
「それは人それぞれでは?」