168/238
(番外編)もし、女子高生の私がギュスターヴ・クールベの『世界の起源』を職員室の前で大画面で見たら3
では、とゴロゴロとスクリーンを押して美術準備室から廊下に出ながら、沙織は部室の中の面々に向かって頷きかけた。
「行ってまいります」
わかりました、と部室に居た全員が頷いた。
「行ってらっしゃい」
ぴた、と足を止めてしばらく佇んだ後、沙織は目を細めて再び一同を振り返った。
「何故私の時は止めないのですか?」
いやあ、と頭後を掻きながら、七海はバツが悪そうに見上げるようにして沙織を見た。
「道義的には止めなくちゃいけないのかなあ、とは思いつつ、沙織さんVS先生のバトルの結果がどうなるか見てみたいという欲求が勝っちゃって」
「同じく」
「ぼくも同じです」
「すみませんが私も」
目を細めたまま、愛想笑いを浮かべて自分を見つめている四人を見つめ返した沙織は、吐き捨てるようにして言った。
「人の好さそうな顔して、どいつもこいつもクズばかりですね、この部は」
そうかもしれませんが、あなたにだけは言われたくありません。