もっさんの作品は何かを再構築して作られている。
もっさんのくせに、大した実力も無ければそれを裏付ける数字的結果も書籍化もアニメ化もなろラジに放送されたこともないもっさんですが、エラそうなことを言います。
創作小説は、設定を考えている時が一番楽しい。
これ、多くのと言うかほとんどの人間に当て嵌まるのでは無いかと。
だけども、全体のバランスから始終まで考える人はそうそういないと思うのです。
例えば、異世界転生チーレム無双俺TUEEEEEを書こうと思って、主人公をとにかく無敵にしたり、自分の気に入ったキャラを作品の枠飛び越してクロスさせたり、まぁ好きなものだけ詰め込むだけ詰め込むと言う、頭の悪いバイキング形式の食事みたいな設定なわけです。
そして即見切り発車。
これ、三日で未完のまま終わるケースが99%です。
絵を描くには才能が要るけど、文なら誰でも書ける?
そ ん な 妄 言 を ど こ で 習 っ た の で す か ?
まぁ確かに書くだけなら、パソコンやスマートフォンの使い方さえ分かっていれば出来るでしょうな。
けれど、それを最初から最後まで続けられる人間は、実は存外に少ないのです。
続けられない人間は、何故続けられないのか?
それをキッチリ完結させようと言う気概が無いのは当然として。
その見切り発車、終点が見えていないのですよ。
どこで終わるかを決めないから、物語はただ思いつくまま、道筋なんてありゃしない。
線路無しで電車を走らせたらどうなるか?
当然、その辺にぶつかって一発アウトです。
だから詰む、つまり続きが書けない、放置される。
ちゃんとした"作品"として完結するものは、設定段階からちゃんとしているのです。
たまに見切り発車の状態からなんとか方向修正して完結まで持っていこうとする猛者もいますが。
さて、前置きが長くなるのはもはや恒例化しています。
今回は『もっさんはどのようにして物語の設定を構築しているのか?』と言うことについて触れようと。
もっさんの代表作『恋愛初心者の付き合いかた』、通称、『恋付』を引き合いに出してみましょう。
始まりは、コロナ禍以前――もう四年近く前になります。
ある日もっさんは、リアル友人とガ○プラを買ったついでにお茶をしておりました。
もっさん「実は最近こんな感じのゲームをしておりまして」
リアル友人「さすが大佐だ、何ともないぜ」
もっさん「ところでリアル友人よ、このゲームを参考にして、オリジナルストーリーの設定を考えてみないかぇ」
リアル友人「FAZZ?」
もっさん「実際に作品にするかどうかは別にして、とりあえず詰めたい要素を詰め込むんだぜ」
リアル友人「ほほほほう」
もっさん「そしておや?こんなところに都合よくノートとペンが」←鞄からごそごそ
リアル友人「おぉ、さすがは大佐。準備が良いではないか良いではないか」
……と言うわけで、昼間にも関わらず深夜テンションで物書きを開始するバカ二人。
これと似たようなことを以前からしており、いつしかこれを『無駄なこと』と称するようになりました。
そしてさらにある日、いつものように無駄なことをしている内に熱が入り、本格的な『プロトタイプ恋付』とも呼ぶべき仮作品の設定が構築完了されたのです。
・主人公と悪友二人による、男子三人編成。
・攻略対象ヒロインは四人(先輩生徒会長・ゆるふわ幼馴染み・生真面目クラスメート・おとなしめ後輩)、サブキャラとしての女子は二人(ボーイッシュクラスメート・クール先輩)。
・現実世界にほんの少しの魔法要素が加わった、ちょっと不思議な学園モノ。
・始業式から夏休み前までを描いた春のストーリー。
・キャラクターの名前は桜の種類にちなんだ名称。
これはこれで完成として、この設定は記念(?)に持ち帰りました。
それから二年後。
小説家になろうに流れ着いた時、さて何を書こうと思った時、この設定のことを思い出しました。
しかしこれをこのまま組み込むと、色々とちぐはぐだらけですぐにボロが出てしまう……
よし、これをベースにして再構築だ。
魔法要素を取っ払い、主要登場人物も六人に減らし、主人公と結ばれるヒロインは一人に絞り、髪の色や容姿も現実に近い色合いに変更して……
そうしてほとんど原型を残さずして完成したのが、『恋愛初心者の付き合いかた』なのです。
もっさんの描く物語の背景には、リアル友人との『無駄なこと』が行われているのです。
もっと言えば、上記のリアル友人とは別の友人が、意気揚々と始めたのはいいが、挫折して未完のまま終わった作品の設定を逆輸入して再構築して組み込む、なんてこともあります。
某国共産党が要らんことをやらかしたせいで、ここ数年は顔を合わせるのもご無沙汰ですが、互いに時間がある時はたまーにリモートで無駄なことをしています。
またコーヒー片手に、生身同士で無駄なことをしたいなぁ。
『冒険者組合の下請け人見習い』に関しては、リアル友人の力添え無しでほぼ独力で構築した作品です。