もっさんにとってコーヒーとは執筆活動そのものである。
そもそももっさんがコーヒーと言う飲み物の存在を正しく理解、認知したのは小学三年生くらいの頃で、それまでは親の影響から「お酒とコーヒーは大人の飲み物だ」と認識していたのは、間違っていないでしょう。
未成年が飲酒をしてはいけないのは、摂取した際のアルコールの分解力――つまり肝臓器官が未発達であるが故に、日本の法的にも禁止されているのです。それが分からぬ、自分をオットナーと勘違いしているお子さまは酔っ払って正常な判断が出来なくなって亡くなるわけです。
ではコーヒーはどうなのかと言えば、別にこれは法的な問題にはならないので何歳が飲んでもいいのです。発達に害を与えるかどうかは別として。
そんな当時九歳だったもっさんは、お家の棚にあるインスタントコーヒー(苦味強)のビンを手に取りました。
コーヒーを子ども向けココアと同じようなものだと思っていたもっさんは、普通なら大さじ一、二杯でいいはずのところを、どっさりと『マグカップの1/3が埋まるほどの』粉末を放り込みました。
……さて、この時点でお察しの通りです。
お湯を沸かして、スプーンでかき混ぜながら注ぎ、『如何ともし難い黒々とした飲み物』が出来上がりました。
香りを嗅ぐと、なかなかどぎつい香りがします。
しかしこれがコーヒーと言うものだと信じて疑わぬもっさん少年は、ふーふーと息を吹き付け、『キャット・オブ・ネコジータ』と称された舌へそれを一口し、
「ガハッ、ゴホゴホッ!(瀕死)」
あまりの濃さと苦さに思わずリバースしました。
「こ、これがコーヒーと言うものか……なるほど、子どもが飲めない理由が分かった」
と盛大な勘違いをして、後日に母にそのことを話したらなんか微妙な顔をされました。
さて、またしても前置きが長くなりましたが、今回は『もっさんが普段小説を書いている時の環境』についてお話しようと思います。
昨今のコロナ禍において、その頻度も大幅に減りはしたものの、もっさんはよく喫茶店でコーヒーを一杯引っ掛けつつ小説を書いているのです。
上島とかコメダとか、そう言う大手のコーヒーショップも悪くないですか、基本はクラシック感あふれるこじんまりとした場所へ行くことが多いです。
「マスター、いつもの一杯(低音)」
なんてスカしたことは言いませんが、常連扱いされるほど通い詰めた場所には、世間話をしながら注文するくらいの気軽さです。
そして、もっさんはもちろんブラック派です。
子どもの頃にやらかした一件など、とうの昔に忘れたかのように香りを楽しみ、一口啜ってから、スマホを取り出します。
愛用のヘッドホンを着用し、こだわりのジャンルのない『とりあえず好きな曲を片っ端から放り込んだ』ipodから音楽を流して、執筆スタートです。
ホワチャチャチャーとスマホを打ち込み、ちと疲れたらコーヒーを一口し、一息ついてからまたホワチャチャチャーと打ち込みます。
そんな感じで、二時間ほど居座ってスマホを打ちまくっていると、電池残量もいい具合に減ってきているので、最後に何文字まで書いたかを確認してから、お冷を飲み干してお会計です。
大体コーヒー一杯で過ごす時間で1500〜2000文字が基本、覚醒ゾーンに入っていると4000〜5000文字は書いています。
物価爆上・増税という政府の愚策により、年々コーヒー一杯の価格が上がってきているのを見ると、胃と財布へのダメージも大きいですが、楽しんで物書きをするにはこう言うところで過ごすのが、もっさんにとっての一番です。
かつてもっさんは、コーヒー一杯で8時間ほど居座り、店内のコンセントまで駆使して、一度に20000文字を書いたこともあるアホでもありました。