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12人の少女達の日々  作者: ヤマネコ
6/16

伊藤ルキ×朝倉理科

ブクマよろしくお願いします。

どうしてどいつもこいつも私を攻撃するのか…。


私は小さい頃…。具体的に言うと、小学校4年生くらいから虐められていた。


理由は今でもよく分からないが…多分クラスの中心人物の女子が好きな男子が私に告白いてきたことが原因だと思う。


今も昔も私はサバサバとしていて、男口調であり、お洒落よりお菓子やスポーツの方に興味があって、4年生までよくクラスの男子と一緒にお菓子を食べながら遊んでいた。


そんなある日、一緒に遊んでいたクラスメイトの男子に放課後話したいことがあると言われた。


放課後になり教室で待っていると、その男の子が手足をプルプルと震わせて、何度も口を開ける閉じるを繰り返して…


「好きです。僕と付き合ってください」


と告白された。


対する私の返事は


「ごめんなさい。君とは付き合ない」


断った。


男の子は、それを聞いた後に小さく「そうか」と呟き教室を出て行った。


次の日学校に登校すると、教室の空気がいつもと何かおかしなことに気付いた。


ほとんどの人が私を見てひそひそ話をしている。何事かと思い、近くのクラスメイトに話しかけようとすると、自称クラスのリーダーがしゃしゃり出てきた。


自称リーダー「伊藤、○○を振ったんですって?」


ニヤニヤと気持ちの悪い笑みで聞いてきた。その名前の男子を見ると、何故かニヤニヤしている。本格的に訳が分からなくなった私は思わず聞く。


ルキ「そうだけど…何?」


自称リーダー「○○は私と付き合う事になったの。残念だったわね~♪」


自称リーダーさんが下品な笑い方をすると、クラスメイト全員が下品な笑いをした。


その直後、チャイムが鳴って担任の先生が教室に入ってくる。


担任の先生「授業を……どうした?」


教室の異様な雰囲気に勘づいたのだろう。入り口付近にいる生徒に事情を聞いても「何もない」と言われ、それ以上何も言えなくなったようだ。


授業中


どこからか消しカスが投げられる。投げられた方向を見ると、自称リーダーがニヤニヤしていた。また別の方向から消しカスが投げられる。


そっちの方を向くと、昨日私に告白してきた男子だった。


ルキ「先生」


担任の先生「ん? どうして伊藤? 分からないところがあったか?」


ルキ「○○君と自称リーダーが私に消しカスを投げてきたので、やめるように言ってくれませんか?」


担任の先生「そうなのか? 2人とも伊藤に消しカスを投げたのか?」


○○「投げていません~」


自称リーダー「私も~。ねぇ、私消しカスなんか投げてないよね~?」


自称リーダーの仲間「投げていませんでしたよ。伊藤さんの言いがかりですよ」

ルキ「言いがかりじゃないです。本当です」


自称リーダー「ちょっと伊藤さん?授業の邪魔をしちゃダメですよ~?」


自称リーダーの仲間「本当にそれ。こんなの3年生でもできますよ~?」


教室中に下品な笑いが響く。


ルキ「本当です。信じてください先生」


担任の先生「…。この授業が終わったら話を聞く」


授業が終わって休み時間。私と自称リーダーが呼び出される。


私はなんども消しカスを投げられたと言っても、このメスが涙声で肩を震わせて


「伊藤さん。私に言いがかりをつけるのはもうやめてよ」


なんてことを言ってきた。途中、仲間がやってきて私に謝るように求めてきた。


当然謝らなかった。だって自分は何一つ悪いことをしていない。何故謝らなきゃいけないのか…。私が謝らないでいると仲間共は大きな声で私が悪いと連呼して、他の先生もこっちを見てきた。


担任の先生は他の先生に自分のクラスのもめ事を見られたくなかったのか、私が悪いという事前提で話し始めた。


それでも謝らないでいると、チャイムが鳴った。担任の先生にクラスに戻るように言われた。


彼女たちより先に職員室を出て、教室に戻る。嫌な予感がしたからだ。


廊下を走ってはいけませんよ~ゲラゲラと後ろから聞こえるが構わず向かう。


急いで戻ると、私の机の周りに沢山の人がいた。私の姿に気付いた生徒が「伊藤が来た」というと、蜘蛛の子を散らすように私の机から離れていった。


机の上には、泥や砂がべちゃべちゃと付いていてとてもじゃないが、まともに勉強できる状態じゃなかった。


担任の先生「それでは算数の…授業を…」


担任の先生が私の机の上を見て言葉を失っている。私が何か言う前に


○○「伊藤さんが暴れて泥が机の上に舞ってしまいました。直ぐに掃除します」


と言って掃除箱から、薄汚れた雑巾をゴシゴシと拭いていくと、思いっきり机を押し倒して机の中に入れていたノートや教科書が地面に落ちてしまう。


○○「うわっと!」


わざとらしく倒れた机の足に自分の足を引っ掛けて泥まみれの雑巾を私の教科書にベターっと落とした後、足で雑巾の上からぐりぐりと踏みつけていた。クラスが下品な笑いに包まれる。担任の先生は言葉を失っている。


私は何も言わず、ランドセルだけ回収して教室を出て行く。


ルキ「早退します」


教室では愉快そうな声で包まれていた。



ルキ「あいつらマジで許さねえ…」


家に帰って親に今日あったことを説明すると両親は「ルキくらいの年だとそういうこともあるわよ。放っておけば勝手に終わる」と言われた。


なんかガッカリした。私の説明が簡単すぎて軽く見られたのかもしれないと思い、告白されたこと、その告白してきた男子に彼女が出来たこと、その彼女が自分に物を泥とかで汚されたこと、消しカスを投げられてことを伝えると


両親「明日にはそんなことやってこないよ」


ルキ「なんで言い切れるの?」


両親「ルキくらいの年はそういう悪戯がよくあることなの。あまり気にしないで。酷かったら私たちが先生に相談するから」


両親がそう言うんだからきっとそうなんだ。そういう風に思う事で今日の嫌がらせのいらだちを押せることが出来た。



次の日、教室に着くと話し声がピタリと止まり、全員が私を見ている。次に何が起こるかがなんとなく分かった。


自称リーダー「伊藤さん。お・は・よ・う」


私の足をぐりぐりと踏みつけながら、気持ち悪い顔で挨拶してきた。そして私の耳に口元を寄せて


自称リーダー「○○ってヤッたの~。ねぇねぇ、今どんな気持ち~?」


ヤッたというのがこの時何か分からなかったが、自分たちのいちゃつき具合を自慢したかったのだろう。○○を見ると、私を見下しているような目つきでニチャと笑っていた。


あそこまで緊張した感じで告白してきた彼は一体どこに行ってしまったのだろうか?それともあれは演技?もしくはあの時点でグルだったのかもしれない。どの道、私の味方ではないのだろう。


また私を罵倒するようなことを言ってはクラスメイト全員が笑っている。担任の先生が来ても「何もない」という数の暴力で言いくるめられてしまう。


ルキ「早退します」


担任の先生の返事を聞かずに教室を出て行った。


学校を出てある女子中学校の近くの図書館に足を運ぶ。学校の図書室に行ってもどうせ頑張れば仲直りできるとか言うつもりだろう。


一度そのつもりで学校に行ったのに、こちらが何もしないでも攻撃してきた。そんな奴らに何を頑張るのか…。


全く分からなかった。


適当に絵本が沢山置いてあるコーナーに足を向けると、そこには自分と同い年くらいのランドセルを端において本を読んでいる女子がいた。


身長が高い。5~6年生だろうか?こちらに気付いたようで一度目が合うが直ぐに逸らされてしまう。


私も棚から本を取って読み始める。授業を受けているよりは気軽な時間を過ごすことが出来た。


何冊か読んで飽き始めていると、さっきの女の子がいた所から鼻をすすっている音がした。


そっちを見ると、さっきの女の子が泣いている。


ルキ「あの、どうしたの?お腹痛いの?」


女の子「え…っ……」


はっきりと言わず、口をパクパクしている。こっちが首をかしげていると、女の子は隅に置いてあったランドセルを開けて、鉛筆1本とノート1冊を取り出した。氏名の所に「あさくらりか」と書かれていた。


ルキ「?」


そのまま黙って見ていると、女の子の白いページに鉛筆を走らせ文字を書いてこちらに見せてきた。


【学校で いじめられているのを思い出して いやなきもちになったの】


ルキ「どうしていじめられているの?」


【わたしが 人と 話すの にがて だから それで からかわれる】


ルキ「…わたしもいじめられているの」


【どうして】


ルキ「私に告白してきた男子がいて、そいつを振ったら、次の日クラス全員が私を攻撃してきた」


【 その男子 きらいなの?】


ルキ「告白されたときは、好きでもないだけだったけど、今は大嫌いだ」


【そうなんだ】


ルキ「…友達だと思っていたのに…はぁ」


【あなたは 友達 いるの?】


ルキ「…友達だと思っていた奴ならいるけど…正直友達と思えなくなってきたよ」


【じゃあ 0人?】


ルキ「……そうかもね。 友達ってなんだろうね」


【わたしも 友達が何か よくわからない】


ルキ「国語辞典によると、親しく付き合っている人 だって」


【親しい? 】


ルキ「心が通い合っていることだよ」


【心を通う? どうやって 確かめるの?】


ルキ「…確かに…どうやって確かめるのかな…お前の見ている絵本に確かめる方法ってあった?」


【わからない それであったら きいていない】


ルキ「それもそうだな」


ここに来て初めて笑った。それもそうだ。分かっていたらそもそも聞かないか、分かったふりをしているのをバレたくないからだ。声を出して笑ってしまった。


ルキ「なぁ、それならいじめられている者同士、確かめる方法を一緒に探さないか?」


朝倉の手がピタリと止まり驚いた顔をしている。


ルキ「私は学校に居場所がない。おまえも居場所がないならさ…よかったらだけど…その…どうかな?」


我ながらよくわからない提案をしている。こんな誘いに乗ってくれるのだろうか?


朝倉はルキの顔をじっと見つめている。


【学校どこ?】


ルキ「××学校」


【わたしとちがう学校 あうきかい 少ないと思うよ】


ルキ「…この図書館で会えば問題ないでしょ」


【いつかあうこと なくなるよ】


ルキ「…それでも私はお前と探してみたい」


女の子はどうしようかと唸って考えた後に


【わかった 私の名前は あさくら りか あなたは?】


ルキ「…伊藤ルキだ。頼みがあるのだが、自分の名前くらいは声に出してほしいな。待つからさ」


朝倉の顔が強張る。ルキは彼女の目をじっと見て待つ。1分、2分、3分 待ち続ける。


朝倉「あ……さく…ら…り…………か」


掠れた声だが確かに聞こえた。


ルキ「よろしくね朝倉」


朝倉に笑顔で答えて握手をした。丁度彼女の途中まで読んでいた絵本には、女の子2人が仲良さそうに手を握っている絵だった。




ブクマよろしくお願いします。今後もよろしくお願いします。

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