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12人の少女達の日々  作者: ヤマネコ
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柊奈那子×清水社巫女

ブクマよろしくお願いします。

柊「いけない~遅刻~」


このままだとHRに間に合わない。「急げ急げ」と足を走らせていると学校付近の公園に出る。この公園を通り過ぎれば、学校は目前だ。 


公園のベンチに座っているおばあさんの姿が目に映る。その場を通り過ぎようとすると座っていたおばあさんが倒れてしまった。


柊「え」


一瞬見間違いをしたのかと思い、足を止めて改めておばあさんが座っていた所を見る。


ベンチに横になっている。見間違いではなかった。


柊「どうしよう」


このまま行けば一時限目が始まるギリギリに着くことが出来るが、このおばあさんはどうなるのか…。


柊「…。仕方ない」


足を学校から公園の方に向けて、倒れているおばあさんの方によると、心臓の部分に手を当てて苦しそうな声で呻いている。


柊「おばあさん!おばあさん!」


呼びかけても返事をしてこない。


柊「誰か!誰か助けてください!人が倒れています!」


生まれて初めてこんなに大きな声を出したかもしれない。


近くの住宅に住んでいる人が何事だと思ったのだろう。玄関から、窓から見てくる。しかし見ているだけで誰も駆け寄ってこなかった。


誰かが代わりにやってくれるのだろうと思っているのだろう。


何をすればいいのか全く分からず、冷や汗で頭がとても痒くなってくる。


そんな時、幼い声が公園の入り口からドタバタと駆け寄る音と同時に聞こえた。


清水「どうしたの!?」


自分より10㎝くらい小さくて同じ制服を着た少女が肩にかけていたスクールバックを放り投げて駆け寄ってきた。


清水「おばあさん!大丈夫!?」


清水「あなたは119番通報して!」


柊「はい!」


言われるがまま119番にコールをした後、公園におばあさんが倒れていること、住所、心臓を抑えて苦しそうになっていることを伝え、救急車が来るまでの応急処置の指示をもらい、その場で居合わせた少女とともに応急処置をしていると、遠くからサイレンの音が聞こえてきた。


清水「来た!私がここに連れてくるから続きをお願いね」


柊「はい!」


少女は公園を出て行って音の下方向に向かった。


やがて救急車が目の前まで来ておばあさんが車内に運ばれると、隊員の一人が私ともう一人の子に名前と学校の名前を聞いてきた。


柊「柊奈那子です」


清水「清水社巫女です」


隊員はメモ帳に私たちの名前と学校を書いた後、お礼を言ってすぐに運転席に戻り、サイレンを走らせて行ってしまった。


柊「……」


清水「さてと、私達も学校に行きましょうか」


清水さんがこちらの目を見ながらそう言った。


柊「そうですね」


清水「あなたがいなかったらあのおばあさん危なかったかもね。私全力疾走していたから、あなたの声が聞こえなかったら多分気付かないで通り過ぎていたと思う」


柊「でもわたし…清水さんみたいに頭が回らなかったですし…」


清水「私も初めての時は、どうしたらいいのかさっぱり分からなくて頭真っ白になったわよ。経験の差よ。でも何度も経験するうちに何をすればいいのか分かるようになってね…。もしまた同じことがあったら今度はあなたが私みたいに動けるように出来るといいわね~」


清水さんはニコニコ笑っている。彼女が放り投げたスクールバックを広って渡す。


柊「これを」


清水「? あぁ、ありがとうね」


柊「その熊のキーホルダー可愛いですね。それにこの猫とかウサギも…。動物が好きなんですか?」


清水「その熊は私の大切な友達なの♡」


柊「…友達?」


清水「えぇ!そうよ♡」


嬉しそうに熊のキーホルダーをブラブラと揺らして見せてくる。


柊「…かわいい…」


そう言うと、清水さんは目をキラキラと輝かせて


清水「分かってくれるの!? あなた見る目があるわよ」


また上機嫌になった。


柊「…あ!もう一限始まっている…。はぁ…遅刻だ」


清水「あらほんとね。…。いっそさぼっちゃう?」


いたずらを思いついたようにこっちを見る清水さん。


柊「…いやいや、授業に出ないとだめですよ。親にお金を出してもらっているんですから」


そう言うと、清水さんが少しギクッとしたように身体を震わせると、さっきのニコニコ顔がどこに行ったのか


清水「そうね」


短く真顔で返してきた。自分より二歩程度前に出て首を斜め後ろに向けている清水さんと校舎に入って下駄箱に着くまでの間に少しだけ雑談した後、清水さんと分かれた。


柊「…あの人、先輩だったのね」


自分より小さな身体の少女の背中がやけに大きく見えた。


今後もよろしくお願いします。

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