緋色沙耶×宮永美玖
ブクマよろしくお願いします。
緋色「ララララ~♪」
ある少女が機嫌よさそうにゲームショップから少し大きな袋を両手で持って楽しそうに歌っている。顎が外れるのでは?と思うほどのニヤニヤだ。
周囲の人は「なんだこいつ」というような目で見ているが少女にはそんなこと知らんというようにご機嫌だ。
緋色「あ~♪会いたかったよ~♪」
袋に頬をこする。控えめに言って気味が悪い。
そんな少女に後ろからドタバタと誰かが隣を走り抜けていった。
緋色「うん?」
なんだろうと思って後ろを振り返ると、チャラそうな男2人が、自分の方に走ってきた。
緋色「なんだ~?私の関係のないところでやれよ~」
直ぐにゲームのことを思い浮かべて、またニヤニヤとしていると背中から強い衝撃が伝わってきた。
緋色「うお!?」
体勢を崩してしまい、袋を前に落としてしまうと
チャラ男1「どけ!」
チャラ男2「邪魔だ!」
と言って、2人とも緋色にぶつかった後、袋を思いっきり蹴とばし中身のゲームソフトとハードが外に出てしまった。
緋色「あ!?」
直ぐにハードとソフトが傷ついていないか見てみると、無傷だった。厚めに包装してくれて助かったと店に感謝するのと同時に
緋色「なんだあのゴミクズども」
人を突き飛ばすのと同時に、人の楽しみを蹴っ飛ばして誤りもせず、罵倒して走り抜ける…。
気に入らない。
緋色「…けど、また問題を起こしたらさすがに捌ききれないよな…。うん…」
少し悩んだあと、
緋色「そうだ。私は優しいんだ。だからあのゴミクズどもの相手をする必要なんかないさ。HAHAHA」
全く笑っていない声で、ケラケラいている。さっきまで彼女を見ていた人は、怯えているようにも見える。
もうすぐ家に着く。そしてら、この子を開放して今日ずっと遊べると思うとニヤニヤとした顔になっていた。
緋色「~♪」
そこの角を曲がれば、家だ。角を曲がろうとすると、自分より背の高い女子が飛び出してきてぶつかった。
緋色「痛い!」
袋を放り投げてしまい思いっきり尻餅をついてしまった。ぶつかった女子は謝りもせず、その場を逃げる。
緋色「おい!謝れ!」
女子の方を振り返ると、また女子が来た方向から車が近づいてきている音が聞こえてきた。
緋色「~~あぁもう!何なの?」
角を見ると、黒い車が緋色の放り投げてしまった袋を走行中のタイヤが通って「バキッ」と嫌な音がした後、通り過ぎて女子の方を追いかけていった。
緋色「あ…あ…あぁ…」
震える手で袋の中身を見ると、ハードが半分になっていた。
緋色「私のゲームが…わた…しの…ゲーム」
震える声で、震える手で残骸を持つ。ハードがお亡くなりになってしまったが不幸中の幸いにもソフトが無事だった。
しかし彼女の楽しみが目の前で壊されたことには変わらないわけで
緋色「よし決めた」
自分の部屋にゲームソフトを置いて、動きやすい格好になった後、頼れる友達2人に自分に起きた事件を伝え協力してもらった。
緋色「うん、うん、そう。ナンバーは…で…誰か分かったら…うん、お願いします。今度私のスイーツ譲るから。え?2人分?そんなにないよ。1つを2人で分けて。うん、よろしく」
通話を切って、置いてあるゲームソフトに目を向けて
緋色「待っていてね。すぐに弁償してもらうから」
もう外は暗い。時刻は午後6時くらいだろうか。
緋色(本来ならウハウハしながら楽しんでいる時間だろうに…くそが)
スマートフォンの画面に目を通すと、2人からメールが来ていた。
明坂絵美『多分それ宮永美玖ってこのファンだと思う。沙耶も聞いたことくらいはあると思うわ。美人でおしとやかな生徒で、生徒にも人気のある女子の一人よ。噂では女子が彼女に告白したとか』
茅野亜李『そのナンバーは今廃工場にいるよ。多分彼女の親衛隊とかそんな感じじゃないですか?敵対はめんどくさいと思うのでやめた方が良いと思います』
緋色『ゲーム機壊されたんだよ?弁償させなきゃ気が済まないっての?その宮永はもしかしたら許すかもしれないけど、車に乗っていた奴は問答無用で八つ裂きにするわ』
明坂絵美『八つ裂きって…。あなたがやるとまた面倒ごとになるわよそれ。八つ裂きなら私と亜李に任せなさい?そういう荒事はあなたには向いていないわよ?』
茅野亜李『そうです沙耶。そういうことは絵美に任せてれば問題ないわ。とりあえず場所はここです。私達は先に行っているので待っていますね』
スマホをポケットにしまい、送られてきた住所を調べてユラユラと向かう。
緋色「着いた」
着くとそこは廃工場だった。
宮永らしき人物が倒れている男の股間を蹴り続けている。
宮永「ほら。ここが良いんでしょ?ほらほら!」
楽しそうに蹴り続ける宮永に嬉しそうな顔をしている男たち。
男たちを良く見ると、車に乗っていた奴らの1人だ。
緋色「おい宮永美玖」
宮永「アッハッハッハ!ほ~ら。お前は鞭で叩かれるのは好きだろ?」
鞭で叩く音が工場内に響く。宮永は緋色の声を無視している。
緋色「おい、私のハードを弁償しろ」
宮永「アハ♪…ん~?誰よあなた?」
緋色の存在を初めて認識したような間抜けな声と、自分の楽しみを邪魔されたことにイラついたような声が混ざったような口調だった。
宮永「ハード?なんですのそれ?」
緋色「お前私の家の前で1回ぶつかっただろ?その時に持っていたハードをお前が今遊んでいるこいつの乗っていた車に轢かれて壊れたんだよ。弁償しろ」
宮永「壊したのは私じゃありませんねそれ。おいお前ら。弁償しろ」
叩かれている男「そうか、それはすまんな。それいくらだ?」
緋色「ハードが2万、後車に轢かれそうになったのと、後ろに控えているチャラ男2人が私にぶつかった時に謝罪一つなしだった、この女が私を突き飛ばしても謝らなかっこと込みで5万だ」
叩かれている男「…おいお前ら、今の話本当か?」
チャラ男1「…はい間違いないです」
チャラ男2「申し訳ありません」
叩かれている男「っち…ほらよ」
緋色に10万渡された。
叩かれている男「ここで行われていることを誰にも言わないことを追加してもらって10万でいいな」
緋色の返事を聞かず10万を手に握らせる。
宮永「ほら、用が済んだらさっさと帰ってよ」
自分は何も悪くない。そう言わんばかりに早く出て行けオーラが出ている。
緋色
怒鳴ろうとしたとき、スマホに通知が来ていた。
明坂絵美『手出しはやめなさい。あなたの目的はハードの弁償でしょ?それ以上そいつに関わる必要はないわ。手を出すだけ無駄よ』
茅野亜李『怒りたいのはわかります。だけど、ここで怒っても沙耶の目的には不必要なことでしょう?早くそこから消えた方がいいわ』
緋色「……ち」
舌打ちしてその場を去った。ハードはまた違う日に改めて買うことにしよう。
2人にお礼を言って、家に帰る。両親からは家に帰るのが遅くなったことについて何も言われず、台所には作り置きしていた夕飯があった。風呂を済まして、用意されていたご飯を食べて、寝ることにした。
後日、もう一度会って話す機会があったがそれはまた別の話。
よろしくお願いします。