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第2話~異世界到着 そして突然の死~

「ん?着いたか?」


目を焼いていた光が収まり、恐る恐る目を開けると


「おお、すげぇ。確かにここは異世界だな」


どんよりと曇った空。そんな雲の下を悠々と飛ぶ竜。荒れ果てた枯れ草がポツポツと生えた大地を闊歩する巨大な生き物。明らかに以前までいた地球上では見ることの無い生き物が沢山生息している。


「さて、まずは何をしようか。着ているものは最後に着てた私服か。つまりは丸腰。でもまぁ裸よりはマシということで」


ポケットになにか入っている訳でもない、肌を隠して体温を維持するためだけの衣服。今の装備はそれだけだった。


「こういうときにまずやるべきなのは火、水、食べ物、拠点の確保だ。不死の体で空腹感とか喉の渇きがあるのか分からないけど確保しておいて損は無いだろう。散策しながら探そう」


とはいえ丸腰だ。極力音を立てないように慎重に歩く。神が言ってたことが本当であれば致命傷を受けると死ぬ。死なずの体とはいえ死なないに越したことはない。


「しっかし何も無いな」


あるのは乾いた大地と少しの枯れ草。身を隠せそうな場所は無い。


「不死なんだ。最優先すべきは拠点。最悪飲まず食わずで死んでも蘇る筈だ。蘇った直後に殺されてはたまらないしとにかく安全な拠点が欲しいな」


歩く、歩く、歩く。でも目に映るのはひたすらに荒野。見通しが良すぎて足音を潜ませる効果があるのかは分からないがどうしても無意識のうちに忍び足になる。暫く歩いていると


「おっ、何やら壁っぽい人工物が」


灰色の不自然な壁が見えてきた。明らかに人の手によるものだ。


「第一村人発見ってなると良いんだが…………」


どんどん近づく。壁っぽいそれは石を積み上げた物だと分かった。


「なるほど。ここは街か。やけに静かだが………」


街にしては静かすぎる。不気味な程に


「取り敢えず中に入ってみよう」


開きっぱなしの門を潜って街へと入る。するとそこは


「人気がない。無人の街………いや、滅んだ街と言った方が正しいか?」


荒れ果てていた。ボロボロの看板や家屋が寂れっぷりを物語る。


「誰もいないんなら遠慮なく物色させてもらおうかね。武器や防具、何かポーチのようなものでもあればいいんだが…………」


辺りを散策する。すると目に飛び込んできたのは


「おっ、ありゃあ武器屋か?沢山武器が置いてあるぞ」


しかし、その建物にあったのは


「いや、鍛冶屋かここ。刃こぼれした剣がそこらに散乱してら。まあ無いよりはマシということで」


転がっている中から錆や刃こぼれの少ない物を選ぶ。ついでに鞘も頂いていく。


「流石に抜き身は危ないからね。お、盾発見」




その後ある程度の物色を済ませた彼は


「うん、想像はしてたけど小さい街だったな。街というよりは村?まあ武器と物を入れられるバッグが手に入ったから文句なし!」


背負ったバッグには予備の剣と盾が一つづつ。そして彼は気が付く


「そういえば血の跡とかは無かったな。滅んだといっても皆殺しじゃなくて逃げたのか?だとしたら何かr………」


ジャリ………


「!?」


何かが擦れる音。恐る恐る振り返ると


「………………」


獣がいた。四つ足の狼のような獣。だが大きすぎる牙が口からはみ出ており、牙にはうっすら毒々しい紫色の何かが付着している。


「あ、これアカンやつや」


その瞬間意識が飛んだ。辛うじて見えたのは飛び散る自らの血だった。


「アレ………これって死…………?」




「ん?ここは……………俺が目覚めた所か?」


気が付くとそこは見慣れた荒野。この世界に始めて降り立った場所だ。


「ふむ、拠点が無いからここで復活か。しかし拠点の定義ってなんなんだろ?これが分からないといつまでも死ぬ度にここからスタートじゃないか。取り敢えずさっきの村へ行こう」


方角は覚えている。歩きながら脳裏に浮かぶのはさっきの獣


「何なんだ、あれは。噛まれた後に漸く噛まれたと気が付くほどのスピード。そして痛みを感じる前に死んでしまう攻撃力。うん、出会っちゃダメなやつだあれ」


そこで気が付く


「あれ?既に武器は調達出来たしあんな危ない所に行く必要無いのでは?それともし逃げたのなら逃げられる範囲に他の村ないし街がある筈だ。そこを目指そう」


村が見える場所まで到着すると向きを変え、適当に歩き出す。土地勘が無い以上行き先は運次第だ。


「どこかに着くといいんだが…………ついでにこの不死の体について可能な限り調べてみようか」


走ってみたり、息を止めてみたり、ジャンプしてみたり。そして分かったのは


「この体。不死なだけかよ…………」


体力はそのまま。身体能力もそのまま。つまりは戦いなど論外という結論に至った。


「まあ不死というだけでも素晴らしいアドバンテージだ。死んでは挑戦すればいつかは勝てる。身体能力が高いよりもよっぽど有益だ」


暫く歩いていると不死とはいえ生きているからだろう。喉が乾いてくる。腹も減ってくる。


「不死の体でも腹は減るし喉は乾くのか。どこかに水は無いかな?水があればその付近に植物でもありそうなもんだが………」


すると突然目の前に池が現れた。まるで砂漠に突然現れるオアシスのように。ご丁寧に付近に植物も生えている。


「おお、ここを一時的な拠点としようか」


まだ街らしきものは見えない。休憩も兼ねてここを拠点とすることにした。



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