第1話~転生~
始めてなろうに投稿します。至らぬ点があれば感想欄でアドバイスを下さい。
人生は突然何が起こるか分からない。
「やぁ。突然だが君は死んでしまった」
「はい?」
おかしい。俺は別に死ぬようなことは無かった筈だ。キツイ仕事から帰って飯を食い、風呂に入って死んだように眠った筈だ。それにここはどこだ?何故ここにいる?キョロキョロと辺りを見回すが何もない真っ白な空間。
「ああ、はいはい。疑問はごもっともだ。だから簡潔に言おう。私は神様。君は死んだ。私の手違いで。だからお詫びで転生させてあげよう。でも転生先は物騒で平和ボケしている君では到底生きられない。だから能力をあげよう。ここまでいいかな?」
「えっと………はい?」
「理解できずとも受け入れてくれ。少なくとも事実を述べている」
落ち着け俺。仕事がキツイ癖に給料が少ないからとサボってる時にこんな物語を読んだことがある。そう!所謂異世界転生というやつだ!てことは何かチートな能力を貰えたり………
「おやおやおや、知ってるなら話が早い。理解の早い人間は嫌いじゃないよ?でだ、君にあげる能力についてなんだが…………」
さらっと人の心を読むなよ!
「もしかして運命を操ったり時間を止めたり…………」
「すまないがそんな世界に直接干渉するような能力はあげられない。しかも君に選択肢を用意してあげられないんだ。すまない」
「選択肢が無いだと!?あんたの手違いなのに!」
「そう怒らないでくれ。取り敢えず能力を聞いてから怒ってくれよ。君にあげる能力はズバリ!不死だ!」
「不死?」
「ああ、死なずの力、不死。安心したまえ。都合のいい能力だ。何か外部から致命傷を負わない限り死なない。もし致命傷を受けたら体が灰になって拠点で復活する。ゲームみたいで良くないか?どろどろに溶かされても復活するからどろどろのまま生き続ける何てことも無いぞ?君にとっては素晴らしい能力じゃないかな?」
「病気や老いで死なない。潰されたり致命傷を追ったら一旦死んで無傷で復活する。という認識でいいのか?」
「ああ。文句はあるかい?正直これが私が出来る全てだ」
死なない体。つまりよくある森に転生させられて死にかけながら生きることもないのか。食い物や水がなくて死ぬこともない。最高じゃないか。しかもワンチャンエルフなんかとも付き合えたり………
「文句は無い!最高だな!神様!」
「じゃあもういいかな?転生させるよ?ああ、言い忘れてたけど言語理解もあげるよ。言葉が通じないと不便だろう?それくらいはオマケしてあげよう」
「ありがとう!あなたは神か!?」
「正真正銘の神様だよ。じゃあ良い第二の人生を歩みたまえ。特にやってほしい事とか無いから好きなように生きると良いよ」
「本当にありがとう!神様万歳!」
目の前が光で包まれる。これが転生するというやつなのだろう。待ってろ輝かしい転生ライフ!俺はまだ見ぬ異世界に思いを募らせた。
「行ったかな?行ったな。ハッ!」
残された神様は先程の人間が無事転生したことを確認すると温厚な表情が一瞬で抜け落ち、ねっとりとした歪んだ笑顔になった。
「人間はバカだなぁ!我々神が手違いで人を殺すなんてあるわけ無いだろうに。あったとしてもそれは故意だ。退屈しのぎにはちょうどいいだろう。私は暇なんだ」
この神の業務は監視。地上を監視して何か不都合があれば上に報告するというもの。しかし人類が滅亡しようとそれが人類の形なのだから基本的に報告することはない。少なくとも彼がこの業務についてから報告するような事例は起こっていない。つまり暇なのだ。
「ああ、人間が思い通りに動くのって楽しいなぁ!神様って最高!」
監視の業務は四六時中上から監視されているわけではないのでその隙をついてこっそりやればバレない。しかも文句を言われないようなキーパーソンでないそこいらにいるモブを転生させた。下界では1日の間に何十万という命が失われている。その全てを細かく確認なんてできやしない。しかも転生先は手作りの箱庭。自分以外の目には触れないから文句も言われない。
「まあ見られたところで文句を言うような神はいないけどね!」
神は不死の存在。それ故この神に限らず多くの神は暇が有り余っている。互いが争い続けていた時代ならまだしも今は争いの無い平和な時代。それ故適当な人間を転生させてその様子を観賞するのはよくあること。
「さてさて、君はどんな物語を紡いでくれるのかな?ンンー、楽しみだ」
彼が作ったのはあくまでも世界の基礎。転生者がどのように世界を変えるのか、どのように生きるのかは全く想像できない。想像できないからこそ楽しい。神は退屈極まりない下界から目を反らし、今しがたお手製の異世界に降り立った一人の男を観察し始めた。
最短週一、長ければ一月単位で更新していく予定です。日々の隙間時間にのんびり書いているので続きは気長にお待ちください。