トイレットペーパー狂騒曲 Back to the 1973
ツイッターで「オイルショック」が流れてて何事?
と思ったら、デマでトイレットペーパーが売り切れ、「オイルショックの再来」と言われている。
「お前ら、うちにはまだ当時買いだめしたトイレットペーパーが」
「うちにサランラップが」
という話も。
しかし、「オイルショックの再来」は割と頻繁に起きている。昨年2019だけで、二度も。
-- 追記 --
【悲報】トイレットペーパー、品薄になる
1: 2020/02/25(火) 07:00:49.00
という、おそらく掲示板が最古? と思われる。あちこちのコピペブログで見られる。
どっかの職員がデマ発信したと報道されてるが、彼のtweetは2/27であり、広めるのに加担した一人ではあるものの、発信源ではない。
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トイレットペーパー騒ぎ 1973 (NHKアーカイブズ)
https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009030120_00000
"秋になって突如、トイレットペーパーが店先から消え、関西で始まった行列買いは瞬くうちに全国へ広がった。値段は急上昇、春先には110円程度だったものが一時、380円になった。通産省の緊急輸送作戦もあって品物は出回るようになったが、値段は戻らなかった。"
義務教育でもでも習うらしい。習ったか覚えてない。
2019/9/30 増税前買い置き(10%)
増税前にトイレットペーパー売り切れが続出
https://togetter.com/li/1411099
"なぜにスーパーでトイレットペーパーが不足なの?オイルショックか?"
"令和のオイルショック"
2019/5 王子製紙の工場火災
4/7、日本で大きなシェアを持つ王子製紙の工場(愛知県)で火災が起き、同じ敷地の王子ネピア(ティッシュペーパー)も影響をうけ、一時的に出荷が滞った。
その他諸々の理由で、ネピア以外のテッシュやトイレットペーパーまで売り切れ。
実際に供給不足になったのは箱テッシュだけっぽいのだが、場所によってはトイレットペーパーも売り切れたらしい。
書籍や印刷業界では、印刷用紙の確保のほうが大変だったようだが。
"にわかに今オイルショックなみに、ボックスティッシュとトイレットペーパーが品切れなんですって!"
ティッシュを節約しよう! 花粉、値上げ、連休、王子製紙の工場火災など原因が重なってティッシュペーパーが品薄に
https://togetter.com/li/1358305
ティッシュが足りない 品切れで困った 製紙工場の火災だけでない“複合的な”理由とは 中京TV
https://www2.ctv.co.jp/news/2019/05/23/51965/
2014/3/28 増税前買い置き(8%)
まるでオイルショック? 消費増税でトイレットペーパーの「売り切れ」報告が相次ぐ Jタウンネット
https://j-town.net/tokyo/news/localnews/295430.html?p=all
”写真は、スカスカの商品陳列棚だ。「トイレットペーパー、ティッシュは店頭在庫のみとなります。入荷未定です」と書かれた案内が置かれているではないか。「一瞬オイルショックかと思ったぞ!」というコメントも添えられている。”
2011/3/15 東日本大震災後
震災自体は3/11。この時点では被災地以外では他人事。
しかし、福島第一原子力発電所事故につながる。
3/12 1号機水素ガス爆発。
3/14 3号機爆発。
この前後から、ミネラルウォーターやトイレットペーパーの買い占めが起きる。
トイレットペーパーは御神体、あるいは、日本の伝統文化 (2011/3/15)
https://togetter.com/li/111988
”食料の買い占めならまだわかるが、ティッシュやトイレットペーパーがないのはどういうこっちゃ。オイルショックか。なんでもかんでも買い占めたらいいってもんじゃないだろ。”
google検索結果では、一週間以内には収束した模様。今回もそんなものではなかろうか。
で、コレ自体はTV報道や主婦の口コミを元におきる。特に、「売り切れた棚」のビジュアルは不安を煽る。「製紙工場の山積みされた倉庫」のビジュアルであれば、同じニュースでも印象は変わる。twitterではそういう写真も流れていた。
ネット時代はココから。
「高齢者が買うのを見た」「オイルショック世代が買っているに違いない」という書き込みに、「私も見た」「私も」というコメントが集まる。
「横柄な男が売れと言ってきた」「ないと言っても隠すなとしつこい」という店員らしき書き込みに「うちにも来た」「客だが似たようなのを見た。店員かわいそう」というコメントが集まる。
これだけ多くの人がそう言っているからには、それが真実であるように思える。
「(自分の周りでは)みんなそう言っている」というやつだ。
しかし別のところでは、おばちゃんや若い女性などが買い占める写真や動画が挙げられている。
あるいは、「トイレットペーパー買い占めが起きたのは、臨時休校した安倍のせい」みたいな論説がある。買い占めのほうが先なのに、時系列や前提がおかしい。
専門家を軽視し、不安を利用する日本の政治…新型コロナが示したこと(日比 嘉高) | 現代ビジネス | 講談社 (2019/3/2)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70755
"2月27日の夕刻、安倍総理大臣が全国の小中高等学校などに対して、春休みまで臨時休校とするよう要請する方針だというニュースが流れた。
(略)私の感覚にもとづいて言えば、首相が全国一斉休校を「要請」したとき、日本社会の不安を一段階押し上げるスイッチが入った。
夕方のニュースで、当惑気味のキャスターによって突如読み上げられたこのニュースに、私は心底驚き、なんらかの行動を起こさなければならない切迫した状況──小学生の息子をどうするのか──に、自分がいきなり置かれていることを発見した。そしてこの驚きと変化はおそらく私一人のものではなかった。Twitterを中心としたネットの反応の沸騰や、トイレットペーパーを買いだめに走った人々の狼狽が、その証左となるはずである。”
実際には、トイレットペーパー買い占めが報道されたのは27日朝、前日26日の様子である。twitterでは更に前であろう。
2019/2/27 9:59
”26日現在、ツイッターで「トイレットペーパー」という単語を検索すると「中国から原材料を輸入できなくなる」など、中国に関連する真偽不明の情報が飛び交っている。
リツイート数が多い投稿など、影響の大きなものはまだ少ないが、26日時点で20人の感染が確認された愛知県内の薬局では、トイレットペーパーが品薄となる光景もみられた。”
「新型コロナウイルスの影響でトイレットペーパーが不足」は誤り 品薄となる薬局も 中京TV
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200227-00010002-sp_ctv-soci
筆者は
”名古屋大学大学院人文学研究科 准教授。日本の近現代文学・文化論。文学研究に軸足を置きつつ、現代のネット環境や文化状況、大学改革問題などについても発言を行っている。著書に『「ポスト真実」の時代』(津田大介氏との共著、祥伝社2017)、『文学の歴史をどう書き直すのか』(笠間書院2016)、『いま、大学で何が起こっているのか』(ひつじ書房2015)、『ジャパニーズ・アメリカ』(新曜社2014)ほか。”
https://gendai.ismedia.jp/list/author/yoshitakahibi
という「近現代文学・文化論。文学研究」の偉い先生らしい。
その分野には詳しいのだろうが、感染症専門医や群集心理の専門家(心理学者とか?しらんけど)ではなく、確認もせず印象だけで安倍のせいにする、ただのおっさんである。
そういった論説を報道することは、
「専門家を軽視し、不安を利用する日本のマスコミ…新型コロナが示したこと」
とでも言うべきか。
※
「私の感覚にもとづいて言えば」と断ってるのでまだわかるが、断言したり、断言みたいな形で引用されたり、(断り書きを読み飛ばして)断言されてると思い込む人もいる。