EP.6進化と契約と
遅くなりすみません(´;ω;`)
書いてたら長くなってました。
今後とも読んでいただけると幸いです。
生温い。
顔が、舐められてる?気がする。
…あと、頭ががキーンとするんだけどなんで?
「というか、お腹重い!」
いえはい、決して私が太っている訳ではありません。
お腹の上を見ると、白いもこもこが。
犯人はこの子ですね。
「えっと、どうしたのかな?」
…思い出した。
狼を助けて、安心して倒れちゃったんだ。
MPはそんな使った気はしないけど何かあったかな。
「わんわん!」
フェンリル君が服を引っ張った。
「あ、気がついたんだね、よかった。」
「わん!」
可愛い。
私は思わず、犬の頭を撫でるように頭を撫でた。
「メェ、メェ、メェェェェ!」
あ、こっちも服を…。
こっちも撫でる。
「ああ、癒される。」
「私たちもー!!」
「うんうん。撫でる撫でる。」
…え?
なんで声がするのかな?
声のする方を振り向くと妖精がいた。
それも期待の眼差しを浮かべていた。
そんな顔されたら撫でるしかない。
「頑張ったね。みんな無事だよ。」
「わーい!」
「貴方ばかりずるいわ。私も!」
「「「「私もー!」」」」
「あはは。順番ね。」
なでなで。なでなで。
「そういえば、貴方なんて名前なの?」
妖精の1人が聞いてきた。
名前か。
朱里だと、多分この世界だと変だよね。
んー。
「ルーヴィル。それが私の名前。」
まだ生きていた頃にゲームで使っていたキャラネーム。
「じゃあ、ルーね。ねぇ、ルー。私たちに名前をつけてくれない?そこにいるフェンリルと雲羊にもね。私たちは昔からお友達だから、一緒がいいの。」
妖精はそういうと、フェンリルの近くへと飛んでいった。
どうしようかと悩んでいると、フェンリルが服を引っ張った。
「わんわん、わん!」
つけて、つけてって言ってるみたい。
可愛い。
「わかった。いいよ!」
「ほんと!?ありがと!」
名前かぁ。
私ネーミングセンスないんだよね。
じゃあね…。
フェンリルは、
「フェル。」
呼びやすいし、しっくりとくる。
雲羊は、
「ミル。」
雲といえば白いから、ミルキーから。
妖精たちは7人いるから、
「柘榴、瑠璃、翡翠、琥珀、瑪瑙、真珠、紫水晶。」
この世界の6つの主要属性、火水風地闇聖と私の大切な色の紫と同じ色の宝石からとった。
「ありがと、ルー!ちょっと待ってね。」
妖精改め、アメシストが私にそう言った。
すると、フェルたちの身体が一斉に光出した。
「…え?」
いやなんか、こんな場面を小説で読んだことがあるんだが、うん、多分だけど…。
すると次第に光が収まってきた。
「うん!いい感じね!」
アメシストの方を見ると、もはや妖精とは言い難いほど成長した姿をしていた。
勿論、フェルやミル、ガーネットたちも。
「もしかして、もしかしなくても、進化したりした?」
私は思わず問いかけていた。
「そうだよ、主!主に名前貰ったから進化したの!」
そう答えたのは、二回りほど大きくなった狼、もといフェルだった。
「喋ってる?」
「うん!進化したら、喋れるようになったの!これで、主といっぱいおしゃべりできるね。」
「そうだね。」
フェルが喋ったのは驚いたけど、それ以前に喋れるようになったのが嬉しかった。
だって、意志の疎通ができるようになったんだから!
『フェルばっかり主と喋らないで!私もお喋りしたい!主!私はね、ミルだよ!』
見た目は羊のままのミルがそう言った。
ミルは普通には喋れないようだが、頭の中に直接声が届いている。
きっと念話と呼ばれるものだろう。
普通に聴くと、メェメェ言っていて可愛い。
『私はフェルみたいには喋れないけど、ちゃんとお話できるようになったの!これからもよろしくね!』
あぁ、可愛い。
私は思わずミルの頭を撫でた。
ふわふわもふもふ、天国かな?
「ねぇルー、私も撫でて!」
アメシスト達が私を見てそう言った。
ガーネットは赤、ラピスラズリは青、ジェードは緑、アンバーは黄、オニキスは黒、パールは白、そしてアメシストは紫を基調とした色を持って、見た目は17歳程の少女の姿に変わっていた。
多分、名前をつける際にゲームであるような戦女神をイメージしたからだろう。
この世界はイメージが大切なようだ。
その証拠に羽根は私の持っている翼のようになり、それぞれの色に染まっていた。
「ふふっ。わかった、わかったよ。」
私は順番にみんなを撫でていった。
「…というか、なんでフェルとミルは私のことを主っていうの?」
私は会話の中で疑問に思っていたことを口にした。
「それはね、主が僕たちに名付けをしたからだよ。」
フェルが私の質問に答えた。
「僕たち神獣や幻獣、妖精に名付けをすることは一種の契約なんだ。名付けをされた神獣とかは名付けた人を主として眷属になるんだよ。」
「え、嘘。」
じゃあ私がしたことはこの子たちの生を縛ることになる。
「でもね主。僕たちは主に名付けられたことには後悔してないし、すごく嬉しい。僕たちはとても特殊で普通の人には名付けられないの。もしできたとしても、すぐに魔力が枯渇したり、精神が耐えられなくなって死んじゃう人もいる。」
「…そうなの?」
きっと今の声はとても震えていただろう。
「うん、本当だよ。というか、主に助けてもらわなかったら僕たちはとっくに死んでいたんだ。」
「なんで…?」
フェルは失血なのは分かるけど、ミルとガーネットたちが死んでしまうのが何故かわからない。
「僕の場合は足の傷。あれは特殊だったの。失血もそうだけど、呪いが付いていたから。あの手の呪いは聖属性の回復魔法を使うか、術者が解かないと魔力が奪われ続けて死んじゃうんだ。」
…全然、呪いなんて気がつかなかった。
フェルは聖属性を持っている人は殆どいないという。
でも、もしかしたら私が治した後に気を失ったのはそれの影響だったのかな?
『そうだよ。』
なるほど。
ミルが私の疑問に答えてくれた。
「ミルの場合はまだ進化していなかったからだよ。僕やガーネットたちはある程度自衛できるぐらいには最初から力があるけど、ミルはないんだ。進化すれば僕たちよりも強くなるけど、成長が遅い。だから僕が死ぬと、そこらへんにいたりする魔物にも負けて死んじゃう。」
「ガーネットたちが残るんじゃないの?」
だって、呪いを受けたのはフェルだけだからガーネットたちは生き残るはずだ。
しかし、フェルは首を横に振った。
「ガーネットたちは僕が死んだら、そのまま消えて無くなるよ。」
「どうして?」
「ガーネットたちの場合は精神生命体だから。僕たちはずっと一緒にいたから、失うことを知らない。それに精神が耐えられなくなってそのまま消えてしまうんだ。」
「そうなの?」
「えぇ、本当よ。」
ガーネットが答えた。
「だから、ルーはフェルだけじゃなくて私やミルも助けてくれたのよ!」
「そうよ!私たちはルーが助けてくれなかったら消えちゃってたから。」
ガーネットとアメシストが言った。
「だから、私たちはルーに名付けしてもらったのよ!そうしたらずっと一緒にいられるからね。」
ラピスラズリが言った。
「私たちはさっきあそこで死ぬ運命だった。だけどルーが助けてくれたから、ルーとまた生きたいって思えたのよ。」
ジェードが言った。
「ルーに助けてもらった命はルーのために使いたいの。」
アンバーが言った。
「私、怖かった。だって消えちゃうって思ったから。だけど、ルーが助けてくれて、暗く閉ざされた私の世界が輝いて見えたの。」
オニキスが言った。
「輝いて見えたのと同時に、ルーと一緒にいればずっと楽しく過ごせるんだって思ったの。」
パールが言った。
「みんなルーが好きになったの。だから一緒いたいし、ルーのために生きたいって思えたの。だから自分を責めないで。」
アメシストが言った。
私は、ガーネットたちに返事を返すことができない。
「主は僕たちのこと邪魔?」
「そんなことない!」
私ははっきりと答えた。
「よかった。じゃあ、僕たちがこれからルーと一緒にいてもいい?」
そんなの…
「いいに決まってる。嫌なんて言わせない!」
「うん!これからもよろしくね、主!」
そして私はフェルたちの主となった。
まだ、神の御許と森にしか行ってません。
展開遅いかな?