EP.2選択
…んー?
私、死んだよね?
なんか、意識あるんだけど。
…まぁ、身体は動かないけど。
そうか、死んだから、輪廻転生するはずだから、今はまだみたいな感じなのかな?
よくわからないけどね。
蒼…大丈夫かなぁ?
まぁ、蒼は私よりしっかりしてたし大丈夫だよね。
なんか、転生…始まらなくない?
こんなに時間かかるもんなのかなぁ?
…死んだ事ないからわからないけど。
そういえば、高校入ったのに、あんまり勉強できなかったなぁ。
ちゃんと授業受けたかったのに。
つか、まだまだ知りたいことあったのにな。
転生したら、絶対もっと勉強しよ。
んー、転生したらその世界の知識とか、いっぱい学ぼうかなぁ。
その方が楽しそうだし。
〈確認しました。個体名朱里は、称号[追求する者]を獲得しました。〉
異世界とか、行きたいなぁ。
死ぬ前に読んでたやつみたいな。
〈検証完了しました。検証結果は、最適。〉
〈確認しました。個体名朱里は、称号[異世界最適者]を獲得しました。〉
〈神の御許へ移転します。〉
あれ?なんか、転生始まったのかな?
…意識が、遠くなる。
目を覚ますとそこは…雲の上?だった。
そして目の前には、髭を長く伸ばした老人が…
「なになになに!もしかして、ベタなの!本当に、ベタ展開できてるの!」
「ベタで悪かったの!」
御老人、御怒りのご様子ですね。
「当たり前じゃ!」
なんと、この人、人の心読んでるみたいですね。
「一応、神様なんでな。」
…何故だろう。今までにないくらいイラつく。
「…。」
「で、えっと、何故こうなったんでしたっけ?」
悪い空気は切り替えるに限る。
「そうじゃ。それじゃった。」
「いや、だから、なんなんでしょう?」
「お主、ここに来る前に異世界に行きたいとか願ったじゃろう?」
「はい、だってもっと色々知らないことあるから、異世界なんか行ったらそれこそ面白そうじゃないですか!」
「…それじゃよ。それに壬が反応したんじゃ。」
「…みずのえ?」
とはなんぞや。
「壬とは、この世の全てを見守るもの。管理するもの。そして、お主をここに送ったのじゃ。」
「何故です?私のようなものはたくさんいるはずでしょう?」
「壬はお主の願いを汲み取り、検証したのじゃ。」
「検証…。」
「そしてその結果お主は、2つの称号を手に入れた。それこそが、お主がここに送られた理由じゃ。」
「その称号というのは?」
「1つは[追求する者]、もう1つは[異世界最適者]なんじゃよ。」
ふむふむ。
「この2つの称号はそりゃもう入手が難しいものでの。」
「そ、その称号の入手はどれくらい難しいのですか?」
「[追求する者]は今まで所持していた者を見たことはない。しかし、[異世界最適者]は500年前に1度見たきりじゃな。」
おお、レア中のレア、いや、ゲームならSS並みのレア度じゃないですかね。いや、ゲーマーの心をくすぐる称号だなぁ。
「お、それいいのぉ。採用じゃ!」
「へ?」
な、なにを採用したの!?
「称号、スキルのランク付けじゃよ。使いやすそうじゃから、冒険者ギルドのランク付けにも使おうかの。」
んな、勝手な。…ん?なんだって?冒険者ギルド?
「そうじゃよ?わしの創ったこの世界にはモンスターや魔物とかも蔓延っているからの。それから取れる素材やらを集めて生業としている者たちじゃ。」
ほうほう。
「しかしのぉ、最近は無茶をして死ぬ者も後を絶たんのじゃ。だからそれのための規制をかけたのじゃ!」
なんか、どやってる。
「して、朱里よ。お主には、わしの創った世界に転生して欲しいのじゃが、いいかの?まぁ、その代わりと言ってはなんじゃが、餞別に我らの加護と、ある程度の願いなら聞き届けるが、どうじゃ?」
「一応聴いておきたいのですが、元の世界には戻れないのですか?」
「…お主は、死んでここにきた。そういう事実は曲げられないのじゃ。すまぬの。」
…わかってた。仕方ないって。だったら、
「私神様の創った世界、行きたいです!」
「…ありがとの。…わしの創った世界、ここは[ヴェルダンディ]のいうのじゃ。覚えておくといいのじゃ。」
ヴェルダンディ…運命の女神ノルンの1人か。
「よく知っとるの。」
「神話とかは好きでよく色々読み漁っていました。」
「なるほどの。」
確かヴェルダンディは、北欧神話の中とかで出てきて、意味は紡ぐ者、現在を司る女神。
他のノルンにはウルド、スクルドがいたはず。
ウルド、ヴェルダンディ、スクルドはそれぞれ[編む者][紡ぐ者][責務、義務]だったな。
「あぁ、懐かしい。」
「お主物知りじゃのぉ。」
「その手の話が好きなんです。」
「なるほどの。して、行ってもらうからにはある程度の願いは聞き届けるが、なにがいいかの?」
「容姿なんかはどうですか?」
「容姿は向こうに転生する際にお主のイメージから作るから、大丈夫じゃよ。」
んー、ならなにがいいかな…
「まだ決まらんのなら先に我らの加護から授けようかの。」
「お願いします!」
そしてこの時、ちーとにちーとが合わさったのだった。
次回、ちーとが加速します。