EP.11アリアント家
セミがたくさん鳴いている今日この頃。
気温がとても熱くなってきましたね( ´ཫ` )
熱中症にならないように皆様もお気をつけくださいね
再び馬車に乗り南門を抜けると、王都スカラの城下町に着いた。
「…おぉ、人が多いですね。」
「城下町なこともあって人もものも多いんだよ。」
私の思わず零した感想にアクア様が答える。
城下町ということもあってか人やものが溢れ活気に満ちている、とそんな感想を抱く。
表向きには。
私はこうして馬車に乗っている時も護衛をしていた時と同じく、メニューを開きながら会話などをしていた。
だからこそ気がついたのだろう。
皆は見て見ぬふりをしている、そんな場所があることに。
______スラム街か。
もちろん、アリアント家の皆も、この街に住んでいる人も皆も、この街にスラムができていることには気がついているだろう。
それでもなお、スラムには近づかない。
当たり前のことだが。
「………っ。」
自分でも今は近づけない。
なぜなら今はアリアント家の皆もいる。
私だけ勝手に行動するなど、招待してくれようとしている皆に対し、善意を踏みにじる行為だ。
頭ではわかっていてもなお行動できない自分に、しかもアリアント家のことを言い訳にスラムに近づけない自分には、反吐がでる。
「…どうかした?」
ふと、アクア様に声をかけられる。
こんなに醜いことを考えていた私はさぞ酷い顔をしていただろう。
「…いえ、なんでもありません。ただ、街の風景に見入っていただけです。」
誤魔化しながらそう答える。
「…そう?なにか聞きたいことがあったらいつでも聞いてね。」
「はい、ありがとうございます。」
少し、心配させてしまったみたいだ。
感情を表に出すことはこの先不利になることも増えるだろう。
プライベートと仕事をわけるようにしなければ。
そんなことを考えながら、再び窓から外を見る。
ふと、ある兄弟と思われる2人男の子に目が止まる。
その子達はフードで頭や顔周りを隠していたが、一瞬目があった気がした。
身体は痩せこけて腕や足は細くなっていたが、とても綺麗な金と銀のオッドアイをした子達だった。
ふと、何かの歯車が音を立ててが重なった気がした。
暫く馬車を走らせると、ある邸の前で止まった。
「着いたわね。」
エリナ様がつぶやく。
「着いたって、もしかして…。」
私も思わずつぶやく。
すると、馬車の行者が扉を開ける。
「旦那様、お邸に到着致しました。」
「ご苦労。エリナ手を。」
旦那様…やっぱり貴族?…うんもう確定だよね。
メテオラ様がそう言いながら手を差し出し、エリナ様をエスコートする。
「ルーヴィルさんも、行こう。」
アクア様はそう言いながら私に手を差し出した。
エスコートをしてくれるみたいだ。
私は一瞬迷った。
なぜなら私は黒い外套を纏っているからだ。
されど一瞬、待たせる訳にはいかない。
手順はわからないが、私もエリナ様のように右手を差し出し、アクア様の左手に重ねる。
私はアクア様にエスコートされながら馬車を降りる。
馬車から見ても思ったが、この邸はとても
「…大きい。」
「でしょう?」
アクア様は私の返答に答えながらクスッと笑う。
そして前を向くと、メテオラ様とエリナ様がこちらを振り返っていた。
そしてメテオラ様は私をまっすぐ見ながら
「ようこそアリアント公爵家へ、恩人ルーヴィル殿。」
そう言い放った。
「公爵、家…。」
貴族の馬車だな、絶対貴族だなとは思っていた。
でも、誰が公爵家だと予想できるだろうか。
私は驚きを隠せないまま、邸の中へとアクア様にエスコートされるのだった。
…は!いつまでも放心してる訳にはいかない。
「…あ、ルーヴィルさん戻ってきた?」
放心してたのは誰から見てもわかったらしい。
「…はい、あの、度重なる無礼をお許しください。」
そう言って私は跪き、最上級の礼をした。
私は騎士ではないけれど、剣士だからこそ騎士の礼をとる。
話すのは待っていてくれたみたいだけど、敬語もきちんと使ってすらいないし、相手は公爵家。
なんかで読んだことあるけど同じ馬車とか、まずいでしょ…。
「ルーヴィル殿、頭をあげてくれ。まさかそこまで驚くとは思っていなかった。無礼なんてない。貴女は私たちの命の恩人だ。気にしないでくれ。それに公爵家、ましてや貴族と言っていなかった我々にも非はある。」
「ありがとう、ございます。」
「そんなに緊張なさらないで?それよりも暫くは邸に泊まるのですから、皆を紹介しましょう?皆も貴女が何者か気になっているはずですから。」
え、暫く?
「それもそうだな。ロスター、ココとリオンを連れてきてくれ。」
「かしこまりました。」
部屋の入口に立っていたロスターと呼ばれた人、燕尾服を来ているから執事さんかな?が人を呼ぶために部屋から出る。
「あの、暫く泊まる…とは?」
疑問に思っていたことをぶつける。
「ん、ああ、今回の事を国王に報告する際呼び出す可能性があるからだ。貴女が無傷でしかも全員生きたまま捕縛に成功しているからな。もしかしたら報奨なんかもあるかもしれない。」
「ひぇ。」
冗談じゃない。
小説でもあるじゃん。
国に関わると大変な目にしか合わない。
関わりたくない。
切実に。
「というのは建前だ。まぁ、ないとも言えないが。…エリナが、貴女をかなり気に入っているみたいだ。ほら。」
そう言うので隣のエリナ様を見る。
…あんなことがあったというのに目をキラキラさせて生き生きしていらっしゃる。
「えぇ、とっても気に入っているわ。だってあんなにもかっこよく賊を倒しただけでなく、魔物も屠っていたのよ。昔に、母に聞かせてもらった絵本の騎士様のようだわ。しかもその艶のある髪。とても着飾らせてみたいわ。」
「ということだ。」
「な、なるほど。」
道中、視線を感じるとは思っていたけど、まさかそんなことだったなんて。
「こうなると、エリナは暫くはこのままだ。付き合ってやってくれ。」
「それはいいのですが、私もただでましてや公爵家に泊まらせていただく訳にはいきません。なにか私にできることはないですか?」
「お話の最中失礼致します。それでしたら邸のことをお手伝いして頂けないでしょうか。あいにく、この邸は人手不足ですので。」
声のする方、部屋の入口を見ると、ロスターさんと2人の女性が立っていた。
「おぉロスター、それはいいアイデアだな。それに貴女はそのうち国王に謁見することになる可能性も高い。その辺もロスターに教えてもらうといいだろう。」
「はい、よろしくお願いします。」
とりあえず、暫くの間の働き口はゲットできそうだ。
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