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ちーと天使の異世界放浪記。  作者: ヴィル
第1章 冒険編
1/12

EP.1別れ

初投稿です。

長編の予定なのでご感想などありましたらお願いします

…どうしてこうなったんだっけ?


目の前に広がっているのは、ただただ続く平原だった。

そして周りには何もなく、風だけが通り過ぎる。


いやいや、何が平原だよ。

いやいや、何が風だけが通り過ぎるだよ。

なんでこうなった!?


そう思いながらわたしは、ここにいる経緯を振り返った。



「ねぇー、朱里!一緒に帰ろうよ!」

そう言っているのは、親友の蒼。

私達は今高校1年生で、今年の4月この高校に入学した。

蒼とは、もともと中学の頃からの付き合いだ。

「いいよー。でも待ってていま日誌書いてるから!」

高校も一緒がいいと2人で受験した。

そして、受験も無事受かって今に至る。

「ねぇ、朱里。今月の6日って暇?」

「んー、暇だけど、どうしたの?」

「今度ね、近所の神社で稲荷祭あるじゃん?一緒に行きたいなーって思って、どうかなって。」

私達の家の近くには、稲荷神社があり今度は100周年という節目の年で、今まで以上に盛大にやるらしい。

いつもだったら20人来るくらいの小さな祭だが節目の年ということもあり、日本中から人が集まる。

「あーね、まぁ、楽しそうだしいいよ!」

私は人が多いのは苦手だが、蒼が行きたいのなら一緒に行ってもいいかな。

「やった!じゃあ時間とかは後でLINEするね!」

「はい、了解です。」

こうして、私は運命の日を迎えることとなった。



数日後、今日は稲荷祭の日だ。

「蒼は、まだな感じだな。」

今は約束の15分前、いないのも当然だ。

「んー、時間はまだあるし、本でも読んでよ。」

最近のハマっている小説は異世界系。

なんといっても、チートとかは憧れる。

でも、自分は欲しいとは思わない。

何故かって?そんなの目立ちたくないからだよ。

目立ったら、王家とかに目つけられて、自由どころじゃなくなるしね。まぁ、現実にはそんなことないけども。

「おーい、朱里…。」

「あ、ごめん、考え事してた。」

いつの間にか蒼が来てた。

「いや、いいんだけど、反応なかったからそんなことじゃないかなっとも思ってたしね。」

集中して周りが見えなくなる癖は治したいものである。


「楽しかったね!」

「そうだね、また来てもいいかもね。」

「え、本当?やった!ありがと朱里!」

「いえいえ、楽しいしね。」

お祭りも終わって、現在時刻は午後の10:30そろそろ帰る時間になっている。

「じゃあ、蒼の家まで送るね。」

「うん!ありがと!」

帰る人も多くなるこの時間帯、それぞれ帰路につく人も多い。

その時、何故かはわからないが、嫌な予感がした。


「きゃー!!」


後ろの方から悲鳴が上がった。

嫌な予感がして振り返ると、目を見張った。

なんと、包丁を持った男が此方に突進してきていた。

通り魔だった。

しかも、このまま突き進まれればその先にいるのは蒼。

危ない。

「蒼!」

そう思った時には、もう身体が動いていた。

私は蒼を突き飛ばした。

ドスッ…

自分にだけ聞こえた鈍い音。

私は、我慢出来ず地面に倒れてしまった。


あぁ、目の前が赤い。

あ、熱い。

これは全部私の血?

…どんどん増えてる。

そっか、刺されちゃったか。

いや、逃げられるとも思っていなかったけど。

なんだか、寒くなってきたよ。

私、死んじゃうのかな?


「朱里!朱里!朱里ぃぃ!!」

蒼の声がする。

返事…しなきゃ。

「あ…あお、い。…大丈夫…だよ…?」

うまく、声が出せない。

「そんなわけないじゃん!こんなに血でてるんだよ!」

「…。」

「ねぇ、なんで?なんで私の事助けたの?そんな事しなかったら、朱里はこんなになってなかったはずでしょ?

ねぇ、なんで?」

そんなの…

「親友…だからに…決まっ…てん…じゃん…。」

「っ……!」

蒼…泣いてる。

ふと、周りの視線に気が付き周りを見ると、色々な人が私たちを見ていた。

私の視線の端には、あの通り魔が拘束されていた。

ちゃんと、捕まえてくれたみたい。

よかった。

「蒼。」

「何?」

「泣かない…で?」

「だって、朱里はわたしの所為で…。」

「蒼の所為…なんかじゃな…いよ。」

「でも!」

「私…が…したいか…ら、したんだ…よ?」

「う、ううぅ。」

「泣かない…で?…ね?」

「っ…。」

「うん、最期…は、笑っ…て?」

「うん。」

よかった、やっと、笑ってくれた。

「いままで、ありが…と。じゃあ…ね。」

「____________________________________。」


最後の蒼の言葉の聞き取れなかった。




そして私、神崎 朱里は呆気なく死んだ。

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