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対立
活気良く練習する部員達を日陰からじっと眺める。
うーん。改めて見てもサッカーの事はよくわからない。
しかし、顧問を引き受けた以上は、どんな部員がいるのかしっかりと把握しておかなくてはならない。
勘違いされないように言っておくと、僕はサッカーの事はよく知らないし、興味がない。
そして、部活のあり方について疑問を抱えているが、生徒の事などどうでもいいと思っているわけではないのだ。
生徒には怪我なく部活動を楽しんで欲しいと思っている。
「……先生、あれはないわ……」
僕がサッカー部の練習を眺めていると、ひかるが額を抑えながら、声を掛けてきた。
その声音に多少の怒りも含まれている気がしたのは、僕の勘違いという事ではないだろう。
「あれ?」
何の事かわからず思い返そうとすると、ひかるの怒りのゲージはさらに上がったようだ。
「……熱意もないのでってやつ」
どうやら、先程の僕の言葉に怒っているようだ。
中西先生に裏切られた上に、新顧問にまでがっかりさせられたと彼女は言う。
「今年こそは全国へと皆一生懸命にやってきたんです」