表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢が救われるのならヒロインだって救われていいと思う  作者: 高槻いつ
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/81

アリス編2

「セルター、様が……」

「はい。同じく全てを画策されたルノーウィル殿下含め、お二人はそういった刑に処されます」


 このお城に来てから、ずっとわたしのお世話をしてくれる年配のメイドはそう淡々と説明してくれる。


「ローゼマリン様の弟君であるシリウス様は勅令に反そうとしましたが直接的に何かしらのことを行った訳ではないと慈悲を受け、ヴェスター公爵家から追放処分とのことです。


 そしてセルター様、シリウス様と行動を共にし、カイン王太子や聖女アリスの評判を貶める噂を流していたとされるジルベルト王子に関しましてはこちらで対処出来るものではないので隣国へ強制送還し、処分を委ねると」

「そう、ですか……ありがとうございます」


 もういい、と耳を塞ぎたくなるような報せを報告してくれた彼女を下げて、わたしはぼうっとそのまま窓際から空を見上げた。


 何故だろうと、思う。


 カイン様の心が欲しいからと、カイン様のお傍にいたいからとルノーウィル王子の誘いに乗ったわたしには免罪符があるのに、他の皆に存在しないのは。


「……わかってる。わたしが、()()だからだよね」


 そんな問い、子供でさえわかる程に明確な理由を既に自分は持っている。


 胸に刻まれる聖痕は、|()()()は些細なことでは揺るがない。それくらいこの力は有用で、価値があるからこそわたはに免罪符を与えられただけで。


「……聖女、か」


 そう吐き出した言葉は、どれくらいの利用価値があるだろう。


 知ってる上ではルノーウィル王子と共謀した罪は隠せてしまうくらいだろうか。


「……」


 隠せてしまう。


 そう嘲笑った思考にふと引っ掛かりを覚える。


 もし自分がこの()()という立場を使ったら、どれくらいの罪を隠せるのだろうと。


「いけ……い……け……る?」


 足りない頭で必死に考える。可能な限り、ローゼマリン様が悲しまない方法を。


「……すみません」

「はい、聖女様」


 用があるときは呼び鈴を鳴らして欲しいと、そう初日に告げられたものの扉を開ければ人がいるんだからという思考でわたしは部屋の扉を開け、廊下に立つメイドさんに話し掛ける。


「カイン様に会えませんか?」


 そうして、唯一の救いを求めて現在自室に軟禁中であるらしいカイン様と話せないか、そう尋ねるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ