従兄弟の告白3
「…………セルター?」
今日、何度目の呼び掛けだろう。
そして、そうやって少し遠くを見て笑い返されるのも、何度目か。
「ねえ、ローゼ。僕のこと、好き?」
けれどセルターは、私の呼び掛けを聞いているのかいないのか、次々と自分の感情を捲し立てて、私に考える暇を与えようとしない。
「…………すき、よ」
その暇は、セルターが望む答えには必要ないのだろうけど。
私は少し、考えてしまった。だから、その間が、私とセルターとの好きには大きな違いがあるのだということ、明確に表す。
「そっか」
柔く、緩く、口角を上げて目尻を下げる。何処か諦め、何処か寂しげな、そんな見慣れない顔だった。
だから気付いてしまうのだ。いくらここまで気付かなかった私とて、気付いてしまう。
「ごめんなさい」
その言葉は、自然と私の視線を下げさせた。
セルターがそういう感情を私に向けてくれること、それは嬉しく思う。でも私は、その感情を享受出来る資格など、ない。
だから突き返す。セルターが私のことを嫌いになって、どうでもいい存在だと言える、ように。
「ごめん、ローゼ」
何故かセルターが謝る。どうして、と問い掛けようともう一度セルターの顔を見れば、今度はよく見慣れたセルターの困り顔が映る。
「君を傷付ける気も…………泣かせる気も、なかったんだ」
疑問符が頭の上を飛び回る。割り切っている私が、傷付いている訳なんてない。そもそも、そんな資格などない。
泣いてなど、いないのに。
「泣かないで、ローゼ」
離れて行ったはずの指が、私の目尻を掬う。
「泣かないで」
目尻から、頬へ。頬から、顎へ。そんな指から伝う熱に、知らないうちに涙は流れていたのかと、呆然と思う。
「セルター」
そうして認めれば、確かにセルターのことは大切だったのだと、全然割り切れていなかったのだと、自覚させられる。
存在してはいけない存在がいることでハッピーエンドに紡がれないシナリオが出来た。
その原因であるはずの私が周りの人間を大切に思うことなど赦されないと思うから、一線を引いて傍観者でいたかった。
「ごめんね」
涙を掬う反対側の手でセルターは優しく頭を撫でる。
セルターが私を慰めようとすればする程涙は溢れ、自分がどうして泣いているのかがわからなくなる。
何が悲しい?そもそも、悲しくて泣いているの?でも悲しくないのならどうしてこんなにも涙は止まらないのか。
頭の中に残る冷静な部分で、私は確かに考えていた。




