伯父様との面会
「よい、私が個人的に用意した場だ」
と、陛下……もとい、伯父様。
「して、如何したというのだ?」
ジルベルト王子が先かなと思っていた私の予想は外れた。陛下は暫く忙しく謁見は早くて一月後になる、ということに肩を落とした私を見たお母様が妹として、個人的に会って欲しいと直談判してくれたそう。
血縁のコネを目の当たりにし、伯父様には少々申し訳無いと思ったものの、聖女発覚の事実は陛下にとっても大切なことだから仕方ないよね、と自分を納得させた。
「聖女を、保護しました」
人払いされて静かな部屋の中では、私の声は殊更よく響いた。
「…………まことか?」
「はい」
薄いワイングラスが傾き、中身が溢れそうになった瞬間に伯父様は気を取り戻し、高級ワインは無駄にならなかった。
「いつだ?」
「聖女だと自覚したのは16の時。現在は17です」
アリス様は私の一つ下である。とはいえ、残り一年の学園を聖女であるアリス様は通えないので、余り関係のないことではあるのだが。
「その、聖女は…………まさか?」
ふむ、と思案顔をし始めた伯父様。そして数分後、絞り出すようにその問い掛けに迫った。
「はい。公爵令嬢を毒殺未遂の容疑で監禁されていた、アリス・セントレナです」
私が直々に謁見を申し立てたということ、監禁してたはずの女が逃げたということ、私が保護したということ。
それだけでアリス様が聖女ではないかという考えが浮かぶ陛下は、やはり国の王だなぁと感心する。
「…………待て。それなら、そのアリス・セントレナが聖女であることを知っていた人間がいたということか?」
「アリス様の話では誰も知らないであろう、ということではありましたが……」
教会の人間も知らないのなら、他に知る人間がいるとは思えない。しかし、私はずっと引っ掛かっていることがある。
「私見ではあるのですが。アリス様を犯人に仕立てあげようとした人間は、アリス様が聖女であることを知っていたのではないでしょうか」
聖女は、万能であると伝えられている。
美しい流れの魔力。それに付随する癒しの加護。そして、聖女と言うに相応しい、聖女のみが扱える聖の魔力。
いくらアリス様が覚醒したてとはいえ、それを抑え込む程の呪いを掛けるというのは、一流の呪術師であったとしても厳しい。
しかし、もしその聖の魔力を抑え込むことが出来たのなら、アリス様は形だけの聖女。普通の、女の子だ。
「そもそも、教会が気付かないはずがないのでは?」
聖の魔力が混じるアリス様の魔力が込められた徴収石。それを毎月受け取って、本当に教会は気付いていなかったのか。
それすらも、怪しい。




