その11
十時に1話投稿してますので読まれていない方はそちらからお読みください(o_ _)o
楽しげにお姉ちゃんと私を見つめる赤髪が「ふふふっ」って笑みを浮かべている今の状況……。
嫌な予感をヒシヒシと感じるわよ。
だってね、引き攣った私を横目に赤髪は瞳を細めて余裕のある表情を浮かべてるのよ?
なんなのよ、一体…。
私の不安を余所に赤髪に気付いたお姉ちゃんはチラリと彼女に視線を向けたの。
「……久しぶりね。けど、たとえアンタでも今の私の邪魔をしたら…………殺すわよ」
殺気に満ちた瞳でお姉ちゃんってば赤髪を睨みつけてるわよ。
「恐い恐い…まぁ、貴女達が私の仕事を増やさないでくれれば私は邪魔はしないけどね」
お姉ちゃんの殺気に肩を竦めながら苦笑いの赤髪…って、いやいやいや狂乱モードのお姉ちゃんと普通に会話するってあり得ないでしょ!?
私なら失神ものよ?ってか、私でそれなんだから普通の冒険者なら病んじゃうレベルよ?
なんで、苦笑いで済ませてるのよ……。
「ちっ、手加減はするわよ。不出来とは言っても一応は実の妹だしね」
あぁ、そう。手加減はしてくれるんだぁ…でも、おかしいわね。微塵も助かる気がしないんだけど?
二人の会話を盗み聞きしながら、その会話に生きた心地が全くしない。
「っで、どうする?」
不意に赤髪から私に視線が移る。
「ひゃい!?」
思わず変な声が出ちゃったわよ。
でも、仕方ないでしょ!
だって……怖いんだから。
それよりも赤髪よ!
なんかお姉ちゃんと知り合いっぽいし、周囲を包み込んでる噎せ返るようなお姉ちゃんの殺気にも動じてないみたいだし……なんなの、あの人ってば化け物なの?
私が盗み見た限りだと同レベルっぽい……いや、違うわね。私の冒険者の直感だとあの赤髪ってどちらかというとお姉ちゃんよりに近い気がする。
って事は………危険人物。
なんだか追い詰められてる気がするわ。
赤髪を確認するために術式も解いちゃったから、さっきみたいに逃げ出すことも出来ないし…それ以前に眼前の二人の不意を突いて術式を使える気なんて全くしない。
あれ?何気に今の状況って絶体絶命の大ピンチなんじゃない?どうしよう……。
そうだ!
被害者であることを訴えよう。
そうよ、私は被害者なのよ!瀕死の冒険者を助けたのに冒険者ライセンス剥奪って、誰が見ても無実だし。よし、あの赤髪の良心に訴えよう。
うん、名案だわ。じゃあ、善は急げーー。
「わたし、無実の被害者……」
とりあえず純粋なウルウル瞳を浮かべながら赤髪を真っ直ぐに見つめて訴えてみる。
うん、完璧な私。
「…ないわ…ソニアちゃん、流石に無実はないわ」
あれっ?予想外の反応……。
私の言葉に赤髪は呆れた表情を浮かべてる。
えっ?なに?この赤髪の反応……なんなの?赤髪は私の何を知っているって言うのよ!
「えっ、全部だけど……?」
呆れた表情を浮かべながら私を見つめる赤髪の瞳が……痛いわ。ってか、何で私の心のぼやきに答えてるの?わたし、声に出していないわよね?
咄嗟に口元を抑えてジト目で赤髪を見つめる。
そんな私の姿に赤髪はーーー。
「あぁ~、口に出てたわよ?」
おぉうーー何てことなの!?
無意識に口に出てた?
最大の失態だわ!
ヤバい、ヤバい、ヤバい、これって最悪な状況を最凶な状況に変えたんじゃない!?
チラリとお姉ちゃんを盗み見ると頬をピクピクと引き攣らて物凄ぉ~く怖い笑みを浮かべてた。
「あんた、言うに事欠いて……無実。ほぉ~、死ぬ覚悟は出来てるみたいね……分かった」
えっ……何が分かったの、お姉ちゃん…。
はいっ、私の人生がここで終わりましたーー。
全てを去った私は力無く地べたに座り込む。
カツンッカツンッ。
近づいてくる金属音がまるで死に神の足音のように私の聴覚に響き渡ってくる。
お姉ちゃん、フル装備で実務っておかしくない?
ずっと前から気になっていたけど触れずにいた過去の私を責めたいわ。秒読みの始まった死への不協和音を聞きながら絶讃、大後悔中の私。
そんな絶望的な未来に項垂れていた私の脳裏にふとした疑問が浮かび上がって思わず質問してみた。
「なんで、無実じゃないって思ったの?」
私が質問した相手、赤髪の女冒険者に尋ねてみたら苦笑交じりに懐から何かを取り出して私に見せてきたわ。
あれって……なんだろう、ものすごぉ~く見たことある気がするわ。
しかも、何だか今のは状況に合点がいくし……私にとってすこぶる分が悪いわよね。
赤髪が取り出した物はーー小さな指輪、台座に乗っかてる宝石はくすんで色を失っている代物。
見たことがあるわね……あれって、あれよね?
私の顔から一気に血の気が引いて青ざめていく。
お姉ちゃんの執務室にあったはずの指輪をなんで赤髪が持っているのよ?
「はいっ、ご名答。ふふふっ、ちょっと気付くまで遅かったわね。でも、そういう事よ」
私の青ざめた表情に楽しそうに笑みを浮かべる赤髪……もう、嫌な予感しかしないわね。
そうーー赤髪が持っている指輪って保険屋から支給される『救済の指輪』なのね。
しかも、あのくすんだ色合いは使い終わった事を示してる…つまりは、私が救助した冒険者が所有していた代物の可能性が非常に高い。
しかも、使用済みのそれを所持できるのは保険屋さんのみ……って事は、あの赤髪ってび保険屋さんだぁ~!?最悪だぁ~~~!
私の知る限り保険屋稼業をギルドに進言して認めさせたのはお姉ちゃんと同じ狂人……ぞくっ。
なんだろう、急に寒気がしてきたわ……今度は口に出していないはずなのに赤髪がこっちを見てニヤリと笑みを浮かべてるわ。
「そういうことよ。そろそろ、あきらめたら?」
なんでしょう……何をどう足掻いてみても私の人生が完璧に終わる予感し敵い雰囲気は?
不敵な笑みを浮かべる赤髪と狂気に満ちたお姉ちゃんの笑み…うん、死んだ。
どっちに転んでも助かる自信はないわ。
しかも、さっきお姉ちゃんから逃げ出すために虎の子の精霊術を使ったから完全に手の内はバレてるし、今の状況を打破する手段がないってのも最悪よね。さて、どうしましょう…。
ジリジリと獲物を追い詰めるように近づいてくるお姉ちゃんの異様な気配に……絶望しかないわ。
「私がなにをしたって言うのよぉ~」
思わず涙ぐみながら二人に訴えかける私にお姉ちゃんはニヤリと笑みを浮かべて大剣を振り上げながら一言……。
「私に喧嘩を売ったわよね?」
いえ、滅相もないですよ?
売ったって言うより押し売りされた感が半端なくあるんですけど?
しかも、私に選択しなかったよね?
生き残るには全力で逃げるしかなかったよね?
私の悲痛な心の叫びなんて今のお姉ちゃんに伝わるはずもなく、一歩ずつ近づいてくるお姉ちゃんに私は否応なしに壁際まで追い詰められていく。
そんな、危機的状況を苦笑いしながら傍観していた赤髪が呆れたような深い溜息をついたの。
「もう、いいわよヴィオラ。ソニアちゃんの実力はだいたい想像ついたから」
その言葉に噎せ返るような殺気に包まれていた周囲の気配が何だか緩んだ気がした。
うんっ?なんだか雲行きが変わったような?
心なしかお姉ちゃんの殺気も緩んできたような……もしかして、今が逃げ出すチャンス?
緩んだ周囲の気配に逃げようとした瞬間ーー。
ドッガ~~~~ン!
私の頬を掠るようにお姉ちゃんの持っていた大剣が、直ぐ傍の壁に深々と突き刺さったの。
「逃げようとするなんて甘いわよ!」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべるお姉ちゃん。
いや、いや、いや……お姉ちゃん?
後ほんの数ミリズレていたら私の顔面スプラッターな事になっていたのだけど?甘いって言うより辛いわよね?
さっき確か、手加減するって言ってたよね?なら、なんで大剣が根元までぐっさりと突き刺さってるの?おかしいよね?
ボロボロと崩れていく壁面に顔面蒼白になりながら私は涙目でお姉ちゃんを見つめているとーー。
「はぁ……怯えてるじゃない。テンションがMAXになると見境付かなくなるのはアンタの悪い癖よ。ギルド総長なんだからいい加減に直しなさい…全く、素直じゃないんだから」
苦笑しながらお姉ちゃんの肩を掴んで落ち着かせる赤髪に私は何が何だか分からず瞳を瞬かせることしか出来ない。
とりあえず、赤髪のおかげで命だけは助かった事だけはハッキリと分かって完全に気が抜け切っちゃった。なんなのよ、いったい………。
読んでいただきありがとうございます(o_ _)o
週一を予定して書いていたのですがリアルが、職場が……修羅場と化しておりまして( ̄。 ̄;)
読んで下さっている皆さまにはご迷惑をおかけしますm(_ _)m




