第3話 パパと呼ぶでない
「おい紅葉、荷物の移動めんどい。」
「私が戻ってきて一番にそれを言うとはいい度胸ですね。私、少しばかりイライラしているのでこれ以上この怒りを増幅させないでくださいね。」
私達から少し離れたところから2人の話し声が聞こえる。
「あの2人、仲が良いのか悪いのか私にはわからないんだけど......玲奈はどう思う?」
「良いんじゃないかしら?あれだけ言い合えるってことは、それだけ信頼しあっているってことだし」
「そんなもんかね〜。私にはあんなに言い合える仲の人なんて1人もいないから、少し羨ましいかもな」
「あら、アタシたちはそういう仲だと勝手に思ってたわ。」
ふーん、玲奈はそう思ってたんだ。私からしたらあんなこと言ったらぶちのめされるの確定だから絶対に言えないな。そんなことを思っていると隣から話しかけられる。
「私から見るとお二人方、とても仲が良いように見えますよ?」
「いやいや、そんなことはないよですよ。潮田さん。」
「あっ、潮田さんなんて呼ばずにこいしって呼んでください。私も柚木さんのことをパパと呼ぶので。」
「うーん、わかった。私もできる限りこいしって呼ぶことにするよ......って、誰がパパやねん!!」
ものすごい自然な流れで、意味のわからない呼び方をされることになりそうだった。
だいたいいつ私が子作りしたというのだ。
「え?柚木さんと玲奈さんを見ているとなんかパパとママって感じがするので。」
「なんで、玲奈と私が結婚しているんだよ!!というよりかは、玲奈は家柄の関係でそういった行為に至るまでに色々としないといけないの。」
こいしはふーんといった顔で首をかしげ、そのまま荷物を取りに部屋を出て行った。
それにしても、私と玲奈が結婚などまずありえない。
なんというか、玲奈は異性でないと言うか......
「柚木、なんてかあの子不思議よね〜高校も行かないで会社に入ってるし。アタシたちのことをパパとママなんて言ったり。」
「世の中面白い人も多いということさね。まあ、私たちも変わっているっちゃ変わってるよ。」
そういえば、さっきから隣がうるさいような.......
そう思った瞬間ガチャンガチャンと物凄いい大きな音がたつ。
「てか紅葉を!!そもそもお前が俺にできない仕事を任せんのがいけねーんだよ!!」
「何を言いますか!!私がめんどくさい仕事をしなければいけないの、だいたい青龍さんのせいじゃないですか!!毎度毎度上司に謝りに行く私の身にもなったください。このオタンコナス!!」
「誰がオタンコナスだぁ?お前に言われたかないは、このすっとこどっこい!!」
「「「くそ、こうなったら.......」」」
そして2人は息を吸い、ワンテンポおいてからこういった。
「「「飲み行くぞ!!!!!」」」
なんでや..........