第2話 自己紹介
そこには土下座する上司と、それを椅子に仁王立ちしながら叱る上司の上司がいた。
なんだろう.....このなんも言えねーかん
「男には、プライドを捨てないといけない時がある。そう、今がその時だ!!」
「そんなプライド捨ててしまいなさい。全く、資料の提出期限くらいは守ってください。私だって謝んないといけなくて大変なんですから。」
「しかたねーだろ。俺にだって事情はあるんだから。だいたい俺が資料まとめんの苦手なの1年間見てきてわかんねーのか?そして紅葉、お前は身長と同じで心の器もちいせーんだよ。」
「ほう.....青龍さん。言うようになりましたね。上司にそういうことを言うとどうなるか教えてあげましょうか?そうですね。お給料半分にしますね。」
「い、いやぁぁぁぁぁぁああ!!そ、それだけはやめてくれ!!俺だって娘に負けてられねーんだよ。娘の性格上すごい真面目だから稼ぎが、俺の倍近くあるんだよぉ。お願いだからぁ。」
目の前で繰り広げられる寸劇。私はどう反応すればいいのかわからない。
多分、私だけではなく玲奈も状況を理解していないはず。
いや、あいつのことだから適当な解釈して解決してんのかも......
「だいたい青龍さんは上司を敬う気持ちはないのですか?私のことも呼び捨てですし。せめてさんくらいはつけてください。」
「答えはノーだ。散々ひどい目にあってきたのにお前を敬う?ふざけんじゃねぇよ。このロリババア!!」
「誰がロリババアですか!!まだ25です。ババアではありません。身長は低いですが......」
「あ、あの〜」
そして、私は我慢できなくなり口を挟んだ。
このままいけば日が暮れてしまいそうな気がしたからだ。
それにしても面白い人達だな。この人達は、お笑い芸人を目指したほうがいいのではないのだろうか。
「あ、はい。えーと、あなたは確か、新入社員の柚木さんでしたっけ、なんでしょうか。」
「いえ、このままいくと日が暮れてしまいそうな気がしたので....ダメでしたか?」
「そういうことならむしろ感謝したいくらいです。私は何せ怒り始めると止まらない性格なので、止めてもらわなければ後6時間は説教に費やしてしまうところだった。うーん、それなら自己紹介をしますか。これから新しいチームを編成するわけですし。」
「は、はぁ、わかりました。」
切り替えの早さに驚きつつも、この重たい空気から抜け出すことができたと安堵の息が漏れる。
「それでは私から、私の名前は秋 紅葉、気軽に紅葉さんとか紅葉先輩なんて呼んでくだされば幸いです。私はこの部屋の責任者みたいなものなので、わからないことがあったらなんでも聞いてください。できる範囲でサポートしますので。ですが、みなさん、絶対にこの隣の人みたいになってはいけませんよ。」
「「「わっわかりました!!」」」
第一印象は真面目。紅葉のような綺麗な髪色、髪は短く、キリッとした目が特徴のお堅い上司といった感じだ。後言うことがあるとすれば、めちゃくちゃ身長が小さい。
146センチあるか無いかほどの小さな身長、玲奈がでかいからかなお小さく見える。
そして次に隣の男が自己紹介を始める。
「俺は龍田川 青龍だ。これからお前たちのチームメイト、というよりかはリーダーになるものだ。まだまだ23と未熟者だが、全力でサポートしたいと思っているからよろしく。」
なんだ、意外とまともな人間じゃないか。私のイメージだともっとチャラけたイメージだったんだけどな。
さっきは必死になっていたのかな?印象としては、なんだろう.....よくわからない。
真っ黒な髪の毛、真っ黒な目、長く伸ばされた後ろ髪は一つに束ねられ肩から垂らされている。身長は180センチ以上はありそうな感じだ。
そして次は私の番。
「私は銀羽 柚木です。えと、こ、これからよろしくお願いします。」
「おう、よろしく頼んだ。」
よかった。かんだけど青龍さんが反応してくれた。
「次はアタシね。アタシは神谷 玲奈。玲奈って呼んでください。隣の銀髪とは幼馴染です。」
「よろしく。」
あれ?いつもの玲奈だともっと適当な挨拶だと思ったけど、そんなことはなかった。
最後はさっきのエレベーターの少女
「えっと、私は潮田 こいしっています。あの、まだ15なので子供っぽいですが、気にしないでください。」
「え?15?私たちより年下なの?マジか......まあよろしく。」
年下だったんだ。でも待てよ?15ってことはもしかして高校行ってないの?
今度聞いてみるか。
「自己紹介も終わったことですし、早速仕事をしてもらいます。と、言いたいところなのですがまずは荷物を自分たちの机に持っていってもらいます。」
「「「はーい」」」
そしてこれからが私たちの会社員生活の始まりだ!!