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筒山翔太郎の場合 3日目


昨日の夜まで降っていた雨は上がっていた。


僕は9時半には目を覚ましていた。慣れない時間に起きた事もあり欠伸が止まらないが、いつもより早い時間に起きる事ができたのはきっと僕自身が今日の事を楽しみにしているからだろう。何せ生きている唯一の家族に会う事ができるんだから。今更責めたところで所詮のこり僅かの命なのだし、僕は純粋に兄とおしゃべりをする事を楽しみにしてきた。この12年間の間兄が一体何をしてきたのだとか、僕の12年間についてなど話したい事が沢山あるんだ。



幸子さんが家を出るまでまだ時間があるから僕はまとめサイトでもみる事にした。

やはり残り4日ともなると皆落ち着きがなく、最後の1日は何をして過ごすか といったスレが盛り上がっている。大半の人は家族や友人、恋人と過ごすとしているが、中には人殺しをするなんて恐ろしい事を書きこんでいる人もいる。それに対する批判のコメントが多く寄せられているが、そんな暇があるなら残りの時間をもっと有意義に過ごすべきだと思う。


気づいたらもう11時を回っていた。少々夢中に成りすぎたようだ。幸子さんも出掛けた様だし、僕もそろそろ家を出ようと思う。悩んだ末 持ち物は財布だけにして、他は何も持っていかない事にした。荷物は軽い方がいいだろう。そういえば兄は昔饅頭が好きとか言っていたような気がするからお土産に饅頭を買っていこうかな。僕も饅頭が好きだし二人で一緒に食べられたらいいな


僕は家を出るとまず近くの和菓子屋へと足を運んだ。その和菓子屋は昔からの老舗で、最近までおじいさんとおばあさんが営んでいたが、最近二人とも亡くなったようで今は機械が全て行なっている。たまに娘さんがいるが、ほとんど誰もいない。僕はそこで12個入りの饅頭を購入し、急いでバス停へと向かった。



バス停までは10分程かかった。運良く到着してすぐにバスがやって来た。バスは3年ほど前から全台が自動運転に切り替わっているため、運転手はいない。乗るときにお金を入れるとバーが上がってバスに乗車できるという仕組みだ。これは日本人だからこそ可能なシステムなんじゃないかと思う。きっと外国でこんなバスがあったら無賃乗車が絶えないだろう。いや決して外国を貶しているわけではない。ただ日本人が優し過ぎるだけなんだ。



バスに揺られて1時間もすれば目的地のバス停に着いた。そこは殺風景なところで周りにはほとんど家が無く、パッと見渡しても4、5軒程度しかない。田畑は荒れ、ゴミがそこら中に散乱しており今は殆ど誰もここには住んでいないようだ。



10分ほど歩くと兄が住んでいるというアパートが見えて来た。やはりそのアパートも例外では無く、錆びれた様子で今にも崩れ落ちそうだ。兄は現在このアパートの二階に住んでいるようだ。僕は正直心配である。周りにこれだけ人気がないのだから、兄もいないのでは無いだろうか。僕は心配になりながらも部屋へと辿り着いた。表札は掛けられているが何も書いてはおらず、僕は部屋を間違えたんじゃ無いかと思ったが確かにこの部屋だ。


僕は恐る恐るノックしたが、中から返事が無い。

ドアノブを回すとどうやら空いているようだからそっと中を覗き込むと誰かが寝ているのがチラッと見えた。

どうやら兄は寝ているようだし、僕は勝手にお邪魔することにした


そして部屋に入り


兄さん?と呼び掛けたところで


僕は突然意識を失った









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