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筒山翔太郎の場合 1日目


「そろそろ生放送の時間だな」僕はいつもの様に生放送のサイトを開き待機する。時刻は午後6時55分 7時からのアニメの一挙放送を見逃すわけにはいかないのだ。

コンコン 「翔太郎君?ご飯ここに置いておきますね」

いつもご丁寧にご飯を扉の前においてくれるのは親戚の幸子さんだ。僕は今引きこもりというやつをしているのだ。これは今に始まったことではない。中学校に入学すると同時に僕は部屋から出るのをやめた。特に理由は無いけど強いて言うならば人が嫌いになったから、だろうか。


だから地球が氷河期を迎えてみんな死ぬと分かった時は清々したさ。あと一週間で自分が死ぬ事になったわけだけど別に後悔なんてものは今の所全く無い。観たかったアニメはこうやって今のうちに消費するし、別に何か他にしたかった事がある訳でもないからね。


ボーンボーン 不気味な時計の音が7時を知らせると、観たかったアニメの一挙放送が始まった。

「待ってました!」僕は思わず声を上げてしまう。なにせこのアニメは数十年前に放送していたアニメでそれ以来DVDが出されることもなかった言わば伝説のアニメなのだから。



5時間も経てばアニメの一挙放送は終わっていた

アニメの内容は実に安っぽいものだった。両親を殺された子供が悪の組織に復讐するという、いかにもありきたりなストーリーだった。 その過程が非常に残酷であるという理由から御蔵入りとなっていたのだが、僕はそのストーリーにとても惹かれた。


というのも実は僕は12年前に両親と兄が交通事故で亡くなるという経験をしているからだ。


当時まだ5歳だった僕は殆ど覚えていないが、幸子さんによると3人が乗っていた車にダンプカーが突っ込んできたらしい。 ダンプカーの運転手は携帯電話を見ながら運転していたらしく、逆走している事に気づかなかったとの事だ。裁判で運転手は無期懲役になったとも聞いたが実際のところはよく分からない。というのも裁判の資料や証拠といったものが全て消えてしまっているからだ。これも7年前の戦争が原因なのだろう。


家族との思い出というのもあまり多くはない。唯一微かに覚えているのは4人で動物園に行った事だろうか。だかその中でも檻の前で鳥が死んでいた事だけは今でも鮮明に思い出せる。両親は鳥に気づかずに檻の中の象を見ていたが、兄はじっとその鳥を見つめ、振り向き僕にこう言ったのだ

「なぁ翔太郎 なんでこの鳥は死んだと思う?」

幼い僕は悪い事をしたからじゃないかなと答えた。両親からいつも悪い事をしてはいけないと言い聞かされてきたからだ。すると兄は神妙な面持ちで

「そうだろうな。悪い事をしたからだろうな」と何処か遠くを見つめて言っていたのである。

あの時の兄の方寂しげな顔は今でも思い出せる。


あの時兄は何を考えていたのだろうか


僕は静かに目を閉じ眠りについた



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