異世界に転移したカスムシ
投稿が少し遅れましたが、やっと完成しました
暗く明かりがついていない部屋。
その部屋はパソコンの光だけで照らされている。
パソコンには某ゲーム会社のRPGが映されていて、まさに引きこもりがいそうな部屋だ。
『勇者Aは雷呪文 ライディンを唱えた▼』
『しかし、効果はいまひとつのようだ・・・。』
「えっ、ちょ待ってくれ!!!
今、瀕死状態なんだよ!!!
こうなったら電源ブチ抜━━━」
『魔王Bは破滅呪文 デスドロイアを唱えた▼』
「ギャアァァァァァァ!!!」
どうやらそのゲームをしていたのは高校生ぐらいの男のようだ。
彼は勇者Aを死なせてしまったらしい。
その事が相当ショックだったのか、部屋で発狂した。
『GAME OVER』
「嘘だ・・・あり得ない・・・」
画面には赤くGAME OVERの文字が表示され、
彼は悔しさのあまり椅子をぶん投げた。
彼は日下部祐介と言うらしい。
彼は小さい頃は引きこもりではなく、ごく普通の小学生だったらしいが、中高で急にひねくれたらしい。
「クソ!!あそこで神雷呪文 ゴットレイが唱えたら勝ったはず!!!ええい、今度こそ倒してやる!!!」
相当くだらないことでキレている。
なんと醜いのだろうか。
典型的なダメ人間の見本だ。
それに、このダメ人間は外に出ることなど絶対にない。
「そんなことするなら、外にでたほうがましだろ!!!」と言っても、「ウるせぇぇぇほっとけよ!!!」と言いながら物を投げてくるような人間が外に出るなんて地球が滅んでもあり得ない。
きっと彼の遺言書は、
『あーゲームやりたかったなぁ』
だろう。
色々説明したが言いたいことはただひとつ。
全く飽きれてしま━━━━
「・・・・なんか外出たいな」
・・・・は?
えっ、嘘だよね。
ガチャと男はドアを開けた。
なんか外に普通に出たんですケド・・・?
何で急にこんなことに・・・・・・・・・
ハッ!?そうだ!!
今すぐにでもこの重大報告を知らせないといけない!!!
その部屋にいたのは小さな妖精。
その妖精は部屋から出た。
《volver luger!!》(元の場所へ!!!)
妖精はなにやら奇妙な呪文を唱えた。
すると一瞬にして姿が消えて、妖精の姿はもうなかった。
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「眩しいなぁ、外に出ると太陽というのは俺のような引きこもりにとって天敵だな」
俺はフードをかぶりその奥は目が死んでいる顔が見える。
片手にはスマホを持ち、片時も離さず画面を見ている。
名前は日下部 裕太と言う。
通称 カスムシとも呼ばれる。
この名前の理由は簡単だ。
『引きこもりの癖に生意気だから』
ただそれだけだ。
酷い名前だか俺は結構気に入っている。
そんなカスムシこと俺は今信じられない場所にいる。
「あのクソゲーのせいでイラついた気分転換に外へ出ようとしたのは、我ながら驚きか隠せないな」
そう引きこもりの俺が久しぶりに外へ出るのだ。
これの現象は1000万分の1の確率でしか起きない滅多に起きない奇跡の現象だ。見た人にはおめでたいことがある・・・・・多分。
しかし何故引きこもりの俺が外に出ているのかというとだ。
最近になってからゲームがあまりクリアできなかったせいなのか、無性に苛立つときが増えた。
「アアァァァァァークソがぁぁぁぁ!!!」
その時の俺はドン引きするぐらい狂っていた。
しかしこれではいけないと思った俺はとりあえずたまたま部屋の中が暑くてクーラーも壊れていたので窓を一回開けることにした。
そんな時だ。
「あっ、イライラしなくなった・・・・」
随分あっさりと苛立ちが消えたことが衝撃的だったことは今でも忘れられない。
幼かったあの頃に外へ出ていたせいなのかは知らないが、解消方法を見つけた俺は今でもこうして外へ出向いている。
まぁごく稀になのだが・・・・。
そんなわけで今は外に出ている訳だが、ひとつだけ俺には不満がある。
「しっかし外に出ると前と違う風景でいつもびっくりするな・・・・・どうせなら異世界に変わってほしい」
という不満がある。
家のドアを開けたら異世界だったというシチュエーションとか考えただけで最高だろ。
そう思うのは俺だけだろうか?
だが真面目な大人は言う。
「異世界?はは、どこがいいんだよ」
ふざけるな堅物。
いいか?異世界のいいところは幾らでもある。
例えば、雌雄どちらも美形のエルフ、モデルのようなイケメンと美女がたくさんいる人種で、モテない男女は必見だ。
そして力のある体格を持つドワーフ、脳筋がたくさんいる人種だ。こいつは災害とか守衛とかいろんなことに役に立つ。
そしてなんと言っても異世界というとあれだろう。
猫や犬の耳がついている獣人、こいつは・・・・
「いらしゃいませにゃ(わん)、ご主人様♪」
ということがモノホンでできる。もうなんというかウハウハな気分になるはず。必 ず 絶 対 に だ!!!
それに異世界の醍醐味といえるだろう『モンスターを協力して倒す』は別の人種にしかない苦労話を聞けたり、異なる習慣や文化を学べたり、時には恋愛になったり・・・・。
そして、なによりチームで倒すことで信頼関係のできるパートナーというものができる。
これは外国に行っているのとは変わらないのである。
だから全国の糞生意気な大人どもに、今から言うことを記憶に刻んでおく。
『異世界を舐めるな!!!』
これを覚えて今日は帰ってもらう。
しかし、そうは言っても・・・・
「・・・・はぁ・・・異世界行きてーよ」
という願望が叶わないのでとても残念だが・・・・。
「まぁ、どうせ家に帰ればそんなこと考えなくてもゲームで行った気にはなるからいいけど」
そう言った俺は異世界に行くことを考えず、日に照らされている道をだるそうにポケットに手を突っ込んで歩いた。
しばらく歩いていると、町の何処かの奇妙な異変に気がついた。
おかしいな・・・・何か変じゃないか?
俺は一度立ち止まり、辺りを見回してみた。
すると、日下部は奇妙な異変に気がついた。
「こんな道、見たことねぇんだけど・・・」
そこは細い道だった。
その道は家と家の狭間に通っていた。
奥は何も見えない。
俺は飽きるほどこの町を見てきた。
ここの地図を書けるくらいには通り道は全て把握している。
だから、見たことのない道はすぐに開拓したくなってしまう。
「ここ一度通ってみるか・・・・」
俺は未開拓の道に体が勝手に動いてしまうように吸い込まれた。もしかしたら異世界かもな・・・という気持ちも少しはあったが。
「おっ、思ってたよりキツい・・・・。引きこもりは体力ないんだから少しぐらい道広くしとけよ」
そんなことを愚痴っていながらも俺は前と進む。
その執念はどこからきたのかは分からない。
もしかしたらこの町に小さい頃から住んでいたからかもしれない。
「・・・・やっと着いた」
周辺にはレンガ作りの家があるさっきまで家に一台は車を見かけたはずなのに、
どこにも見当たらない。
明らかにおかしい。
「・・・あっち行ってみるか」
俺はとりあえず向こうにあった商店街の方へ向かった。
「・・・・・・」
そこにはとんでもないものがいた。
商店街には犬や猫の耳がついた人。
店には見たことのないものが売られている。
そして、城の方へ向かうと、
「グルワァァァァァアァァァァ」
ミノタウロスが捕まっている。
つまりこれがなにを示すのか一瞬で分かった。
「異世界キタァァァァァァァ!!!!」
俺の憧れた世界、ついにこの俺様の出番がきたようだ。
「待ち望んだぞ、今ここに我が参上した
これで自由に縛られた日本何ぞとはさらばだー!!!」
若干中二病がでていたが、俺は異世界に来たことが嬉しかった。
むしろ遅かったほうだ。
異世界召喚されたのかはわからないが、とりあえず異世界に召喚されたことを喜ぼう。
「異世界サイコー!!!」
俺は商店街周辺を駆けて、喜びを異世界から世界中の人に伝えた(つもり)。
「さて、異世界に転移したとはいえこの辺は初めてだし、少し見ていくか」
俺は一段落したのでこの周辺を見てみることにした。
その店は日本のRPGゲームじゃ見たことのない気持ち悪いモンスターが売られていた。
俺の冒険心が揺らいでる・・・・これは行くしかないだろ!!!
「失礼しまーす、俺は異世界召喚者 日下部 祐介だ。この世界を救いに来たぜ!!!」
ちなみに今俺の頭の中にある設定は
『異世界に召喚された日下部祐介。彼は魔王を倒し、この世界を救うという使命を任されたのだった。
「この俺が魔王を倒しこの世界を救ってやる!!」
日下部は果たして魔王を倒し世界を救うことが出来るのか!!
(日下部、勇者になる) NOW OR SELE』
みたいな感じにしてゲーム化しようと思っている。多分1000万本は売れるはずだ。これで、お金にもう困ることなんてない。
「よっしゃあぁぁなんかテンション上がってきた!!!」
「ここであまり騒がれると困るからよそに行け!!」
「あっすまん、すぐ出てい・・・おっさん誰?」
そこにいたのは、筋肉が体中にあって体格も良い、歳が45歳ぐらいに見えるおっさんだった。
というか本当に誰?
「それはこっちのセリフだ、お前こそ誰だ!」
「俺の名は異世界召喚によってここに参上した日下部 祐介!!覚えていた方がいいぜ、いずれこの異世界を救━━━━」
「異世界召喚者か・・・チッ、面倒なのが来た」
えっなにその反応・・・ちょっとそれはないんじゃないのか?
「俺はこの店の店主だ。用がないならとっとと出ていけ」
そうか、店には店主がいること忘れてた。
俺としたことがウッカリしてたぜ。
・・・待てよ、異世界召喚のこと何で知ってるんだ。
「おい、何か俺のこと知ってるみたいだな」
俺は店主を名乗るおっさんに話を聞くことにした。
すると、そのおっさんは当たり前かのように言った。
「知らないわけないだろ。俺はこの王国の国民だ。」
「ラノベとかゲームとか見てもそんな知ってるみたいな言い方あまりしないしなぁ、ちなみに俺は魔王をゲームで倒したことあるから魔王のことならお任せあれ、どんな魔王も俺の手で倒すから」
俺はそんな設定はあり得ないと言いつつ、さりげなく俺が魔王を倒したことがあると言った。
だがなぜか、それを聞いたおじさんは絶望した表情になっていた。
「どうしたおっさん!?具合でも悪いのか?まだ死んじゃいけない!生き返ってくれ!」
「ぁああ」
「おっさん?おっさあぁぁぁぁぁぁん!!」
おっさんは死んでしまった。
クッ、俺の力不足で・・・クソが!!これも魔王のせいだ。
おっさん、天国から見てろよ必ず俺がこの手でたお━━━
「勝手に死んでることにするなぁぁぁ」
「おっさん!死んでなかったのか!」
「そんな訳ないだろ!?」
おっさんはどうやら死んでいなかったらしい。ふう、よかった。
「そして人の話を聞け!おい、安堵してんじゃねぇ!」
「まったくおっさんは世話が焼けるなぁ」
「それはお前だろうがぁぁぁ!!」
そんなこんなで、おっさんと漫才をしていた俺は店の中にある品物を見ていた。
その店にあったような見たことのない気持ち悪い生き物が売られていたり、日本のゲームでも見たことのあるモンスターがいた。
しかし中には・・・
「ん?何だよコレ?」
「ああ、それはスライムの缶詰だ。よく料理に使うんだ」
はは、何だそれ?
そんなの料理に使えないだろ。
「あっそれとな、あそこにあるのはミノタウロスの肉な」
「ミッミノタウロス!?ミノタウロスってあの!?美味しくないだろあれ!?」
「いや、王宮じゃ高級肉として扱われてる」
「じゃあ、俺はこれで行くなおっさん」
「ああ、久々に楽しかったぜ異世界召喚者、でもお前みたいなやつが召喚されるとはな、王国もついにおかしくなったらしい」
最後の言葉がなければよかったのにな、あーあー台無しだ。
そして俺はその店のスライムの缶詰だけを買って帰ろうとした。なんかおもしろそうだし。
「あっちょっと待ってくれ」
おっさんは何かを言い忘れていたようで、俺に言った。
「俺の名はマカオ、覚えていた方がいいぜ」
マカオと名乗ったおっさんはニカッと笑った。
「うるせー、お前のことなんかもう忘れてる」
俺は笑い返した。
「それとな・・・・」
おっさんはさっきとはまるで違う表情になって深刻そうな表情をした。
「お前、異世界召喚者だろ?忠告しとくが、絶対に王宮周辺には近づくなよ」
「?」
「今分からなくてもあとで分かる」
おっさんは不可解なことを言っていたが、多分気にしなくても大丈夫だろう。
「ああ、分かったぜ」
俺はうなずくとその店を出て違う店へと向かった。
そのあと俺は他の店にも行った、だかどうしても納得しないことがある。
「異世界召喚者?アハハ、随分頭の悪そうな軟弱者みたいなやつだな、情報と全く違うじゃないか」
「ぎゃあぁぁぁこの世界はおしまいだぁぁぁ」
とか言ってる店の輩だ。
俺、何か悪いことしたか?
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一方、とある隠れ家には日下部の家で姿を消した妖精とその隣にいる老人がいた。
「遅れてすいません、お待たせしました!」
「遅いぞティラ」
ティラと呼ばれた妖精は老人に呼ばれていたらしい。
妖精は遅れたのになにか訳がありそうな顔をして老人に言った。
「あー、なんかあそこに行くまで色々準備していたら、相当魔力消費したんですよ」
「はぁ、いつもそれじゃなぁ」
その老人はやれやれと妖精に呆れる。
「で、どうであった」
「はい、情報通りでした」
「そうか、王の目も節穴じゃな」
「あんな脳筋どもよりかはマシです」
妖精は二度と会いたくないというような顔をしていた。
「まあ論じてもしょうがない、すぐに次の準備するんじゃ」
「分かりましたぁ!!」
ティラはそう言うとさっそうと次の準備をした。
「さて、次の異世界召喚者はどんなことをするやつかの?」
そう言う老人は隠れ家の上の窓を見て呟いた。
はぁー疲れた。
それが今思っていることです。
親がいると迷惑と思うぐらい辛いことがあったり、うるさいと思ったことがあったりと、もう勘弁してほしい・・・・。
まぁ親の言うこともわからなくないのですが、そんなに言うならせめて自分用のパソコンぐらいは欲しい。
スマホは慣れないからパソコンのキーボードの方が打ちやすい。
そんな感じで今日も終わりますが、最後に1つだけ。
次の投稿は早くなると思います・・・・・多分。