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異世界チート=ロマン

『さぁ、目覚めてください。世界を救う勇敢なる戦士達よ』


 スピーカーやマイクで聞くよりもよっぽど耳心地の良い声が俺の意識を無理矢理引き出した。


 目を開けるとそこは見覚えの無い空間。周りには見ず知らずの人達が意識のないまま椅子に腰掛け、次から次へ、続々と意識を覚醒させる。


 その人数を数えて見た所、俺を含め、縦に5列、横に5列の計25人。その1人の例外も無く、椅子は壇上の方を向いていた。壇上の上には1人の女が立っている。後光を背中にサンサンと受ける美人な女性だ。ただその美人すぎる顔立ちは二次元アニメを彷彿とさせて、なんだか歩くアニキャラのようで現実味が全く無い。


「ぜ、全校朝礼?」


 ボソリ、それがこの訳のわからん空間で発した最初の一言だ。


『皆様おはようございます。わたくしは女神、アールマゾフィー。何か異常がある方はすぐにわたくしに申しつけて下さいね』


「「「……」」」


 異常なら既に起きてんだろ!

 俺を含め、多分みんながそう思ったはず。なぜか規則正しく椅子に座らせられ、立ち上がる事も声を大に発する事も出来ない。


 意識だけハッキリするヤバイ薬か、壇上から俺達を見下ろす女性、女神さんだっけ? が、金縛りの様な何かをしているのは明らかだ。


 えーと、経緯経緯、これまでの経緯はーと。


 最後に覚えてる事。それをふと思い出したら血の気が引いた。


 そう言えば俺って、歩きスマホで横断歩道渡ってたら事故ったんだっけ。「出勤中スマホ片手に車にひかれ、〜〜〜社の社員死亡」これが明日の新聞の表紙とか? いやいや有り得ないでしょ。マジでシャレになってねぇは。


 GO! して遊んでたらマジもんのGO! しちゃったの? 笑えないよねぇ女神さん?


『問題有りませんね。それではこれから皆様を地球とは異なった異世界までご案内いたします』


 ……ファッキュー。

 いや待てし、意味がわからん。異常事態発生でしょこれ。俺は死んだの? マジで、だって生きてたら目を覚ますのは病院のはずでしょ。これってよく聞く輪廻転性って奴じゃんよ。


『皆様は地球産の電子ゲームの経験は有りますか? 今からわたくしがお送りするのは、そんなゲームのような剣と魔法のファンタジー世界です』


 ゲームは良くやるよ。ケータイゲームとかテレビゲームとかソシャゲとかネトゲとか。あの女神が言ってんのはもしかし無くてもその事だよな。剣と魔法のファンタジー世界……ちょっと面白そうかも。


『ただし、皆様にはある使命が課せられます。わたくしからそれを口にする事はできません。とても簡単な使命かもしれませんし、命懸けの使命かもしれません。ですので、そんな異世界に召喚される皆様には、わたくしの選別としてこの一覧の中からなんでも好きな事を一つ叶えて差し上げましょう』


 マジで⁉ よっしょ! アールマゾフィー様太っ腹すぎ!

 声なき声で感激していると、iPad見たいなダブレットが俺の目の前に現れる。それを手に取って確認すると、なんかごちゃごちゃ一覧がたくさん書いてある。力だとか技能だとか道具だとか装備だとか、はては奴隷とかも入ってる。なんじゃこりゃ。


 これ吟味しないとヤバイ奴でしょ。聖剣とか普通に入ってるは。あ、魔剣もあるじゃん。


 技能の方は

技能鹵獲(ロブポイント)

武具の万屋(ジャックアーマー)

急成長(レベルブースト)

 〜etc……


 うわぁ、ガチのゲームじゃん。これ選択ミスったら一生後悔するやつだ。ヤベー慎重に選ばねーと。


 うんうん、頭使って悩んでると、規則正しく並んでいるはずの1人が立ち上がり、そのまま壇上に向かい、女神アールマゾフィーさんの前へと歩み寄る。


 多分願いが決まったんだろうな。一番手は何を願うのか、これは見物だ。


「……………………」


『はい、承諾します。〜〜〜様1名ご案内です』


 女神のアナウンスの後に1番手が光に包まれる。多分これで召喚完了なんだろうか。惜しいのは1番手が選んだ願いと名前がわざと伏せられた所か。あの人はなにを選んだんだろう。


 そう思案しているとタブレットの一覧から一つの願い事がパッ、と消えた。


『言い忘れていましたが、願い事は早い者勝ちとします。皆様も新しい世界で自分と同じ能力を持った方がいるのは嫌ですよね? 天界の神としても同じ能力を持った方が2人もいては退屈してしまいますので』


 …………マジ?


 それ、早く選ばないと強い能力盗られちゃうってこと⁉


 ゲーム始めて初期カスタムでプレイヤー同士差が付くとか絶望なんですけど。


 あわばばばば、俺がテンパってる内に1人また1人と慌てて立ち上がる。


「…………………」


『はい、承諾します。〜〜〜様1名ご案内です』


『承諾します。〜〜〜様1名ご案内です』


『〜〜様1名ご案内です』


『〜〜ご案内です』


『〜〜です』


『〜〜』



 やばあぁぁーーーい⁉



 これはマズイ。はよ決めないと。はよはよはよはよ……。


『……あのぉ』


 ヤバッ‼ 女神アナウンスと言う事はまた誰か転成したは。早く決めねーと初手で人生終わる⁉


『……あのーもしもーし』


 今余ってる願いでなんか良い奴を早く探さないと。控えめに言って最強の奴。あぁ、もう結構一覧が虫食ってきてる。


『む、無視ですか? わたくしを放置ですか?』


 チッ、なんかだんだん女神アナウンスが耳障りに感じてきたは。母ちゃんに勉強急かされてる気分。わかるかな?


『わたくしを放置して良いんですか? 勝手に願い事決めちゃいますよ? 本気ですよ?』


 うっせーな。黙れよマジ。


「ファッキュー」


『……』


 ヤベ、本音出たは。小声だったけど聞こえた?


 し、仕方ねーよ。だってこんな訳わかんねー事させられたら嫌味の一つ出て当然だって。


『……ヒライ様1名ご案内です』


 あ、また誰か召喚されたのか。それにしもヒライってのにはビクッ、てなったは。まだ決めて無いし俺の事じゃないよな……。



「……………ん?」



 タブレット越しに足元が白い床から大空に変わった。



「……………へ?」



 刹那に顔を上げると、目の前には壇上にいたはずのアニキャラ女神アールマゾフィーちゃんが手を降っていた。口角がヒクヒクしてるこれは怒らせたっぽい。


 んで、落ちた。


 比喩じゃなくて、リアルで。

 なんか良く分からんって言った空間から勝手知ったる大空へ。


「はあああぁぁぁぁぁぁ!!??」


 落っこちた落とし穴はすぐに塞がれて、問答無用で空へ放り出された。


「しぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬぅぅぅ⁉」


 紐なしスカイダイビングです。

 はい死んだ。


「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!」


 アールマゾフィーちゃんマジゴメン! ファッキューとか言ってちょーし乗りました! マジゴメンってばしぬうぅ!!


 どれ位叫んだろ。大空から地面までは案外早かった。


「地面がすぐそこにぃぃぃギヤああぁぁぁ⁉」


 どんどん地面が近くなって来てぇぇ⁉

 あ、何かもう……これ終わったは。


 ふわり、俺が完璧に諦めたその時、地面衝突すれすれで体が浮いた。


 トサッ、と苦し紛れに実行した大の字のまま、痛みも無く降ろされる。


「ハァハァハァ……」


 し、死ぬかとおもた。死ぬかとおもたよ。


 これが女神のお仕置き。神罰って奴か? マジ、エクスタシーだわ。二度とやんねぇ。


 息が落ち着いてから起き上がると、どうやら辺りは木々が生えていない山脈地帯のよう、多分。


『ヒライ様の召喚が完了しました』


 アールマゾフィーちゃんの女神アナウンスだ。周りには見当たらないからお空の上から発信してるっぽい。


『そうそう、ヒライ様は願い事が無かった様なのでわたくしの方で決めさせて貰いました。その慎ましい謙虚さは日本人の美徳ですね』


 うふふ、って笑い事じゃねーから。


 べ、別に褒められたからって嬉しく無いんだからねっ‼


 アールマゾフィーたんのアニボイスで脳内に直接語りかけられたから返信してみた。これ通じてるのかな? せっかくならオプションとしてツンデレ属性を追加をして欲しい。ツンデレ大好き。ツンデレ大好き。


 とまぁ、おふざけはこれ位にして、とりあえずステ確認でしょ。バッチ来いステータス。


 名前 ヒライ・リョーマ

 LV 1

 年齢 25

 種族 人間

 クラス 無職


 HP 7/7

 MP 0/0

 攻撃 10

 防御 5

 魔力 0

 魔防 5

 敏捷 10

 運 10


 スキル

超調教(スーパートレーナー)


 あー、はいはいはい。

 うん、ゲロよわデスッ。


 俺弱すぎなんだが、他の人達はどうなんだろう。これで普通なの?


 てか何これ<超調教(スーパートレーナー)>ってポ○モンかよ



超調教(スーパートレーナー)

 生きとし生きる者全てを調教し、従わせる事が可能となる。

 また、確実に調教を成功させる事もできる。※確実に調教が成功する限度は3度まで。


 通常調教成功率はLVに依存。



 なるほど……。

 俺は異世界で調教師になった訳か。そんでこのスキル「マス○ーボール」3個搭載なとこが女神印のチートスキルなわけね、多分……。


 剣と魔法の世界で調教師……。


 これワンちゃんドラゴンとか調教しちゃう? 伝説のドラゴンとか「マ○スターボール」で一発ゲット……。


 ヤバイ、これはあげぽよですな!!


 こうして、地球にサヨナラバイバイした俺は使命とか小難しい事は忘れて、ワクワク、しながら異世界の山脈を下るのだった。



アールマゾフィーちゃんのお導きで調教師になったヒライさんの閑話でした。

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