対価2
7月29日に手術することになり、少しの間連載を中止します。また元気になりましたら開始しますので、それまで待っていてください。よろしくお願いします。 g.j.jijo 沼里泰行
「おい、桐原君は高校生か?」
「はい、高校1年です」
「いいなあ、俺なんかもう30歳だ」
「何いってんですか?30歳なんて
まだ若いじゃないですか」
「いや俺の高校時代の同級生は
もうすっかり子持ちよ」
「それは女性の場合ですよね」
「そりゃそうさ、だが、時代の変化に
ついていってねえちゅうか。
取り残されるっていうか、
寂しいもんだぜ」
「その心境は渡辺さん
本人しかわかりませんよ」
「お前は若いのに人
を思いやれるんだな」
「いや、僕はまだまだです」
「そうだ、今日のお客さん
べっぴんさんだってよ。
見積もりした奴がいってたぜ」
「ヘェ〜、それは楽しみだ」
「俺にも運が
やっと回ってきたぜ」
「渡辺さん、彼女はいないんですか」
「引っ越し屋一筋に
彼女なんてできるはずがない」
「でも今日みたいに独身の女性の
お客さん、結構いるんじゃないですか」
「手伝ってくれる
ボーイフレンドがいるんだ」
「じゃあ、今日だってそういう
ケースが考えられるじゃないですか」
「まあ、そうだな。綺麗だっていうしな」
「住所はどこですか?」
「すぐに着くぜ、中延だ」
「じゃあ、荏原中延駅に近いのかな?」
「ああ、きっとそうだ。
桐原君は彼女がいるのか」
「彼女ではなく、
ガールフレンドがいます」
「じゃあ、カネ稼いで海にでも行くのか?」
「いや、バンドやってるんで
その合宿代を稼ぐためです」
「ヘェ〜、高校生なのに親に頼らず
活動するなんて見上げた根性じゃないか」
「俺の意見じゃなくて、
バンドメンバー全員で決めたことなんで」
「ガールフレンドもその仲間か?」
「はい」
「カワイイのか」
「もちろん!」
「憎たらしいな、
どんな音楽をやっているんだ」
「ハードロックです」
「俺は聖飢魔IIなんかよく聴いたぞ」
「コンサートをミサ
っていっていたんですよね」
「おや、若いのに博識じゃねえか」
「はい、情報には敏感で」
「何で仕入れるんだ」
「ほとんど本です」
「珍しいな、最近電車に乗ってても
本なんか読んでる高校生
見たことがないぞ。
普通、スマホでゲームだろ?」
「確かに、でもゲームって
時間の無駄じゃないですか」
「時間をどう使おうが個人の
勝手だが、生きている時間は
限られているから、有効に使うべきだ」
「そうですよね、
人生の3分の1は
寝ているわけだし」
「そういうこと。俺もキャバクラ
行ってるときが1番幸せだ」
「キャバクラって
何するところですか」
「お前博識のわり
に知らねえのか?
カワイイ姉ちゃんと
酒を飲みながら話すところさ」
「それは楽しいのですか」
「普段出会う場所が少ない
っていったろ。デートなんて
最近したことがねえ」
「僕も将来の職場は
しっかりリサーチすべきですね」
「そうだ、それにこしたことがねえ。
おっとお客さんの家はこの辺りだ。
住所を調べてくれ」
「中延2ー15ー3です」
「ここは2-14だ。悪いがフレアステート
204の斎藤和子さんを探してくれ。
5階建てのマンションだ」
「はい、2ー15ー3ですね」
と大介は告げてから助手席の
ドアを開けて、そのまま飛び降り、
5階建てのマンションを
目安に走って行った。




