13(龍)
病室の前。
横引きに扉を開くと、ばっちり視線が重なった。
「あら。篤希、起きたんだ」
「はい」
「どう、体調は」
「おかげさまで、だいぶん楽になりましたわ」
「おかげさまって、別に私はなにもしてないわよ」
状況を見て、私が篤希を助けたことは察してるだろう。少し前まで悪態をつき合っていたのに、突然掌を返したようで羞恥が押し寄せる。
「そうですね」
顔を逸らすと、目に入った花瓶の花を一輪手に取る。エアコンの風が大きな花びらを揺すり、香りが漂った。
誰だろう、病室にこんな香りの強い花を置いた非常識なヒトは。……ああ、非常識と言えば、あのヒトしかいないか。非常識というか、寧ろ反常識的ですらあるし。まったく。花なんて、らしくないことをする。
すこしだけ、和んだ。
「ま、これから私があんたの面倒見るから。おとなしくしてなさいよ」
恥を隠すように言う。
「あは。あはは」
「なに笑ってんのよ」
「いえ、なんでも」
殺さないでよかった。
篤希の笑顔はそう思うのには十分すぎて。また恥ずかしくなって顔を逸らした。
もう、戦わなくてもいいのかな。櫻田篤希とは。
そうだといい。
だって彼女は、
「囮さん、ありがとう。好きですよ」
「そ、私は大嫌いよ」
「あはははは」
堕ちきった人間にはできない顔で笑う。
尊敬できて。憎悪の対象で。信念があって。心が脆くて。天才的な剣士で。ただの人間の女。
いつの間にか。私は結構篤希のことを分かっている。逆もそう。なんだかこれじゃ、本当に友達みたいだ。
それとも、これが友達なんだろうか。それともライバル。同士。どれもしっくりこない。
「……私たちの関係ってなんなんだろう」
漏らした声に、篤希は「あら。そんなの決まっているではないですか」と、常識外れな人間を相手するように言ってきた。とても心外だけど、不安定なほど情の豊かな彼女だ。意外と私よりよく分かっているのかも知れない。
「なによ」
うふふ。と少しだけ私の顔を見て笑った。
「に た も の ど う し」
分かりあえる理由なんて、別になんでもいいか。
「あはははははは。そうかもね」
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とりあえず、リアルタイムで読んでいてくれた方。最終話だけ遅くなって申し訳ないです。
しかも本作では割とどうでもいい部分なのに、、、お待たせしました笑
年始のサプライズ連載という事で、好きなことやろうと書いたのですが。最後がまとまらなくてですね。どうして篤希ちゃんが生き残ったのか。年末の僕は不思議に思ってます。笑
やりたかった事というのは二つあって。一つが戦闘。もうひとつが、キャラ消費です。
改めて、ヒトを高いレベルでリアルに戦わせるのは難しいと思いました。これでも知識とか経験はある方だと思っていたんですけど。まだまだ描写能力が足りないです、、、。
で、キャラクターですが。実は結構たまってます。
一年くらい前に、使いたいキャラクターと設定をいくつか作ったのですけど、なかなか使う機会がありませんでした。今回は、直前に『百合』というテーマで掌編を書いたので、流れに便乗して。満を持して『バーサーカー乙女/龍泉囮』を参戦!笑
やっと日の目を浴びたな~。泪
(でも個性が埋没するストーリーだった……)
『博愛主義の殺戮者/櫻田篤希』は新しく考えました。カナタさんは……。黙
はいっ。という事で、僕の中では。
『東京鎖国』篇。完
ってイメージです。
ただし、続きを書く予定はまだありません。笑
それでは、読了。ありがとうございました。




