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異世界一日目、最弱でも生き延びていこう。

 みなさんはTRPGテーブルトーク・ロールプレイングゲームと言うものを知っているだろうか?


 世界観やその世界の法則ルールなどを1冊程度の本にして、それをもとに自分のキャラクターを作りそのキャラクターを演じて、会話をしながら冒険をしていく、会話型RPGのことだ。


 私は今、友人宅へ向かう電車の中で、大慌てで今日やるゲームのキャラクター設定をキャラクターシートに書き込んでいるところだ。


 今回のゲームは、キャラクターの設定をゲームマスターと事前に打ち合わせをしいて、キャラクターの背景設定や性格などを考慮して、ゲームマスターからルールブック外の特殊能力を与えられている。

 なので、ゲーム用のキャラクター概要は出来ているのだが、最近仕事が忙しくてキャラクターシートの作成をしていなかったため、今頃になって必死に書き込みをしているのだ。


 普通キャラクター作成は、ルールブックに添付されているキャラクターシートの原書をコピーして使うのだが、コピーしておいたのを使い切っていて、仕方なくルールブックに添付されている原書に書いている。


 ルールブックは予備も持っているので、1冊分を使っても大丈夫ではあるが、友人宅でのゲームでなかったら確実に白い目で見られる非常識なことである。




「よし、ここまで作りこめば後は着いてからでも大丈夫かな、でもキャラシートなんか言われるかな……」


 もうすぐ目的地に到着する頃になって、ようやくキャラクターの大まかな設定が完了した。

 あとは装備品の購入や、わずかに残ったSPスキルポイントで一般スキルを取るだけとなったところで、電車は目的駅の地下へと入って行き車内灯がつくまえの暗闇に包まれる、そして光が……





 トンネルを抜けると雪国であった と偉大な小説家は言って、もとい書いていた。

 トンネル以前に駅構内の地下に入っただけで、抜けても居ないしこの駅で降りないといけないのに、なぜか私は、暖かな日差しの草原にぽつんとある小岩に座っていた。




「草の香りがする、なんか落ち着くなー」


 私は深呼吸して清々しい空気を吸い込む、季節は初夏ごろだろうか、日差しが暖かく、吹き付ける風は爽やかでお昼寝でもしたくなる陽気だ。


 鞄にはスーパーで買ったお握りとかジュースもあるし、ちょっと一息入れようと鞄からジュースを取り出し、一口飲んで落ち着いて考える。


 だが現状がさっぱりわからない、つい今しがたまで読んでいたルールブックはひざの上に乗っている、座席の横と足元に置いた荷物もある、違和感はあるがそれよりも突然草原に居る違和感が恐ろしい。


 背中を汗が伝う感触がある。

 ナニこれ、どっきり? んな、一般人をハメて視聴率とれる番組がいまさらあるわけないし、薬で眠らされてここへ拉致とか意味わかんないし……あと、これ重要! 私のカラダ何かしんないけど、縮んでるし!!


 ああ、気づいてたよ? ジュース取り出すときに、袖を巻くりあげないと手が出なかったし、ジーンズも半分脱げかけで靴はぶかぶかで足元に落ちてるし、皮膚はぷにぷにになってて明らかに若返ってるし! 


 私は嫌な予感を覚えながら、携帯を出して自分を撮ってみることにした。

 そして、そこには、銀髪に赤目の可愛い子供が、不安で目に涙を浮かべた顔が映っていた……




 軽く1時間ぐらい、呆然と今までの人生を反芻はんすうしていた。

 朝食を食べていなかったため空腹でお腹が鳴いているので、とりあえず買ったお握りを食べつつ解った事を整理してみた。


 まず間違いなくここは異世界だ。小説や漫画でよく見かける異世界トリップっていうやつだろう、私にもついに厨二神が微笑んでくれた! たとえそれがニヤリと効果音が付きそうな笑みであったとしても。


 確かに、残してきた家族や友人のことは気になるし、いつかホームシックになる時がくるかもしれない、だけど異世界、そして冒険の予感! 

 当然TRPGやネトゲを愛してやまない私としては、不安よりも興奮で心臓がバクバクいいだしていた。



 お腹も膨れたことだし、とりあえずアレだよ、アレ!! 魔法! やっぱり異世界に居るんだし魔法が使えるかどうか、これ、重要だよね?


 とりあえず動きやすいようにジーンズは捲くりあげ――ようとして諦め、鞄から工作用のナイフを取り出して、長さをそろえて切り取ってハギレを鞄にしまう。

 ウエストはベルトで無理やり調節して、上着は一番上のボタンだけをとめて、腕を通さないでマントのように羽織り、岩の上に立ち上がり、手を前に突き出し声高に叫ぶ!


「ふぁいあー」  なにも起こらず

「あいすすとーむ」  なにもおこらず

「だいあ…… これはまずいか……」


 涼しげな風が吹き抜けていった……なんか、痛いごっこ遊びのような状況になってしまったが、とりあえずというか、やはりというか魔法が使えなかった。


 そもそも、この世界に魔法があるのかも解って居ないのに、使い方もわからない魔法を使おうとかちょっと反省してみる。だが、魔法はある! 必ずだ!


 なぜならば、私の容姿はさっきまで私が作っていたキャラクターの設定にそっくりなのだ。 だとすれば、この世界は「武勇の血脈」のはずだ! たぶん!


 まぁ、魔法が使えなかったのは心当たりがあるのだけど、とりあえずキャラクターシートを確認しようと、ルールブックに挟んでおいたシートを探すのだが見当たらない、はて? 


 パラパラとめくって最終ページに、見たこともない紋章が書かれているぐらいで、特に変わったところはないのだが……


「ははは、変わったところが無いもナニも、見た覚えも書いた覚えもない胡散臭い不思議紋章とか、ナイワー」


 不審に思いながらも紋章を恐る恐る触ってみる。その瞬間手のひらに焼けた鉄を触ったような痛みがあり、反射的にルールブックを放り出して手の平を確認する、とそこには、先ほどの紋章が火傷のように浮かびあがっていた。


「えっと、ドラゴンの力でも宿ったか?」


 しばらくして火傷の痛みも治まり、触ってもどうもなかった。

 何かのフラグが立ったことだけは確かだろう、ドラゴンの紋章とかだったらカッケーんだけどなーと思いつつ、紋章をジッと見て意識を集中してみたり、手を振ってみるのだがなにも起こらない。


 放り出してしまったルールブックに、この紋章が載っていないか調べようと辺りを見渡すが、投げてしまった本が見当たらない。

 そして『ルールブックどこ行ったかなー』と思ったとたん目の前に半透明のルールブックが現れた。


 触ろうとしてもすり抜けてしまい、しばらく試行錯誤したのち大体の使い方を理解できた。

 念じることでルールブックを呼び出し、ページを捲るのも項目を検索するのも念じるだけで出来るようだ。そして、キャラクターシートも同様に、念じると目の前に出現した。


 名前 :エイジア・アーガス

 種族 :亜人 (魔血族)

 性別 :男

 年齢 :7才

 出身 :エルダーフォレスト

 属性 :聖

 レベル:3            

 ジョブ:学生 (魔道学・神聖魔法)

 ジョブ:付与術士


 HP :41

 MP :179


 体力 :17

 強さ :24

 器用 :22

 知能 :47

 精神 :32

 神気 :34

 魅力 :42


 半ば予想通りだとはいえ弱かった。 人間族の成人男性平均能力値は40前後、年齢によるマイナスを受けているとはいえ、NPCノンプレイヤーキャラクターにも負ける能力値だった。

 今回のGMゲームマスター相談で手に入れた恩恵「魔法系能力値の上昇」がなければ絶望的だった。


 GMから聞いた第一回目シナリオの登場シーンで、私は、盗賊に捕まって奴隷商人に売り渡されそうになったところを、他のプレイヤーに助けられて冒険に出るというスタートのため、攻撃魔法どころか攻撃手段はほぼ持っていない。


 第二回目のシナリオが、その5年後の話でレベルを10に上げて再スタートすることになっていたので、私のキャラは種族寿命が短いこともあって年齢を7才にしていた。


 電車の中でキャラクター作成途中だったせいなのか、この世界のアイテムはなにも持って居ない。

 武器防具・テントや冒険セットなどを購入してから、残金を計算して書き込む予定だったのでお金もない。


 だが、逆にそれらを書き込んでいなかったためなのか、現実で持っていた所持品を持っている、どちらが良かったかは解らないが、現時点での所持品は……


 実世界で着ていた洋服・携帯・財布・懐中時計・鞄の中にルールブック予備・差分のルールブック・筆記用具・お泊り用着替え・多機能懐中電灯・水ペットボトル・飴ちゃん・工作用ナイフ・タバコ・ライター・オイル・友人宅で煮炊きする用の食材・調理済みの惣菜1タッパ


 1日、2日ぐらいは何とかなりそうだが、初夏とは言え寝袋なしで寝たら風邪を引くこと間違いない、見渡す限りの草原で現在位置もわからない、時計が正しいならば午後1時で日暮れまであと4時間程度しかない、取りあえず行動しよう。


 たしか、レベル個数分のアイテムを収納できるストレージが、冒険者にはあるはずと思い「ストレージ」と念じると、目の前に黒い空間が現れる。


「アイテムストレージがあるとしか説明がなかったが、こんな風になってるのか」


 ナイフ以外を鞄につめて、買い物袋と鞄をストレージに放り込み、とりあえず南を目指して歩き始めるのだった。




 お読みいただきありがとうございます。

物を書くなんて始めての事ですので、叱咤激励お待ちしております。

 打たれ弱いのでなるべくやわらかめ表現でお願いします。


 一部改稿しました

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