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プロローグ。
寝て起きたら別世界。
そんな非日常に憧れがないでもなかったが、だからといってそれは小説で読むだけで十分満足できるくらいの憧れだ。
だからこの世界に来た時、なんで私なんだろうって思った。
異世界召還を望んでる人間は他に山ほどいるはずなのに。
「――――で。私を召還した目的はなんでしょう?」
「私の息子の婚約者になってほしくての。」
「帰る方法はないんですか?」
「ない。わしもまさか本当に召還されるとは思わなんでなぁ」
「そうですか。分かりました。だったら、ちょっとだけお願いがあるんですが。」
「なんじゃ?」
「私にこの世界の文字を教えて下さい。」