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ep.3 にゃんぽこベーカリー

ルーシーは街の中を駆けた

目的地まで到着は早かった。


なぜならこの街にパン屋はここにしかない

モクモクと漂う香ばしい小麦の匂いに釣られ

迷う素振りも無くルーシーは嗅覚を頼りに

パン屋へ辿り着いた。


デカデカと掲げられた看板には大きな肉球と

〈にゃんぽこベーカリー〉の文字


本日もにゃんぽこベーカリーは大盛況だ

この街では知らない人はいない人気店

実はルーシーもよく行くパン屋だ

今朝食べたパンもここで買ったものだ。


「いらっしゃいませぇ〜〜♪」

「焼きたてのフランスパンはいかがかにゃ〜♪」


扉が開くとベルが揺れる

凛とした猫耳には赤色のリボンを装い

小麦色のメイド服を着こなし

焼きたてのフランスパンをトレーに並べる


「げっ!? ルーシーまた来たの?

店長がルーシーは試食ばっか食べるから

激おこぷんぷん丸だにゃ!」


「チッチッチッ!今日は店長の依頼だぜ!」


彼女はにゃんぽこベーカリーの看板娘シオン

だがもう一人の看板娘トラディの姿が見えなかった

シオンとトラディはいつも一緒なはずだが...

そんな考え事をしながら店中を見渡していると

奥から真っ白なコック帽がルーシーに迫ってくる。

どんどん距離縮め

ルーシーの視界は真っ白に埋め尽くされた。

徐々に視線を下げていく

まだまだ下げる

ルーシーは肩甲挙筋が伸び切った所で

遂に白色以外を視認する事ができた。


とてつもない長さのコック帽を挟み込む

ふわふわの猫耳に小麦粉まみれの黒エプロンを着た

少女....いや、幼女と目が合った。


「ルーシー何の用だい!試食ばっかり食べやがって

買う気が無いなら帰りな!」


にゃんぽこベーカリー店長 テレサ・ナイン

見た目は幼女だが年齢はこの街最年長だとか...


「猫捜索の依頼、このルーシーに任せなさい!」


ガビ〜〜〜〜ん


世界は凍った


テレサのリアクションはやはり古かった。


「店長まさか、猫捜索ってトラディの事なのか?

捜索なんて大袈裟だなぁ

パパっと見つけて報酬頂くぜ!」

息巻いたルーシーとは裏腹にテレサは呆れていた


「そんな格好でどうするんだよ!

まさか、街の中にでもいると思ってんのか?

ダンジョンでトラディは迷子なんだよ!」


ルーシーは受付嬢ハラペニョの言葉を思い出した

(武器も防具も無しで....)

そういう事だったのかぁ


だがルーシーは変わらない


「あぁいいぜ。この格好で探してくるよ!

何かモンスターを倒すわけじゃない

見つけてすぐ戻ってくるよ!」


ルーシーは空腹に限界を感じ

何としても報酬の金貨を手にしたかった。

以前ゴブリンにボコボコにされた事など

すっかり遠い記憶


その時シオンから何かを手渡された


「はいにゃ!焼き過ぎちゃったフランスパンだにゃ

カッチカチだから武器として使えると思うにゃ」


ルーシーは背中にカッチカチのフランスパンを

紐で結び付けパン屋を後にした。



太陽が昇り切った正午

ルーシーはダンジョンの森へ姿を消した

その背中のフランスパンはすでに短くなっていた。

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