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命を懸けた戦い


 ギルドの戦士になったムラサメは、リミスと共にゴブリン討伐の依頼に出ていた。だが、命がかかった戦いが始まると思うと、ムラサメは緊張してきた。


「どうしたの? さっきより言葉数が減ったけど」


 ムラサメの表情を見て、心配になったリミスがこう聞いた。ムラサメは小さく笑い、リミスにこう言った。


「ああ。今からやるのは命を懸けた本気の戦い。喧嘩やごっこ遊びとは違うって思うとな……ちょっと、緊張してきてな」


「あんたみたいなスケベ野郎でも、命がかかっていると思ったら緊張するのね。意外と繊細なのね、あんた」


「自分でもそう思うよ。で、リミスは危険なモンスターを何匹始末したか覚えているか?」


「いちいちカウントしてないわ。命を奪うってのはやりすぎだと思うけど、ゴブリンは害悪なモンスター。見逃していたら、いずれ弱い人たちを襲うわ」


「確かにそうだな。じゃ、力がある俺たちが戦わないといけないな」


 リミスと会話をした後、ムラサメは自身の両頬を軽く叩き、気合を入れた。そして、<イビルアイ>のスキルを使ってゴブリンの群れの様子を見た。


「あいつらのことが分かる?」


「ああ。近付いたらより多くの情報を手に入れられる。あいつらの数は三匹。三匹とも槍のような武器を持っている。そのうちの二匹に魔力はないが、それなりに力はある。残る一匹があの群れのリーダー的存在だな。魔力もあるし、知能もある」


「分かったわ。私はリーダーを相手にするから、ムラサメは雑魚の二匹をお願い」


「ああ。リミスも気を付けろよ。ゴブリンに押し倒されて、あんなことをされないでくれよ」


「私はあなたの先輩よ。場数も踏んでいるし、あんな奴ら敵じゃないわ。それじゃ、行くわよ」


 リミスの掛け声と同時に、ムラサメとリミスはゴブリンの群れが隠れている草むらに走り出した。ムラサメとリミスの接近を察したゴブリンは鳴き声を上げ、槍を手にした。前に出たのはリミスが雑魚だと判断した二匹。ムラサメは<イビルアイ>を使い、その二匹に同士討ちをするように催眠をかけた。ムラサメの催眠は効果があり、二匹のゴブリンは同士討ちを始めた。


「ナイス、ムラサメ。これで心置きなくリーダーをやれる!」


「いつ催眠が解けるか分からない。その前にとっちめてくれ!」


 ムラサメが同士討ちをするゴブリンに攻撃を仕掛ける中、リミスは剣を手にしてゴブリンのリーダーに襲い掛かった。リミスが鞘から剣を引き抜いた時、ムラサメはその剣から不思議な気配を感じた。




 ゴブリンのリーダーはリミスの接近を知り、槍を使って攻撃を防御した。だが、リミスの攻撃はゴブリンのリーダーの槍を一撃で粉砕した。武器を失ったゴブリンのリーダーは、後ろに下がって代わりの武器を探し、近くに落ちていた大きな岩を掴み、リミスに向かって投げた。


「おいおい! あんなバカでかい岩を持ち上げられるのかよ⁉」


 大きな岩が持ち上げられ、リミスに向かって投げられる光景を見たムラサメは、驚いて声を漏らした。リミスは焦ることなく、迫る大きな岩を見て、剣を振るった。


「マジかよ……」


 目の前の光景を見て、思わずムラサメは声を漏らした。固くて大きな岩は、たった一閃で真っ二つに斬られたのだ。ゴブリンのリーダーはリミスを見て、悲鳴を上げて逃げようとした。だが、リミスは火の魔力で矢を作り、その矢をゴブリンのリーダーの足に向かって放った。放たれた火の矢は、ゴブリンのリーダーの左足を貫いた。


「さて、とりあえずリーダーの処分はできたわね」


 リミスはムラサメの方を振り向き、笑顔を作った。リミスがとんでもない強さを持っていると察したムラサメは、少しだけセクハラを控えようかなと心の中で思った。




 ゴブリンとの戦いが終わった後、ムラサメは同士討ちをする二匹のゴブリンの処理をリミスに任せ、攻撃を受けて倒れているゴブリンのリーダーに近付いた。


「おい、お前の仲間はまだいるか?」


 ムラサメの言葉を聞いたゴブリンのリーダーはそっぽを向いたのだが、ムラサメは無理矢理ゴブリンのリーダーの頭を掴み、自身の目を合わせた。


「俺の話を聞けよ、小鬼野郎。お前はあの雑魚を率いていたリーダーだが、上には上がいる。お前はどこかのゴブリンの群れの一部だろ? 違うか?」


 低い声でムラサメはこう言った。その時、ゴブリンのリーダーはムラサメから威圧を感じていたが、何も言わないように口を塞いだ。だが、ムラサメはこのゴブリンのリーダーが何も答えないだろうと予測しており、<イビルアイ>を発動していたのだ。


「お口チャックしても無駄だぜ。お前は俺より弱い。無理矢理仲間の居場所を教えてもらうからな」


 と言って、ムラサメは笑みを浮かべた。


 数分後、ゴブリンの処理を終えたリミスは、ゴブリンのリーダーから話を聞いているムラサメに近付いた。


「情報を聞き出せた?」


「ああ。今、こいつを催眠状態にした。俺たちをアジトに連れて行けって命令したから、後はこいつと一緒にアジトに行くだけだ」


 ムラサメはふらつきながらも立っているゴブリンのリーダーを指差し、リミスにこう言った。


「これで大丈夫なの?」


「大丈夫だって。ゴリマーチョと俺の戦いを忘れたか? <イビルアイ>の催眠は完璧だって。多分」


「その多分は止めてよ。不安になるじゃない」


「何かあってもどうにかするさ。さて、アジトに向かうぞ」


 ムラサメは笑って話を終え、催眠状態のゴブリンのリーダーにアジトに連れて行くように命令した。



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