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囮作戦開始


 ベルマーロのあることを知ったムラサメは、リミスたちにそのことを伝えた。簡易な話し合いをした結果、ベルマーロは魔力を空にして弱らせ、ムラサメの<イビルアイ>の能力である催眠で動きを止めて倒すという作戦に切り替えた。


 ベルマーロの魔力を減らすため、リミスが囮役となり、ソワンがサポートに回ることになった。


「はっ、プレイを守るために囮になるってのかい?」


「その通りよ」


 リミスはそう言って、魔力を開放した。しゃがんで周囲にある雑草や砂利を手にし、<フワフワタイム>で動かした。


「そんな子供だましが私に通用すると思っているのかい?」


「質問攻めが好きねぇ。ま、あんたの魔力を弱らすためには何でも使わないとね」


 そう答え、リミスは雑草と砂利をベルマーロに向かって放った。ベルマーロは<チェーンコントロール>で大量の鎖を召喚し、自身に向かって飛んでくる雑草や砂利を蹴散らした。


「こんなもんで私を倒せると思わないでよ!」


「倒すつもりはないわよ」


 後ろからソワンの声が聞こえた。ベルマーロは急いでソワンの方を振り返り、攻撃をしようとした。だが、ソワンはベルマーロが攻撃を仕掛ける前に<ホワイトバース>でベルマーロの両腕を動かせないように凍らせた。


「なっ⁉」


「しばらく落ち着いて」


「落ち着いて? あんたに言われる筋合いはないわよ!」


 ベルマーロは魔力を開放し、両腕の氷を吹き飛ばした。そして、<チェーンコントロール>の鎖を使ってソワンの動きを封じた。


「グッ!」


「ふふふ……これであんたは身動きが取れない」


「今の状況、あんた理解してないでしょ?」


 ソワンの言葉を聞き、ベルマーロは後ろを振り向いた。そこには、ヒアラの剣先を向けるリミスの姿があった。


「こっちもちゃんと見てほしいわね」


「あらなーに? あんた、かまってちゃんなの?」


「二対一よ。状況をちゃんと見ないといけないってこと」


「状況ねぇ。それじゃあ私からも一つ言わせて。<チェーンコントロール>は手以外からも使うことができるってね‼」


 ベルマーロの叫びの直後、リミスの足元から大量の鎖が現れた。


「なっ、地面から現れた!」


「残念! <チェーンコントロール>は私の全身から鎖を放つことができるのよ! 両腕が斬り落とされようが、足や顔から鎖を出すことができる!」


 リミスの足元から現れた鎖は、すぐにリミスの体の動きを封じた。リミスは鎖をほどこうとしたが、鎖は絡まっており、動けば動くほどきつく縛るようになっていた。


「無駄よ、無駄無駄! あんたがもがけばもがくほど、鎖はきつく縛る!」


「がっ……があ……」


「リミス!」


 苦しそうに呼吸をするリミスを見て、ソワンは動こうとした。だが、そのタイミングに合わせて鎖が現れ、ソワンの体を縛った。


「うふふ、なーにが囮役よ。役に立たないわね」


 と言って、ベルマーロは戦いの様子を見ていたプレイを睨んだ。




 ムラサメは<イビルアイ>を使い、今のベルマーロの様子を確認していた。


「リミスとソワンのおかげで、あの人の魔力がだいぶ減った」


「でも、二人が捕まったわ。私がどーにかしてくる」


 と言って、プレイは立ち上がった。ムラサメも立ち上がって深く呼吸をした。


「そいじゃ、俺も動くとするか。プレイ、リミスとソワンを任せるぞ」


「終わらすつもり?」


「そのつもりだ」


 そう答え、ムラサメはベルマーロに向かって走った。


 自身に向かって走ってくるムラサメを見て、ベルマーロは笑みを浮かべた。


「次はあなたが相手なの、子猫ちゃん?」


「ま、そんなとこだ」


 ムラサメは素早くベルマーロに飛びかかった。ベルマーロはムラサメの動きを見切って<チェーンコントロール>を放った。


「おっと」


 ムラサメは空中で一回転し、飛んでくる鎖をかわした。


「さすが猫、しなやかな動きね」


「あんたこそ、男を惑わせるような素晴らしいスタイルの持ち主のようで」


 言葉を返しながら、ムラサメは蛇のような動きでベルマーロの足元に移動し、そのまま体に抱き着いた。


「うふふ、発情期かしら?」


「リミスとソワンを人質にしているから、余裕のつもりか?」


「ええそうよ。私が<チェーンコントロール>を使えば、あの二人の体はバラバラになる」


「えげつねーものを見せるのは止めてくれ。そんなんだったらあなたの美乳を見た方が何百倍もましだ」


「あらあら、あなたはそっちの趣味なの?」


「訳アリでね」


 その時、ムラサメは自身の足元から<チェーンコントロール>の鎖があることを確認した。


「おいおい、楽しくおしゃべりをしてるっつーのに、罠を仕掛けるのはよくないと思うぜ」


「戦いの中でおしゃべりを楽しむ方が悪いのよ」


「あんたも結構楽しんで喋ってたように見えるけどな」


「あなたの隙を作るためよ、子猫ちゃん」


「ははは。確かに大きな隙を作っちまったな。あんたみたいにな」


「なっ⁉」


 ムラサメの言葉を聞いたベルマーロは、すぐに周囲を見回した。そこには、鎖から解放されたリミスとソワンが立っていた。その近くには、ドヤ顔をしているプレイがいた。


「ありがとねームラサメ。おかげで助けることができたわー」


 プレイの言葉を聞き、ベルマーロは歯ぎしりをした。


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