一対多数の状況の中で
ベルマーロは<チェーンコントロール>でソワンを捕らえ、プレイの前に突き出していた。
「ぐっ……」
目の前に現れた囚われのソワンを見て、プレイはリタンを振り下ろそうとした両腕の動きを止めた。
「ごめん……油断した」
悔しそうな顔で、ソワンがこう言った。
「隙あり!」
プレイが動けない隙を見て、ベルマーロは魔力を開放し、無数の氷の矢をプレイに向かって放った。この時、プレイは察した。人質にしているソワンごと、自分を攻撃するつもりだと。
「この外道が!」
プレイは叫び、ベルマーロの前に走った。それを見たベルマーロは笑みを浮かべ、氷の矢を動かした。
「あんたが動いてくれるのなら好都合! まず最初にお前を殺して、マックウェルの仇を取ってやる!」
プレイが動いたのを察したベルマーロは、確実にプレイを始末できるチャンスと察し、放つ氷の矢の数を増やした。プレイはリタンを手にし、迫る氷の矢を壊していった。
「ハッ! やるわね! でも、あんたの大事な仲間が捕まってるのを忘れないでほしいわねぇ」
「忘れてないわよ」
プレイはそう言って、魔力を開放して猛スピードでベルマーロに接近し、勢いを付けて左肘をベルマーロの腹に沈めた。
「うぼぉ……」
重い衝撃がベルマーロの全身を襲った。その時、ソワンを拘束していた鎖が消えた。ソワンは無事に着地し、プレイに近付いた。
「何とかなったわ。ありがとう」
「お礼はいいわ。それよりも構えて。こいつ、何かするかもしれないわ」
と、プレイはうめき声をあげるベルマーロを睨みながらこう言った。
リミスはソワンとプレイ、そしてベルマーロの魔力を感じ、戦いが始まっていることを察していた。
早く行かないと二人が危険! けど、こんな森の中、早く移動できない!
リミスは前にある大きな倒れた丸太を登りながらこう思っていた。今、リミスがいる場所は倒木が何本もあり、死角になる場所に沼地がいくつもある動きにくい場所だった。何がなんでも早く行こうとリミスは考えたが、その考えをあざ笑うかのように倒木などが多数あった。
「本当にむかつくわね。魔力でぶっ飛ばしてやろうかしら?」
そう思い、リミスは魔力を開放した。だがその直後、足場にしていた倒木の一部が腐食で崩れてしまった。
「げ。キャァァァァァァァァァァ‼」
悲鳴を発しながら、リミスは落ちた。
「へ? うげぇ⁉」
しばらく落ちていると、ムラサメの声が聞こえた。その直後、リミスは丁度下にいたムラサメの上に落下した。
「助かった……」
リミスは自身の痛みを感じないことに驚き、きょとんとしていた。だが、尻の下がくすぐったいと思い、すぐにどかした。その下にはムラサメがいた。ムラサメを見て、リミスは全てを察した。
「ちょっと! どうして私のお尻の下にいるのよ⁉」
「好きでリミスの座布団になったわけじゃねぇ。偶然だ。上からリミスが落っこちて、俺の顔面がクッションになっちまったんだよ」
ムラサメは立ち上がりながら、鼻をさすった。リミスはわざとじゃないことを知り、ため息を吐いた。
「偶然ってわけね。変に疑ってゴメン」
「別にいいさ。それよりも、早くソワンとプレイの元に行かねーと」
「そうね」
気の切り替えが早いムラサメを少しだけすごいと思い、リミスはムラサメと合流して走り出した。しばらく走ると、目の前から鎖が飛んできた。
「おっと」
「鎖? 敵のスキルか武器?」
「かもな。クチアの部下に、鎖を使って戦う奴もいたからな」
話をし、ムラサメとリミスは足を速くした。そして、目の前の木々を通り抜け、目の前の光景に飛び交う鎖をかわすソワンとプレイの姿を見た。
「ソワン! プレイ!」
「無事みたいだな!」
「リミス!」
ムラサメとリミスの合流を察したソワンは明るい顔になったが、目の前に飛んできた鎖を見て表情を変え、ヒアラで鎖を叩き落とした。ソワンの声を聞いたベルマーロは後ろを見て、ムラサメとリミスの存在を察した。
「何だい? お仲間の登場ってわけか?」
「その通りだ、美人さん」
ムラサメはかっこよくこう言ったが、その言葉と態度にイラっとしたベルマーロは、ムラサメに向かって鎖を放った。
「メス猫が私を見て発情するな! 私を抱いていいのは、マックウェルだけだァァァァァ‼」
「フラれたみたいだ」
「こんな状況で敵のボスを口説くなっつーの」
そんな会話をしながら、ムラサメとリミスは鎖をジャンプしてかわした。その時、ムラサメは<イビルアイ>を使ってベルマーロの情報を得ていた。
「へーへー。そうなのね」
ベルマーロの情報を得たムラサメは着地し、近くにいたプレイにこう言った。
「あの美人の情報、聞きたいか?」
「うん」
「名前は知っているようだから省略してと、胸の大きさは俺より下、腰回りも贅肉があって少しぼよぼよしてる。尻の肉も少し落ちてる」
「そんなことはどうでもいいのよ。つーか、<イビルアイ>に透視能力があるの?」
「ああ。うまく調整すればすっぽんぽんも見放題。そんでもって、レントゲンのように人体の内部まで見れる」
「へぇ」
プレイは感心して声を上げた。その後、ムラサメは<イビルアイ>の透視能力で見たものをプレイに伝えた。
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