虫と牙の戦い
ソワンはわざとサリクを挑発し、がむしゃらに<クローコントロール>を使わせた。その結果、<クローコントロール>によって伸びた爪は絡まった紐のようになってしまった。サリクが爪をほどくのに集中する隙、ソワンは<ホワイトバース>を使った。
「なっ! またこの技か!」
「ええそうよ。さてと、これで終わりにするわ」
<ホワイトバース>により、サリクの首から下が完全に凍った。ソワンは魔力を開放してサリクに近付き、クルアを手にした。刃の周りには、巨大な氷の刃が発していた。
「あ……ああ……」
「一応死なない程度には手加減してあげるわ」
と言って、ソワンは素早くクルアを振るった。攻撃を終えた数秒後、クルアの周りの氷は粉々に砕けた。
「そ……ん……な……」
斬られたサリクは小さくこう言うと、体中にへばりついていた氷が粉々に砕け、それと同時に体から血が発した。倒れたサリクを見て、ソワンは息を吐いた。
プレイは周囲にナグリバチの群れを発し、飛ばしていた。
この周辺に敵がいるのは分かる。けど、ナグリバチを飛ばして攻撃を仕掛けても反応はない。相手が何かしらのスキルで、ナグリバチを攻撃しているかもしれないわね。
敵の攻撃が始まっていると考えたプレイは、自身を囮にすることにした。わざと立ち上がり、目立つポーズをした。その直後、獣の牙のようなものが飛んできた。
あれはさっき見た牙ね。魔力じゃないし、スキルか何か使っているようね。でも、この近くに敵がいるのは確定した。
そう思い、プレイは魔力を開放し、リタンを力強く地面に突き刺した。地面に刺さったリタンの刃から、音を発しながら電撃が流れた。
「グォォォォォ‼」
プレイから離れた場所で、男の悲鳴が聞こえた。プレイはすぐにナグリバチを作り、声がした方に動かした。
「そこにいるのは分かってんのよ、観念しなさい!」
「クソッ! 魔力の相性が悪い!」
男がそう言った直後、プレイの目の前に二つの鋭い牙が現れた。それを見たプレイは素早くリタンを振るい、叩き落した。
「牙を自由に出すことができる。魔力で固めた牙じゃない。それがあんたのスキルね!」
「クッ、見破るのがはえーよ!」
男はそう言って、剣を手にしてプレイの前に現れた。
この男、名前をブルドと言う。使う魔力は水、スキルは<ノーエアトゥース>。自身の半径一メートル以内なら、最大十個まで牙を出すことができる。
ブルドは勢いを付けてプレイの前に出たのはいいが、どうやって戦おうか考えていた。
まずいな。俺の相手はあのプレイか。かなり頭が回るっつーし、下手な策はすぐに見破られる。どうするか。
そう思っていると、プレイはナグリバチを動かした。ブルドはすぐに<ノーエアトゥース>を発動し、牙でナグリバチを突き刺した。
「酷いことをするわねぇ」
「うるせーよ‼ お前だってベルマーロさんの彼氏を拷問し、殺したじゃねーか!」
「私は殺してないっての! 野蛮人と一緒にしないで!」
叫びながら、プレイは接近してリタンを振るった。
接近戦か! これなら勝てる自信はある!
勝機を見出したブルドはやる気を出し、剣を手にしてプレイに反撃した。だが、ブルドの予想は大きく外れた。プレイの剣術に隙はなく、攻撃を仕掛けるタイミングを掴めてもプレイは雷の魔力を発し、隙を埋めていた。
「剣術もできて、魔力も使えるのかよ! お前、バケモンか⁉」
「バケモンじゃないわよ。私は天才」
そう答え、プレイはリタンを強く振り下ろしてブルドの防御を崩し、雷の魔力を発してブルドを吹き飛ばした。
「ガウッ!」
「もうおしまいなの? 結構ガタイのいい体してるけど、自分より小さい女の子に負けちゃうんだ。ザーコザーコ」
倒れて歯ぎしりをするブルドを見下しながら、プレイはしゃがんで挑発をした。その際、わざとスカートの中を見せるようにしゃがんだ。
「クソ……ガキがぁ……」
「いやーん。このおじさん、私のパンツ見ようとしてるー。へんたーい」
「テメェの下着なんか見て興奮するか! ぶっ殺してやる!」
その時、ブルドは怒りで熱くなりすぎていると察し、少し落ち着いた。それと同じタイミングで、左足のすねが少しくすぐったく感じた。何だと思い見てみると、そこには大きなムカデがいた。
「うおおおおおおおおおお‼」
刺されたら確実に毒が回ると察したブルドは、急いで大きなムカデを追い払った。大きなムカデは宙に舞いながら、姿を消した。
「チッ、この一撃で終わらせようとしたのに」
「お前の卑劣な策にはまってたまるか! これ以上お前みたいなガキと戦っていられるか!」
「私もあんたみたいなむっさいおっさんと戦うのは嫌よ。だからとっとと終わらすから」
「はっ! お前みたいなガキが、俺をすぐに倒せるはず……が……」
ブルドは再び足元を見た。くだらない会話をしている中、プレイは<イノセントワールド>で大きなムカデの群れを作り、ブルドが察しないように足元に移動させていたと。
「クソッたれがァァァァァァァァァァ‼」
両足のすねで動く大きなムカデの群れを見て、ブルドは叫んだ。
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