総力戦開始
ベルマーロは団員たちが倒されるのを見て、歯ぎしりをしていた。
「こんちくしょー! 私の仲間があっという間に……」
「仕方ありませんよベルマーロさん。相手のスキルは俺たちの予想よりを超えた性能です」
「それと、プレイに協力者がいます。そいつの仕業で、こっちがえらく押されています」
と、攻撃から逃れた団員がこう言った。その団員の姿を見て、ベルマーロはため息を吐いた。
「仕方ない。あんたらとは一緒に攻撃を仕掛けようとしたけど、今は戦力を分散して、敵を叩いた方がいいわね。それじゃあ、各自分散して敵を探し、叩け」
「イエッサー」
団員たちは返事をし、散り散りに去って行った。
ムラサメとプレイの協力プレイを見ていたソワンは、自分たちに出番はないだろうと思っていた。しかし、近付いてくる敵の魔力を感じ、リミスの方を見た。
「敵がいるわね」
「ええ。相手にするしかなさそう」
「数は四人。<イビルアイ>で情報があまり見れないから、それなりに強いぞ」
と、ムラサメは<イビルアイ>を使ってこう言った。プレイは少し考え、ムラサメにこう言った。
「ベルマーロは動いた気配はある?」
「いや。強い魔力を探知できたが、そいつは動いてない」
「多分そいつがベルマーロよ。団員の連中はベルマーロを守るため、分散して私たちと戦うつもりよ」
「どうする? 相手にする?」
リミスの問いに対し、プレイは頷いて答えた。
「それしかないじゃない。相手の強さは未知数。散り散りになったようだから、タイマンを狙っている可能性があるわね」
プレイがこう言う中、牙と風の刃のようなものがムラサメたちを襲った。
「うおっ!」
「何なのよもう!」
「敵がいるってわけ?」
「とにかくここから離れるのよ! 敵の思い通りになるけれど、何とか頑張って敵を倒して!」
と言って、プレイは飛んで行った。リミスとソワンは仕方ないと思いつつ、それぞれ別の方向へ逃げて行った。ムラサメだけはその場に残り、周囲を見回した。
「いるんだろ? 姿を出せよ陰キャ野郎」
「陰キャで悪かったな」
そう言いながら、槍を持った男が姿を現した。
リミスは後ろに下がりつつ、周囲を見回して敵の姿を探していた。すると、近くから草が動く音がした。
「そこね!」
「あららぁ。耳と勘がいいこと」
女の声が聞こえた。草むらの中から女が飛び出し、両手に付けてあるかぎ爪でリミスを襲った。リミスは体を回転させて女の攻撃をかわし、ヒアラに魔力を込め、火の刃を発して反撃した。
「刃の周りの火を伸ばして攻撃ねぇ。酷いことをするわ」
「うるさいわよ裏ギルド。大人しくしてなさい、今すぐあんたを斬るから」
と言って、リミスはヒアラを構えた。
逃げていたプレイは足を止め、魔力を開放して雷を発した。理由は一つ、プレイの周囲にある木々のどれかに、敵がいるからだ。プレイが雷を発して数秒後、敵の男が木の上から降りてきた。
「雷を発して攻撃するとは……」
「天才の私の魔力は雷。情報はそれ以上言わないわよ」
「必要ないさ」
敵の男はそう言って、魔力を開放した。プレイは敵の男が何かをする前に止めようと思い、すぐにナグリバチを召喚し、敵の男を襲わせた。だが、猛スピードで飛ぶナグリバチの背中に向かって、牙が落下した。攻撃を受けたナグリバチは、すぐに消滅した。
「牙? どうしてあんなところに?」
「さーて考えてくださいよ。天才のあんたなら、秒で理解できるんだろ?」
と、敵の男はプレイを挑発するかのように笑みを浮かべた。
ソワンはひたすら走っていた。敵が自分たちの位置を把握しているなら、どこへ逃げても同じ。逃げるとしたら、敵の隠れ場所をなくすために草木のない場所を探していたのだ。
あそこなら戦える!
そう思い、ソワンは自身が思っていた草木がない場所に到達した。それからしばらくして、足音が聞こえた。
「おいおい、こんなまっぴらなところで戦うっつーのかよ。ケッケッケ、俺に有利な場所じゃねーか」
と、敵の男はそう言った。<ホワイトバース>の範囲にいるため、ソワンはすぐに<ホワイトバース>を発動した。ソワンが魔力を開放したことを察した敵の男は、すぐに何かをソワンに向かって投げた。
「何を!」
攻撃をかわすため、ソワンは<ホワイトバース>を解除して後ろに下がった。
「何をするか分からんが、お前の思い通りにはさせねーよ」
敵の男は走り出し、ソワンに近付いた。<ホワイトバース>が解かれ、その隙に近付いてくるだろうと予測したソワンはすでにクルアを手にしており、接近してきた男に向かってクルアを振り下ろした。その直後、金属同士のぶつかり合う音が響いた。
「な……あ……」
「どうだ? 俺のブーメランはすげー固いだろ?」
ソワンの攻撃を邪魔したのは、金属でできたブーメランだった。このブーメランは男がさっき投げたものであり、武器であると察した。
「嬢ちゃん、動きが硬いね。ギルドの戦士になって日が浅いと見た」
男はソワンを見て笑みを浮かべ、左手を前に出した。その直後、男の左手の爪がソワンに向かって伸びた。
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