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戦いの技能は一つじゃない


 プレイはウターン近くの牧場を襲った男、グエに戦いを挑む。プレイはわざとグエを挑発する言動をし、怒らせていた。その様子を見たムラサメは、呆れた表情をしていた。


「あれだけ煽るとは、それなりの実力者なんだろうな?」


「まぁね。あれがあの子のバトルスタイルだから」


「煽って敵を怒らすことが?」


 ソワンの返事を聞き、ムラサメは少しだけ不安な気持ちで戦いの行方を見守った。




 このクソガキ! 俺の剣でズタズタにして、性玩具にしてやろうか!


 挑発されたグエは、バカにするように微笑むプレイを見てこう思っていた。今、グエは激怒している。散々バカにされ、プライドが深く傷ついたのだ。


 そのことを察したプレイは、尻をグエに向けた。


「怒ったの? ねぇ怒ったの? あんな子供みたいな悪口を聞いて怒ったのー? キャハハ! 脳も細胞も単純だねー!」


 この発言を聞き、グエの怒りは火山のように爆発した。


「くぉのクソガキがァァァァァァァァァァ‼ 許さん! 必ず斬りまくって俺だけの性玩具にしてやる!」


「いやーん。エッチー」


 プレイは笑いながらグエの攻撃をかわした。その様子を見たリミスは、小さくため息を吐いた。


「あーあ、ありゃー完全に勝負は決まったわね」


「確かにその通りだな」


 ムラサメは攻撃を避け続けるプレイを見て、リミスに同調した。


「この勝負、プレイの勝ちだな」




 プレイは怒りが爆発し、がむしゃらに攻撃を続けているグエを見て、心の中でこう思っていた。


 あー、単細胞を煽って怒らすのは楽しいわー。


 そう思いながら、プレイは近くの木の枝に飛び移った。グエはプレイがいる木の上を見上げ、怒声を発した。


「降りろ! 逃げるのは卑怯だろうが!」


「戦いに卑怯もクソもありましぇーん。悔しかったらここまで登ってくれば?」


「このガキ!」


 グエは剣を鞘に納め、プレイがいる木に登り始めた。プレイは小さく魔力を開放し、<イノセントワールド>で小さな蜂を作った。作られた蜂は音を立てずにグエに接近し、グエのうなじに針を突き刺した。


「あがっ!」


 激痛を感じたグエは悲鳴を出した。その時、木から両手を放してしまい、木から落ちた。


「アッハッハッハ! 情けなーい!」


「こ……この……」


 立ち上がろうとしたグエだが、何故か両足に力が入らなかった。剣を杖代わりにして立ち上がったが、立ち上がったと同時に体中がだるくなり、頭も重く感じた。


 な……何だ? この、高熱にかかったような感覚は?


 突如気分を悪くしたグエは、額を触った。額の熱さに異常はないと察したグエだが、急に吐き気を催した。


「ぐうっ!」


 苦しそうな声を出し、グエはその場にうずくまった。頭の重さはより重く感じ、体もだるさのあまり、一部が言うことを聞かなくなった。


「な……ぜ……から……だ……が……」


「教えてあげよーか?」


 と、いたずらっ子のような笑みをしたプレイがグエを見下すように見ながら訪ねた。グエはプレイを睨んだが、調子が悪いせいでプレイの顔が三重に見えていた。


「あんたは今、アルトンビーに刺されたの。虫に詳しい人なら分かるわ。アントルビーに刺されたら、毒が体中に巡り、めまいや吐き気、体のだるさなどの異常をもたらす」


「知っている。だが……アントルビーは……砂漠に……生息する蜂だ。こんな……地域に……」


「私の勝ち確定だから種明かしするね。私のスキルは<イノセントワールド>。この世に生息する虫を魔力がある限り、何匹でも、どんな大きさでも作り出すことができるの」


「な……まさか……」


「その通り。アントルビーを作ることなんて簡単。それと、私はフェアリー族だから、あんたが何かやっても、この背中の羽があるからそれなりに空が飛べるのよ。ま、あまり使わないけど」


 話を終えたプレイは、背中の羽を見せびらかせながら<イノセントワールド>で大きなカマキリを作り出した。それを見たグエは、体中を震わせて恐怖を感じた。


「ま……待ってくれ。そんなに大きな鎌で斬られたら……」


「私みたいな超天才が、惨めな悪人の言うことを素直に聞くと思う?」


 そう言った後、プレイはカマキリに攻撃を命じた。カマキリは鳴き声を出しながら、両手の鎌でグエに攻撃をした。


「ガッ……」


 攻撃を受けたグエは、斬られた個所から血を流しながら小さな声で悲鳴を出し、その場に倒れた。大きなカマキリが消えた後、プレイは落ちている木の枝で倒れているグエの体を突いた。


「完全に気を失ってるわね。はい、完全勝利っと!」


 プレイは倒れているグエの頭を左足で踏んづけながら、勝ち誇ってこう言った。それを見たムラサメは、ため息を吐いてこう言った。


「やりすぎじゃねーの?」




 プレイとグエの戦いの後、連絡を受けたギルドの戦士が倒れているグエを回収した。ムラサメが担架で運ばれるグエを見ていると、後ろからプレイが近付いてきた。


「どう? これで天才の私の実力が分かったでしょ?」


「まーな。多少問題ある戦い方だったけど」


「戦いに問題も何もないわ。どんな手段でも、勝てばいいんだから」


「天才だけど、悪人みたいな考え方を持ってんのかよ」


「勝つためには非常にもなるわ。天才だから、そういうことも早く熟知したんだからね」


 と、プレイはどや顔でムラサメにこう言った。


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