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プレイの実力


 プレイが部屋にやってきて、いろいろと賑やかになっていた。そんな中、リミスにキャラメルクラッチを受けているムラサメが、受話器が鳴っていることに気付いた。


「ちょっと待って、電話だ電話……」


 ムラサメは震える手で受話器を手にし、電話を始めた。


「はい、もしもし」


「ムラサメさんですか? ギルドセンターの者ですが」


「どうかしましたか? 緊急事態ですか?」


 ムラサメの言葉を聞き、リミスはキャラメルクラッチの姿勢を解き、リミスの胸に顔を密着させているせいで、怒りを露わにしているソワンも手にしようとしていた包丁を棚にしまった。


「察しがいいですね。実は、ウターンから少し離れた牧場が、裏ギルドに襲われたとの情報が入りました」


「敵は何人ですか?」


「たった一人ですが、牧場内にいたギルドの戦士が二人戦死しました」


「つーことはなかなかやる奴だな。そいつの特徴は?」


「黒い髪の剣士です。持っている剣は安物の市販の剣を改造したものになります」


「分かった。早急にそいつを倒せばいいんだな。任せてください」


「ありがとうございます。休日手当をたっぷり出すように上に伝えます」


「分かりました。お願いします」


 ムラサメはそう言って通話を終えた。話を聞いていたリミスとソワンはすでに出かける支度を終えていた。


「さ、行くわよ」


「敵が逃げる前に、早く行きましょう」


「ああ」


「それじゃ、私の出番ね」


 と言って、プレイは外に出た。ムラサメは何をするつもりだと思いその後を付いて行った。その後ろにいるリミスとソワンは、少しだけ嫌な顔をしていた。その顔を見たムラサメはリミスに近付いた。


「何が起こるんだよ?」


「今に分かるわよ」


 リミスがこう言った直後、プレイは少しだけ魔力を開放した。すると、目の前に大きなトンボが現れた。


「おわ! 何だこれ⁉」


「これが私のスキル、<イノセントワールド>よ」


 プレイはムラサメの方を振り向きながら、こう答えた。




 プレイのスキル、<イノセントワールド>は魔力を使い、この世界にいる虫の幻を出すスキルである。その話を聞いたムラサメは、感心した声を出した。


「それじゃあ、図鑑さえ読めばいろんな虫を出すことができるってことか」


「そゆこと。幻だから、攻撃されれば一発で消えちゃうのが難点ね」


「こうやって自由に空を飛べるメリットがでかすぎて、デメリットが小さく感じる」


 ムラサメは風を感じながらこう言ったが、リミスとソワンは体を震わせながら抱き合っていた。


「私たちはデメリットが多いのよ」


「あまり好きじゃないのよ、虫が」


「相変わらず虫が好きじゃないのね二人は。これとかかわいいって思わないのー?」


 そう言いながら、プレイは大きなクモの幻を出し、リミスとソワンに見せた。クモを見たリミスとソワンは悲鳴を出し、ムラサメに抱き着いた。


「おいおい、二人が怖がっているからこれくらいにしておけよ。今から戦うんだから」


「それもそーね。おっと、あれがターゲットね」


 プレイは望遠鏡で下を見て、黒い髪の剣士を見つけ、トンボを操った。




 黒い髪の剣士、グエは大きな袋を担いで牧場から逃げていた。


「へへっ、これだけあればしばらくは食べ物に困らない」


 グエは食料を盗むために牧場を襲ったのだ。笑いながら走っていると、上からプレイが作ったトンボが突進し、グエの後頭部に命中した。


「グッフェェェェェ!」


 突進を喰らったグエは、情けない声を出しながら転がった。その一方で、プレイは見事に着地したが、ムラサメたちは尻もちをしていた。


「いってー」


「プレイ、攻撃するなら一言言ってよね」


「怪我したら戦いどころじゃないのに」


 ムラサメたちは尻をさすりながら立ち上がったが、プレイは何も言わずにグエを見ていた。


「今のはお前だな? どんな魔力かスキルか知らねーが、俺の邪魔をしたらどうなるか分かってんのか?」


「そのちっぽけな剣で切り刻むんでしょ? 無理だと思うよー。バカなあんたが超天才の私に勝てるわけないんだから。キャハハ」


 と言って、プレイは笑ってグエを挑発した。ムラサメは呆れた表情をしたが、リミスが止めた。


「ほっときなさい。あの程度の実力なら、プレイの敵じゃない」


「いいのかー? 援護はいらねーのか?」


「あの子、ムラサメに自分の実力を見せつけようとしているわ。援護なんていらないでしょ」


 ソワンの言葉を聞き、ムラサメはしょうがないと呟きつつ、その場に座った。プレイはムラサメの方を見て、笑みを浮かべた。


「よそ見をするな! 挑発のつもりかァァァァァ⁉」


 グエは叫び声を発しながらプレイに斬りかかった。プレイは攻撃がくることを察していたかのように体を回転させながら動き、グエの攻撃をかわした。


「下手なダンスね。正気だとしても、あんたは踊りが下手なのは見ただけで理解できる」


「ハッ! 殺しの腕にダンスは関係ねぇ! 言っとくが、さっき俺はギルドの戦士を二人ぶっ殺したんだ! お前を殺して、三人目だ!」


「いーえ。あなたは私を殺せない。何故ならあなたは、大バカ……いや、それを超えたとんでもなく超超超超超超超超絶単純大バカ野郎だから」


 散々バカにされたグエは、怒りのあまり顔が真っ赤に染まった。その顔を見て、プレイは笑みを浮かべていた。


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