新たなる同居者
クチアとの戦いの直後、怪我をしたムラサメは再び入院することになった。
「あんたまた入院するの? 初めてよ、短期間で入院するなんて」
「ははは……どーも」
呆れる表情の看護婦を見ながら、ムラサメは愛想笑いをしていた。看護婦はため息を吐き、再びムラサメに話しかけた。
「怪我をした直後、治療したおかげでだいぶましだけど、魔力だけじゃ治せない部分があったわ。それが完治するまで、大体五日程度ね」
「五日か。ま、しゃーねーな」
ムラサメはそう答え、大きなあくびをした。
看護婦が去って数時間後、ベッドの上でグラビア雑誌を読んでいるムラサメの元に、リミスとソワンがきた。
「おー、お見舞いか。ありがとな」
「病院でこんなものを読まないの。テレビでも見てなさい」
リミスはグラビア雑誌を取り上げ、ゴミ箱の中に捨てた。ムラサメは悲しそうな声を上げ、ゴミ箱の中からグラビア雑誌を取り出した。
「テレビ? 今やってるのってほとんどがくだらないワイドショーか、見たこともないドラマの再放送だぜ? この世界のテレビも、日本のテレビ界と同じく腐ってるみたいだから見ても面白くねーよ」
「だからって半裸の女性の写真を眺めるわけ?」
ソワンがグラビア雑誌を取り上げ、中身を読み始めた。しばらくして、ソワンは嫌そうな顔をした。
「うげぇ、このアイドルほぼスッポンポンじゃないの」
「くだらないテレビ見るより、きれいなねーちゃんのスッポンポンを見た方が目にもいいし、健康にもいいんだよ」
「エロ雑誌と健康は関係ないわよバカ」
リミスは右手の手刀で軽くムラサメの頭を叩いた。ムラサメはグラビア雑誌を丁寧に机の上に置き、リミスとソワンの方を向いた。
「それで、ギルドの方で動きはあったか?」
クチアたちデーモンブレスとの戦いの後のことを聞かれ、リミスは小さくため息を吐いた。
「結果だけ言うわ。デーモンブレス団員で生き残ったのは少数。あんたが倒したディングレイって奴と、私たちから逃げた連中だけ生き残ったわ」
「捕まってたあの二人は?」
「所属しているギルドに戻って入院。それからの話を聞いたんだけど、バルバさんとクアロさんは戦士を引退するって」
「怪我もしていたが、それ以上に精神に深い傷を負ったからな」
神妙な顔つきで、ムラサメはこう言った。しばらく沈黙が空気を支配したが、その空気を切り払うかのようにソワンが口を開いた。
「とりあえず、しばらくあの部屋は私とリミスの愛の巣ってことにするから。あんたは別の部屋を借りなさい」
この言葉を聞き、ムラサメは驚いた。
「はァァァァァ? 元々あれは俺の部屋だよ! いろいろあってリミスと同居することになったんだけど」
「あんたとリミスの仲の良さは……まぁ認めるわ。でも、私がいないところでニャンニャンイチャイチャチョメチョメするかもしれないじゃない!」
「しないわよそんなこと‼」
と、リミスは顔を真っ赤にしてこう言ったが、ムラサメは小さく笑った。
「したじゃねーかよ。ソワンも分かってるみたいだな、リミスが意外とスケベなことを」
この直後、リミスは強い魔力を開放し、ムラサメを睨んだ。
「うわわ。ごめんごめん。とりあえず、今は部屋の主の俺がいないから二人の愛の巣ってことになるのか」
「ならないわよ」
「じゃあ俺が退院したら、三人の愛の巣ってことか」
「なるかボケ」
ソワンはムラサメを睨みながらこう言った。その後、ムラサメは大きなあくびをした。
「ほんじゃま。しばらく……と言っても、五日間はリミスとソワンでギルドの依頼をこなすってことか」
「そうね。ムラサメは怪我をしたんだから、しばらくは休んでなさい」
「ああ。二人も怪我に気を付けろよ」
「分かってるわよ。それじゃ、さっさと怪我を治しなさいよ。あんたがいないと、意外と寂しいんだから」
ソワンのこの言葉を聞き、ムラサメは目が点となった。その後、リミスとソワンは去って行った。去った後、ムラサメは小さく笑った。
「俺、結構フラグを立てる素質があるかもな」
ウターンとは別方向にある広い森の上、一匹の大きなバッタが空を飛んでいた。その背中の上には、一人の少女が座っていた。その少女は黄色に近い髪の色で、髪の両サイドにはお団子のように髪をまとめていた。小柄だが、胸はかなり大きかった。少女の手には一冊の新聞があり、その記事には大きな見出しでデーモンブレスの事件のことが書かれていた。そして、ムラサメとリミスとソワンの写真も載っていた。
「ふっふーん。面白い子もいるんだねー。あの無茶苦茶な性格の二人をまとめて仲間にしちゃうなんてなー」
そう言いながら、少女は手にしている新聞を広げた。
「ムラサメ……ツキカタナ。面白い名前ね。今回の事件以外にも、ギルドの裏切り者が関係した事件を解決したと」
少女がそう言うと、目の前に大きな鳥のモンスターが現れた。鳥のモンスターは奇声を発しながら接近したが、少女は笑みを浮かべて魔力を使った。その直後、鳥のモンスターより大きなカマキリが現れ、鳥のモンスターを切り裂いた。
「キャハハハ。雑魚が私をエサにできると思わないでよ、ザーコザーコ!」
少女は斬られて落ちていく鳥のモンスターを見て、笑いながら罵倒した。
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