この一撃ですべてを終わらせる
ソワンは体を布でくるまれたバルバとクアロを見て、絶句していた。ムラサメはへらへらと笑うバルバを見て、ため息を吐いた。
「こりゃひでぇ……クルアで精神って治るもんか?」
「それは無理ね。治せるのは肉体だけ」
「そうか……そうだよな」
ムラサメはそう言ってソワンにバルバとクアロの治療を任せた。その直後、爆発音を耳にした。
<リトルリベンジャー>の爆発に巻き込まれたクチアの体に、多数の傷ができた。石ころの鋭い破片が胸や腹を貫き、爆発の際に発した爆炎が体を焦がした。
「クソが……クソがァァァァァ……」
怒りのあまり叫びだかったクチアだが、周囲に発する煙を吸い込んだせいでうまく声を出すことができなかった。そんな中、リミスが放った火の刃がクチアに命中した。
「グバァッ!」
「まだ終わりじゃないわよ」
と言って、リミスはヒアラの刃の周りに高熱で分厚い炎の刃を発し、勢いを付けてクチアに向かってヒアラを振り下ろした。
「クッ!」
避けようとしたクチアだったが、爆発のせいで足元がかなり歪んでいた。そのせいで、クチアはバランスを崩し、前に倒れてしまった。
「なっ……」
起き上がろうとしたクチアだったが、目の前には巨大な炎の刃が迫っていた。そして、クチアはその刃による一閃を身に受けた。
「これで決着ね」
リミスは大量に血を吐きながら宙を舞うクチアを見て、小さく呟いた。しばらくして、床の上に落ちたクチアを見て、リミスはため息を吐いた。
「下手な芝居は止めたら? まだ動けるんでしょ?」
「が……」
リミスの言葉通り、クチアはまだ手を動かすかすかな余裕があった。体中の痛みを我慢すれば、クチアは立ち上がることもできる。わざとやられた芝居を行ったのは、戦いが終わったと確信して近付いたリミスの服に触れ、その服を爆弾にして爆発させ、リミスを爆殺しようと考えたからだ。だが、その安っぽい考えをリミスはすでに見抜いていた。
「根性ないの? それとも、何らかの方法で部下を爆弾にしないと、人を爆殺できないの? 卑劣なことをしなければ、あんたは戦えないの?」
呆れた表情でリミスは言葉を発した。挑発のつもりで放ったその言葉を聞いたクチアは、怒りで額に青筋ができた。
「俺を挑発するつもりか……なら、その挑発を受けよう! そして! この俺を怒らせたことを後悔するがいい‼」
「死にかけの分際で、やけに偉そうね」
立ち上がるクチアを見て、リミスはため息を吐いた。その後、リミスはちらっと後ろを見た。
リミスの視線に気付いたムラサメは、バルバとクアロを治療しているソワンに近付いた。
「俺たちの出番だ」
「出番って……何をするの?」
「とどめだよ。リミスはさっきの大技で気が晴れたみたいだからさ。とどめは俺たちに譲ってくれるってさ」
ムラサメの言葉を聞き、ソワンはムラサメに近付いた。
「<イビルアイ>使っているんでしょ? 砂煙がかなり発しているから私の目じゃ分からないけど、どうなってるの?」
「リミスが優勢。だけど、クチアはまだ動ける」
「大丈夫なの?」
「囮になれるくらいだから平気だろ。それよりも、早く俺らであいつを倒さないとリミスが爆弾にされちまうぜ」
「そうね。それじゃあどうするの?」
「俺の言う通りにやってくれ」
と言って、ムラサメは今後のことをソワンに告げた。話を聞いた後、ソワンはムラサメにもう一度訪ねた。
「その作戦で本当にいいの?」
「いいんだよ。その方が、あいつに屈辱を与えることができるからさ。さて、行くぞ!」
ムラサメの掛け声を聞き、ソワンは<ホワイトバース>を発動した。発動した場所は、クチアが通るであろう床の上。
「なっ⁉」
足元を見たクチアは、突如凍った床を見て驚いた。動いていた左足を止めることができず、クチアは凍った床の上に左足を置いてしまった。その直後、クチアは勢いよく後ろに回った。
「今だな」
右手に魔力を開放していたムラサメは、右の拳を地面に押し当てた。
「何をするの?」
「新しい必殺技だ。前に一度やったけど、それを改良した」
ソワンにそう答え、ムラサメは大声で叫んだ。
「喰らいやがれ鬼畜外道! これが俺の第三の必殺技、ネコノテグランドアッパーだ‼」
ムラサメが叫んだ直後、クチアの下から風の刃で作られた猫の手が床を破壊しながら現れ、クチアの背中に命中した。
「がァァァァァァァァァァ‼」
「そのまま天井とキスしてろ」
ムラサメは右指を鳴らしてこう言った。ネコノテグランドアッパーはクチアと一緒に天井に飛んでいき、激突して破裂した。
「グワァァァァァァァァァァ‼」
破裂した際にネコノテグランドアッパーは無数の風の刃となって周囲に散り散りになり、その際に近くにいたクチアに多数の切り傷を作った。
「うわー。なんだか花火みたいだけど……その中央にいるのがクソな男だから、きれいな花火とは言えないわねー」
ネコノテグランドアッパーを見ていたリミスは、思わずこう呟いた。しばらくして、血まみれになったクチアが床の上に落ちた。
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