戦いの行方
リミスは目の前の光景を見て驚きのあまり、言葉を失って立ち尽くしていた。リミスが見ているのは、全裸にされて拘束されているバルバとクアロだった。
「ひ……酷い」
リミスは我に戻り、すぐにバルバとクアロを開放した。自由になっても、バルバは狂ったように小さく笑い、クアロは動じなかった。
「酷いことをされたのね」
そう呟いた後、リミスは近くにあった布でバルバとクアロの体を隠し、周囲を見回した。その直後、甲高い音が響いた。
「何なのよこの音?」
耳を抑えながら、リミスは音が発した方向を見た。
「グワァァァァァァァァァァ‼」
クチアは両耳を抑えながら、苦悶の叫び声を発した。
「へっへっへ。狙い通り」
ムラサメはこっそり作っていた風の耳栓を両の猫耳から外し、魔力を開放した。
「あんなバカでかい音、間近で耳にしたら鼓膜の一つはぶっこわれるはずだ! こんなことを言っても、今のお前にはなんて言ってるか分からないだろうな」
と、ムラサメは苦しんでいるクチアにこう言った。クチアはふらつきながらも立ち上がり、ムラサメを睨みながらナイフを振るった。
「クソッ! 殺してやる!」
そう言いながら攻撃するが、激しい耳鳴りとめまいのせいで、クチアはまともに立つことすらできなかった。攻撃を仕掛ける中、クチアはバランスを崩して転倒した。
「今がチャンスだな!」
ムラサメは開放した魔力でネコノテストレートを放ち、クチアにダメージを与えた。
「ガハッ!」
攻撃を受けたクチアは吐血しながら後ろに吹き飛んだ。立ち上がってムラサメに反撃をするため、足元の小さな石の破片を<リトルリベンジャー>で爆弾にした。だがその直後、クチアの足が急激な速度で凍った。
「な……」
「ありがとねムラサメ。あんたがあいつに大きな隙を作ってくれたおかげで、こいつを凍らせることができるわ」
ソワンが<ホワイトバース>を使い、クチアを凍らせていた。<リトルリベンジャー>を使っている場合じゃないと察したクチアはすぐに魔力を開放し、下半身の氷を吹き飛ばした。
「ガハッ……はぁ……はぁ……クソガキ共が!」
苦しそうな声で、クチアはこう言った。殺気の魔力を開放した時に、体内の魔力をほとんど使ってしまったのだ。
苦しそうな表情だな。魔力切れが近いと見た。
心の中でムラサメはこう思い、<イビルアイ>の催眠能力を使った。ムラサメの目を見たクチアはぼんやりとし始めた。
何故だ? 頭が回る。
催眠状態にかかったクチアは、多少の意識は持っていた。だが、体を動かそうにも体は動かなかった。
まさか、俺があの猫の催眠にかかったのか⁉
そう察したクチアは、何とか体を動かそうとした。その時、脳内でムラサメの声が響いた。その場で横に倒れろ。そしてずっと動くなと。
「ぐ……ぐぐぐ……誰が……誰がお前の言うことなど聞くかァァァァァァァァァァ‼」
クチアは大声を発し、気合で催眠状態を解いた。だがまだ意識を奪われそうになったため、右手でナイフを手にし、左手の甲に突き刺した。
「んなっ⁉ あいつ、何やってるのよ⁉」
思わぬ光景を見たソワンは、驚いて叫んだ。その直後、何かに察したムラサメはソワンの方を見た。
「気を付けろソワン! あいつの狙いはお前だ! 残った魔力を使って、お前を爆殺しようと企んでるぞ!」
ムラサメは急いでネコノテストレートの構えをしたが、クチアはムラサメを見て笑みを浮かべた。それと同時に、ムラサメの足元が爆発した。
「ムラサメ!」
「今度はお前だエルフ女! お前を爆弾にすれば、この状況は変わるはずだ!」
迫るクチアを見て、ソワンはすぐに<ホワイトバース>を使った。だが、どれだけ速い速度でクチアの体を凍らせても、クチアの伸ばした右手がソワンに届こうとした。その時だった。どこからか猛スピードで瓦礫が飛んできて、クチアに命中した。
「え……?」
「やっと合流できたわね。ソワン、無事……みたいね。よかった」
そう言いながら、リミスはソワンに近付いた。
攻撃を受けたクチアは、鼻血を左腕で拭いながら立ち上がった。
「クソ……仲間が合流しやがったか……」
「まーな。リミスがあんな簡単に死ぬほど弱くねーっての」
ムラサメの声を聞き、クチアはぎょっとしながら後ろを振り向いた。だがその前に、ムラサメの左足の回し蹴りがクチアの右頬に命中した。
「グッ、貴様! 生きていたのか!」
クチアは爆発のせいで服がボロボロになり、一部分で下着が見えているムラサメを見ながら叫んだ。ムラサメはため息を吐き、こう言った。
「じろじろ見んなよドスケベ野郎。未成年の少女の服をこんなにボロボロにしやがって。訴えたらこっちが勝つぞ」
「うるさい! 今度こそ殺してやる!」
と言って、クチアは<リトルリベンジャー>を使おうとした。しかし、クチアは自身の魔力を感じて冷や汗をかいた。怒りで我を忘れていたため、クチアは自身の魔力が底切れに近いということを忘れていたのだ。
「しまった……」
「おいおい、自分の体力がどれだけあるか、自分で把握しろよな!」
そう言って、ムラサメはクチアの顔にめがけて、右のストレートを放った。
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