虫唾が走る奴
ムラサメはクチアを睨み、<イビルアイ>を使ってクチアの情報を得ようとした。しかし、クチアの魔力が強いせいで、まともな情報を得ることができなかった。
「俺は待つのが嫌いでね。こっちから行くぞ」
クチアはムラサメに接近し、腰のナイフを装備しようとした。その時、クチアは足元の異変を察し、すぐに後ろに下がった。
「靴が凍ってる……何かされたか?」
靴を見て、クチアはムラサメを見た。靴が凍ったのは、ムラサメが何かしたと考えたからだ。
「どんな手を使ったか知らんが、変なことをしない方がいいぞ」
「うるせーよ変態野郎」
ムラサメは<イビルアイ>を解除し、ソワンの方を見た。
「ありがとな、あいつを凍らせようとしてくれて」
「でも、完全に凍らせることができなかったわ。あいつ、結構いい反射神経を持ってるわ。そのせいで、完全に凍らせるのは難しいわ。凍らせる前に、<ホワイトバース>の対象範囲に逃げられる」
「逃げるのは仕方ない。時間をかけてあいつを凍らせればいい。どんな手を使ってもいいから、あいつの魔力を弱らせることを優先して動こう」
「え? <イビルアイ>で情報を手にできなかったの?」
「ああ。相手の魔力が強ければ、まともな情報を得られない。催眠も効かない。効果があっても、すぐに効果は切れる」
「いろいろと意味があるスキルじゃないのね」
「どんなに便利なスキルでも、弱点の一つや二つは存在するもんだ」
ムラサメとソワンが話をしていると、クチアは風の魔力で作った衝撃波を発した。ムラサメとソワンは衝撃波をかわしたが、クチアは勢いを付けてムラサメの方に飛んでいた。
「俺を無視して仲間とお話か! 無駄な余裕を持つのは禁物だぞ!」
と言って、クチアはムラサメの腹に蹴りを放った。蹴りを受けたムラサメは後ろに吹き飛び、床の上に倒れた。
「いてて……くっそー」
ムラサメは腹を抑えながら立ち上がり、迫るクチアを睨んだ。
「あの程度の攻撃で倒れぬか。だが、次の攻撃でお前を仕留めてやる!」
クチアは魔力を開放し、ナイフを手にして構えた。その直後、クチアの足元から巨大な氷の槍が現れた。
「何⁉」
いきなり現れた巨大な氷の槍を見て、クチアは慌てて横にステップしてかわした。その動きの隙を見計らい、ムラサメが動いた。
「さっきの蹴りは痛かったぞ! これでも喰らいやがれ、ネコノテストレート‼」
ムラサメはネコノテストレートを放ち、攻撃を仕掛けた。放たれたネコノテストレートはうねりの音を響かせながら勢いを付けて飛び、クチアの腹に命中した。
「グバァッ!」
ネコノテストレートを受けたクチアは苦しそうにうめき声を出したが、ネコノテストレートはそれに構わず前へ飛んでいき、壁に激突した。
「ふぅ……」
ムラサメは攻撃の衝撃で上から落ちる瓦礫を見ながら、息を吐いた。ソワンがムラサメに近付き、こう聞いた。
「今ので終わり?」
「そんなわけがない。あの程度の攻撃でぶっ倒れるほど、あいつは弱くないはずだ」
ムラサメがこう答えると、再び破裂音が響いた。何かが爆発したのかと思ったムラサメとソワンは、前を睨んだ。
「少しはやるようだな。この俺の一発与える奴は初めてだ。だがま、俺を倒すまでにはいかない」
晴れた砂煙の中から、クチアが現れた。その時、モニターに倒れているポバッツンの姿が映った。別のモニターには、走っているリミスの姿があった。
「リミス!」
リミスの姿を見たソワンは笑みを浮かべたが、その様子を見たクチアは笑みを浮かべた。
「一人で変態野郎を倒すとは、それなりにやるようだが……お前らと会うことは二度とないだろう」
と言って、クチアは指を鳴らした。次の瞬間、ポバッツンの体が急に膨れ上がり、大爆発を起こした。その衝撃で、リミスの周りの壁が崩壊し、上から天井が迫った。その直後、モニターには砂嵐が映った。
「ふっ、哀れな女だ」
クチアがそう言うと、鬼のような形相でソワンがクチアに接近し、クルアを振るった。
「この野郎……斬ってやる……」
「そんな下手な剣の腕で、俺を斬るのか? 無駄だと思うが」
「じゃあぶっ叩く」
と言って、ムラサメがクチアの上空に飛び、そこからネコノテストレートを放った。クチアは上を見て、ムラサメが宙にいることに驚き、そのせいで動くことができなかった。二発目のネコノテストレートを受けたクチアは、そのまま床の上に押された。
「ガフアッ‼」
「やり方がせこいんだよ、虫唾が走る」
ムラサメは見下すように、倒れているクチアを見た、クチアは顔を見上げ、見下すムラサメを見て、小さく呟いた。
「俺を見下すなよ猫女……虫唾が走る」
「危なかったわねー。何なのよ、さっきの爆発は?」
リミスは周囲を見回し、全身に付着した砂を払っていた。適当に歩いていると、激しい魔力のぶつかり合いを感じた。
この魔力はムラサメ。ソワンもいる。そしてもう一つの強い魔力は……クチアかもしれないわね。まだ魔力が強いってことは、戦いが始まったばかりね。急がないと!
そう思ったリミスは、走ってムラサメとソワンの元へ向かった。
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