究極変態野郎
リミスの前に現れたのは、何よりもスペシャルで、美しいと自称する変態野郎、ポバッツンであった。
「あなたが私の前に現れたのは不運! 私の手によって、あの世へ送って……」
「その前に私がお前をあの世へ送ってやるわァァァァァァァァァァ‼」
リミスは叫び声を上げながらヒアラを振り下ろしたが、ポバッツンは変なポーズをしながら攻撃をかわした。
「うげっ、気持ち悪い!」
「ノンノン、これは気持ち悪くありません。美しいと言うのです!」
と言って、ポバッツンは腰を振りながらリミスに近付いた。心底気持ち悪いと思ったリミスは後ろに下がり、地面の上に落ちていた小さな砂利を手にし、<フワフワタイム>を使って操った。
「砂利を飛ばした? 物を操るか、投げた際の速度を自由に操れるスキルみたいですね」
ポバッツンはその場で立ち止まり、攻撃を受けた。<フワフワタイム>で飛ぶ速度を上げていて、そのおかげで砂利の攻撃力は増していた。はずだった。
「な……え……」
銃で放たれた弾丸並みの速度で飛んでいた砂利は、ポバッツンの体に命中した。だが、ポバッツンの体は無事だった。
「私にダメージがないことを知って、驚いていますねぇ? 教えてあげるのがこの世の理! 私のスキルは<スペシャルボディ>と言うスキル! 一瞬だけ皮膚を固くすることができるスキルです!」
「一瞬だけ? 一秒か二秒だけじゃない!」
ポバッツンのスキルを把握したリミスは、再び砂利を手にして<フワフワタイム>を使って飛ばした。ポバッツンは股間を見せつけるようなポーズをし、周囲を見回した。
「ほう。あなたのスキルは飛ばした物体の飛ぶ速度を自由に変えるではなく、手にするか……あるいは何か特殊なきっかけで、自由に操ることができるスキルのようですねぇ」
この言葉を聞き、リミスは焦った。ポバッツンの見た目は股間だけ小汚い袋で隠す変態野郎だが、運動神経はプロの体操選手並み、そして頭の回転も速い。
「クッ!」
長期戦になったらまずい。そう思ったリミスは<フワフワタイム>で砂利を操り、手っ取り早くポバッツンを倒そうと考えた。しかし、ポバッツンは迫る砂利の攻撃を確実に<スペシャルボディ>を使って防御している。
「あなた、さっき一秒か二秒だけじゃないと言っていましたね? その一秒か二秒だけで、私はあなたの攻撃をすべて防ぐことができます! 砂利がいくら飛んで迫っていても、私はそれをすべて見切る!」
「そんな……」
リミスは肩を落とし、腰を前後に降るポバッツンを見た。
ムラサメとソワンはサリードを倒し、先に進もうとした。だが、氷の破片が崩れる音がした。
「おい、あいつまだやるみたいだけど」
「ほっときなさい。虫の息よ」
ソワンがこう言った直後、サリードは大声を上げながら立ち上がった。
「クソがァァァァァァァァァァ‼ 俺はまだくたばっちゃいねェェェェェェェェェェ‼」
血まみれで立ち上がったサリードを見て、ムラサメは<イビルアイ>を使った。
「魔力がほとんど残ってねーじゃねーか。このまま戦っても、誰が勝つかは分かるはずだ」
「そうだな……勝つのは俺だ!」
と言って、サリードは左足を引きずりながら動き始めた。その姿を見て、ムラサメとソワンは哀れだと思った。
この様子を、クチアはモニターで見ていた。
「サリードはもう使えないな」
そう言うと、クチアは指を鳴らした。
サリードは何が何でもムラサメとソワンを倒そうと思っていた。たとえ、自分の命を使ってでも、道連れにしようとしていた。
「ねぇ、早く行った方がよくない?」
「ああ。そうしよう」
ムラサメとソワンは足早でこの場を去ろうとした。サリードは追いかけようとしたのだが、体中が熱くなるのを感じた。
「く……クソ!」
サリードがこう言った直後、サリードの体が大爆発を起こした。ムラサメとソワンは爆発の勢いに飛ばされ、少し吹き飛んだ。
「な……何なの⁉」
「爆発……か? まさか、あいつが……」
ムラサメは後ろを見て、床や天井、壁に大量の血がへばりついており、肉片らしき物体も付着していることを知った。ソワンはそれを見て、思わず両手で口を押えた。
「また仲間の命を使って爆発か何かさせたな」
「酷いことをするわね……まさか、入り口の方で倒した団員たちも……」
ソワンは恐ろしいことを考え、吐き気を覚えた。ムラサメはソワンに近付き、目を見た。その時の目を見て、ソワンは少しだけムラサメに対して安心感を持った。
「残酷だろうけど、あまりそういうことを考えるな。今はクチアの野郎を倒すことに専念しよう」
「あなたは……どうなのよ? 入り口で戦った団員が……」
「考えない。考えても元に戻らないからな。それしか……できない」
ソワンの問いに対し、ムラサメは無念そうに俯いてこう答えた。ソワンはムラサメもきっと同じ気持ちだろうと思い、戦う意思を取り戻した。
「腹くくったわ。行くわよ、ムラサメ」
「ああ。早くクチアを倒さねーとな!」
話を終え、ムラサメとソワンはクチアの元へ急ぐため、走り始めた。
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